表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

第十一話:敵は、戦争を知りすぎている

第2フェーズに入ります。


ここからは「戦争を止める側」だけでなく、

それを妨げる“明確な敵”との対峙が始まります。

 「対象、特定できました」


 オペレーターの声が、静かに響く。


 モニターに映る、あの男。


 冷たい目。


 無駄のない表情。


 「複数戦線に同時介入しています」


 ナポレオンが即座に言う。


 「軍人ではない」


 信長が笑う。


 「だが、戦を知っている」


 ガンディーが言う。


 「人の心も理解しています」


 家康が言う。


 「厄介じゃな」


 俺は、画面を見つめた。


 あいつは言った。


 ――あなたは負ける


 「……誰だ」


 データが展開される。


 「名前不明。所属不明」


 「ただし――」


 一瞬、表示が止まる。


 「複数の紛争で“調整役”として確認されています」


 「……調整?」


 ナポレオンが眉をひそめる。


 「戦争を“管理”している」


 理解する。


 背筋が冷える。


 「……止めてるんじゃない」


 「維持してるのか」


 信長が笑う。


 「面白い」


 ガンディーが言う。


 「最悪です」


 家康が言う。


 「終わらせぬ者か」


 俺は、画面を睨んだ。


 「……あいつは」


 言葉を、選ぶ。


 「戦争を終わらせる気がない」


 ナポレオンが言う。


 「むしろ、終わらせないことで利益を得ている」


 信長が言う。


 「ならば、敵だな」


 ガンディーが言う。


 「対話を試みるべきです」


 家康が言う。


 「まずは見極めよ」


 俺は、首を振った。


 「……違う」


 全員がこちらを見る。


 「対話じゃない」


 息を吸う。


 「構造を潰す」


 沈黙。


 ナポレオンが、わずかに笑う。


 「ようやく分かってきたな」


 信長が言う。


 「敵を定めたか」


 ガンディーが言う。


 「慎重に」


 家康が言う。


 「焦るな」


 俺は、モニターを操作する。


 戦場ではない。


 資金。


 情報。


 物流。


 「戦争を支えている“裏側”」


 ナポレオンが頷く。


 「そこを断てば、維持できない」


 信長が言う。


 「直接叩くより効く」


 ガンディーが言う。


 「人の被害も減る」


 家康が言う。


 「長く続く」


 俺は、静かに言った。


 「……ここからは戦場じゃない」


 「戦争そのものと戦う」


 そのときだった。


 通信が入る。


 「対象から直接通信です」


 空気が止まる。


 画面に、あの男。


 「早いですね」


 静かな声。


 「もう私に気づいた」


 俺は、何も言わない。


 「いい判断です」


 男は、わずかに笑った。


 「ですが――」


 一瞬、間が空く。


 「遅い」


 その瞬間。


 複数の戦場が、一斉に変化する。


 「同時介入!?」


 ナポレオンが叫ぶ。


 「……先に動いている」


 信長が笑う。


 「読まれておるな」


 ガンディーが言う。


 「対抗されています」


 家康が言う。


 「上手い」


 俺は、画面を見つめた。


 完全に、対抗されている。


 「……あんたは何者だ」


 初めて、問いかける。


 男は答えた。


 「私は――」


 わずかに笑う。


 「“均衡”です」


 沈黙。


 「戦争は必要です」


 「完全に終われば、別の形で崩壊する」


 「だから私は、維持する」


 心臓が、強く打つ。


 「……ふざけるな」


 思わず、言っていた。


 「人が死んでるんだぞ」


 男は、静かに言う。


 「だからです」


 「死があるから、秩序が保たれる」


 言葉が、理解できない。


 いや――


 理解したくない。


 「……止める」


 小さく言う。


 「全部、止める」


 男は、少しだけ目を細めた。


 「できますか?」


 沈黙。


 だが――


 俺は、目を逸らさなかった。


 「やる」


 それだけを、言う。


 男は、笑った。


 「楽しみにしています」


 通信が切れる。


 静寂。


 ナポレオンが言う。


 「厄介だ」


 信長が言う。


 「強敵だな」


 ガンディーが言う。


 「思想が違いすぎます」


 家康が言う。


 「長い戦になる」


 俺は、モニターを見つめた。


 戦争。


 それを終わらせる戦い。


 そして――


 それを終わらせたくない敵。


 「……いい」


 静かに言う。


 「分かりやすい」


 これでいい。


 相手がいる。


 目的がある。


 「やるぞ」


 誰に言うでもなく。


 だが――


 全員が、動いた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ついに“敵”が明確になりました。


戦争を終わらせようとする側と、

戦争を維持しようとする側。


ここからは構造同士の戦いに入っていきます。


第2部の本格スタートです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ