束の間の休息
なんとか足を引きずって帰ってきたは良いものの、何もやる気が起きず、そのままベッドに飛び込む。
「結局アレなんだったんだ…」
これまでにああいったものは見たことがなかった。
霊感なんて無いと思ってたんだけど。
「いや、説明するでしょ普通。」
あのエセ妖精。はー、仕事終わったみたいな顔で帰ったけど、言うて何もしてないよね。
せめてあの"異形"が何かくらいの説明はあってもよくないか?そもそもエセ妖精自体何なんだ?って感じなんだけども。
ただでさえやりたくない仕事を追加でやる羽目になってしまった。
「あ゙ーやだー…」
でももうやると決めてしまった。やるしかない。
とりあえず腹が減ってはと言うからご飯作ろ。
勢いよく立ち上がりキッチンへ向かう。
「刺身買って帰るの忘れた。まぁいいか。」
んー、昨日作ってた茄子の揚げ浸しがあるからそれと、オクラと山芋の味噌汁。あとはとりあえずお肉焼こうかな。
今日は炊くの待てないからご飯はレンチンご飯にして…と。
お湯を沸かしている間に鶏肉を炒める。お湯が沸いたら、そこに出汁パックで出汁をとる。そこに味噌を溶かして冷凍の切られたオクラと、冷蔵庫にあるとろろを入れて完成。レンチンご飯はレンジにぶち込んだ。
出来上がったご飯達を皿に盛っていく。
鶏肉の横に柚子胡椒を添えたら完成っと。
「いただきまーす。」
うん、美味しくできた。
次はなめこも一緒にお味噌汁入れようかな。
ご飯はいつ食べても美味しいって思えるから凄いや。
それとも、単純に私が食事好きすぎるだけなのか。
「ごちそうさまでした。」
お風呂沸かそう。
昔はシャワーでいいじゃんって思ってたけど、今はお風呂に浸かるのが好きになった。
歳とったのかなぁ。なんて、まだ20代だから若いと思いたい。
そうだなぁ…今日は特別に友人から誕生日に貰ったバスボムを使うことにする。
『お風呂が沸きました』と軽快なメロディが聞こえ、下着や着替えをかき集めつつお風呂場へ向かう。
呑気にSNSでバズっていた音源を歌いながら浴槽に浸かっていたのはいいが、やっぱりチラチラと頭の奥を過ぎるのは今日の出来事。
自分の理解を超えることが起きたせいで、私はオーバーヒート気味だし、価値観まで変えられてしまった。
「…いい加減のぼせそう。」
結構長い時間浸かっていたみたい。
脱衣場へ続く扉を開くと、冷たい風が入り込み、私の頭を少し冷やしてくれた。
「髪の毛乾かすのが一番面倒なのよね。」
風呂キャンという言葉をたまに聞くけど、その人達が全員坊主になれば風呂キャン界隈の人口はだいぶ減るに違いない。
髪を乾かし、スキンケアや歯磨きを終えて、やっとまたベッドに戻ってこれた。
今日はもう寝よう。考えてもあまり変わらないよね。
寝…む、寝…
「って、寝れるかぁ!!」
私には金がいる。
しかもどのくらい必要になるかわからない。
呑気に明日でいいかーなんて言えるわけがない。
今日は日払い可能なバイトをある程度探して、ブックマークしておく。そんで、明日営業時間に連絡する。
このくらいはやっておかないと。
時間は有限なのよ。
ベッドに横になりつつ、昔嫌というほど見た某求人サイトをシュッシュとスクロール。
もうこのサイトを開くことは無いだろうと思ってたのに…!大の大人だけど泣きそう。
「えーっと、ここは…あー、時間が今の仕事と合わないなぁ。ここも家から遠すぎるし。」
ここでもない、そこでもないとしているうちに、流石に疲れが溜まっていたのか、私はいつの間にか寝てしまっていた。




