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第十八話:終わらせる方法は、一つじゃない

ここで主人公が一つの答えを出します。


正解ではないかもしれない。

それでも、自分で選ぶしかないという話です。

夜だった。


 煙の匂いは、まだ残っている。


 遠くで、時折、銃声が響く。


 完全には終わっていない。


 それでも――


 さっきまでより、静かだった。


 「……」


 子供は眠っていた。


 小さく、呼吸している。


 それだけで、十分だと思えた。


 だが――


 頭の中には、別の光景。


 崩れた建物。


 助けられなかった白衣。


 「……」


 目を閉じる。


 消えない。


 消えるはずがない。


 そのとき――


 通信が入る。


 ナポレオン。


 『まだ現場にいるのか』


 「……ああ」


 短く答える。


 『非効率だ』


 「分かってる」


 間。


 ナポレオンが言う。


 『だが、一つ聞く』


 「……なんだ」


 『それで、何を得た』


 言葉が、止まる。


 「……」


 得たもの。


 失ったもの。


 どちらも、浮かぶ。


 「……分からない」


 正直に言う。


 ナポレオンは、少しだけ黙った。


 『そうか』


 それだけだった。


 しばらく、何も言わない。


 そして――


 俺は、ゆっくりと言った。


 「……一つだけ、分かった」


 ナポレオンが、聞く。


 「戦争は、止められない」


 静かな夜に、その言葉が落ちる。


 「完全には」


 遠くで、また銃声。


 否定するように。


 ナポレオンは言わない。


 ただ、聞いている。


 「でも」


 息を吸う。


 「終わらせ方は、選べる」


 沈黙。


 「……どういう意味だ」


 ナポレオンが初めて、問い返す。


 「戦争をゼロにするんじゃない」


 「戦争を“続けさせない”」


 間。


 「……構造の話か」


 「そうだ」


 モニターを開く。


 戦場ではない。


 資金。


 物流。


 情報。


 「戦争は、勝手に起きてるわけじゃない」


 「続けてるやつがいる」


 ナポレオンが言う。


 『均衡か』


 「ああ」


 「あいつは“流れ”を作ってる」


 「だから――」


 言葉を、選ぶ。


 「流れを断つ」


 沈黙。


 「戦わせないんじゃない」


 「続けられない状態にする」


 ナポレオンが、わずかに笑う。


 『遅いな』


 「……そうかもな」


 否定しない。


 「でも」


 「俺はそれでやる」


 間。


 ナポレオンは言う。


 『効率は悪い』


 「分かってる」


 『時間もかかる』


 「分かってる」


 『犠牲も出る』


 「……分かってる」


 全部、分かっている。


 それでも――


 「それでも、それを選ぶ」


 静かに言う。


 「見捨てないために」


 沈黙。


 長い、間。


 そして――


 ナポレオンが言った。


 『……いいだろう』


 少しだけ、声が柔らかい。


 『ならば私は、別のやり方でやる』


 「……ああ」


 分かっている。


 もう、一緒にはやらない。


 だが――


 完全に敵でもない。


 奇妙な関係。


 「……終わらせる」


 小さく言う。


 「お前とは違うやり方で」


 ナポレオンが言う。


 『好きにしろ』


 通信が切れる。


 静寂。


 俺は、空を見た。


 煙の向こう。


 かすかに、星が見える。


 「……」


 完全には、消えない。


 戦争も。


 後悔も。


 それでも――


 「……終わらせる」


 それだけは、決めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


主人公の「答え」が出ました。


完全に戦争をなくすことはできない。

それでも、終わらせ方は選べる。


その選択を、主人公は自分で決めました。


次が最終話です。

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