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第一話:愛は、戦争を止められるか

この物語には、いわゆる“正しい答え”は出てきません。


戦争を終わらせる方法は一つではなく、

立場や信じるものによって、その形は大きく変わるからです。


もし、歴史上の偉人たちが現代に現れたとしたら――

彼らは戦争を終わらせることができるのか。

それとも、さらに混乱を招くのか。


そしてもう一つ。

この物語のもう一つの軸は「愛」です。


守りたい誰かがいるとき、人は何を選ぶのか。

その選択は、世界を救うのか、それとも壊すのか。


そんなことを考えながら書いています。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

世界は、静かに壊れていった。


 宣戦布告はなかった。終戦もなかった。

 ただ、ある日を境に、人が死に始めた。


 電力が落ち、通信が乱れ、物流が止まり、そして都市が沈黙する。

 誰もそれを「戦争」とは呼ばなかった。


 だが――それは、戦争だった。


 俺は、その現場にいた。


 かつて外交官だった。

 停戦交渉、資源協定、難民受け入れ――紙の上では、何度も戦争を終わらせてきた。


 だが現実は違う。


 言葉は銃弾より遅い。

 合意は憎しみより弱い。


 そして愛は――守れなかった。


 瓦礫の街に立つたび、思い出す。


 俺が愛した女は、敵側の人間だった。


 リナ。医師だった。

 国籍も宗教も違ったが、そんなものはどうでもよかった。


 彼女はただ、目の前の命を救う人間だった。


 「ねえ、あなたはどうして戦争を止めたいの?」


 彼女は、笑ってそう聞いた。


 あのとき、答えられなかった。


 本当は――


 ただ、彼女に生きていてほしかっただけだ。


 停戦は、些細な誤解で崩れた。


 誤報。報復。連鎖。


 そして――彼女は死んだ。


 「……また、同じことが起きてるのか」


 俺はモニターを見つめながら呟いた。


 世界地図に、赤い点が増えていく。

 紛争地域。いや、戦場だ。


 もう誰も、それを隠そうともしない。


 そのとき、警報が鳴った。


 未知のエネルギー反応。場所は東京。


 現場に駆けつけたとき、空気が歪んでいた。


 現実が、その場所だけ書き換えられているようだった。


 そして――


 そこに、一人の男が立っていた。


 和装。鋭い目。圧倒的な存在感。


 ありえない。だが、理解してしまった。


 「……織田、信長……?」


 男は、ゆっくりとこちらを見た。


 「戦は、まだ終わっておらぬのか」


 その一言で、空気が凍りついた。


 「終わってない。むしろ――始まってすらいない」


 信長は、わずかに笑った。


 「始まってもいない戦で、人がこれほど死ぬか」


 言葉に詰まる。


 「……これは、昔より厄介だな」


 信長は空を見上げた。


 「敵が見えぬ。旗もない。大義も曖昧。

 ――これでは、終わらせようがない」


 胸が締め付けられる。


 その通りだった。


 「終わらせたいのか」


 「……ああ」


 「ならば、壊すしかあるまい」


 その言葉に、怒りが込み上げる。


 「ふざけるな……それでどれだけ人が死んだと思ってる!」


 信長は、一歩だけ近づいた。


 「では聞く。貴様は、守れたのか」


 言葉が出ない。


 守れなかった。


 そのとき、空間が再び歪んだ。


 「暴力では、何も終わりません」


 振り返る。


 そこに立っていたのは、質素な衣服の男。


 「……ガンディーか」


 「ええ」


 二人の視線が交錯する。


 「壊さねば、終わらぬ」

 「壊せば、続くだけです」


 空気が張り詰める。


 俺は、その間に立っていた。


 どちらも正しい。

 どちらも間違っている。


 そしてどちらも――彼女を救えなかった。


 「……だったら」


 声を絞り出す。


 「どっちでもない方法を、見つけるしかないだろ」


 二人がこちらを見る。


 逃げ場はない。


 これは戦争だ。

 だが、ただの戦争じゃない。


 「これは、“終わらせるための戦争”だ」


 あの言葉が、よみがえる。


 ――どうして戦争を止めたいの?


 今なら、答えられる。


 「……愛した人を、もう二度と失いたくないからだ」


 沈黙。


 信長が笑う。


 「甘いな」


 ガンディーが微笑む。


 「だからこそ、人は変われるのです」


 世界は、まだ燃えている。


 だが――


 終わらせるための戦いが、今、始まった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


この物語は「戦争をどう終わらせるか」というテーマで書いていますが、

同時に「人は何を守るために選択するのか」を描きたいと思っています。


信長とガンディー、まったく異なる考え方を持つ二人が出会ったことで、

物語はここから大きく動いていきます。


そして主人公が見つけようとしている“第三の道”が、

本当に存在するのかどうか――そこも一つの軸です。


もし少しでも続きが気になったら、

ブックマークや評価をいただけるととても励みになります。


次話では、新たな偉人の登場と、最初の“交渉”が始まります。


引き続き、お付き合いいただけたら嬉しいです。

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