罰ゲームで鉄仮面眼鏡担任に嘘コクしたらガチ恋になっちゃったんですけど!?
ある日の放課後のこと。
「う~わ、私の負けかよ!」
「は~いチカ、罰ゲームねー」
教室で友だちとババ抜きをしていると、私が負けた。
「は?罰ゲーム!?聞いてないんですけど!?」
「今決めたからねー」
「罰ゲームかぁ、なんにするべ?」
「ちょっとーエグい罰ゲームとかはやめてよね」
友だち2人は楽しそうにきゃっきゃとはしゃぎながら、私の罰ゲームを考えていた。すると。
「そこの3人。用がないなら遊んでないで早く帰ってください」
と、廊下から声がした。鉄仮面こと、担任の岸部が眼鏡を光らせながら立っていた。
「げっ、鉄仮面」
「はいは~い、すぐ帰りますよー」
「後、化粧、パーマや染色、それとネックレスやピアス等の装飾品は禁止で……」
「はいはいはーい!わかりましたー!以後気を付けるので!さよーならー!!!」
そう言うと、鉄仮面はすたすたと去っていった。
「相変わらずうっさいなー鉄仮面のやつめ~」
「あ、そうだ。いい罰ゲーム思いついちゃった♪」
と、一人の友だちが指パッチンをしながら言った。
「うーわ、絶対ロクなもんじゃないやつじゃん……」
「んで、どんな罰ゲームなん?」
「あの鉄仮面に嘘コクしてもらいまーす!」
「はーー!?ナニソレ!?」
私は勢いよく席を立ちながら、声をあげた。
「あの鉄仮面に嘘コク!オモシロソーw」
「でしょでしょ?」
「なんで私があの鉄仮面にコクんなきゃなんないのよ!ヤだよ!あんなやつにコクるとかー!つーか、めっちゃ怒られるやつじゃんか!」
「んじゃ、告白する場所は何処にする?」
「あ、じゃああっちは?」
「ちょっとー!勝手に話進めないでよ!他の罰ゲームにしてよー!!」
私はそう言ったけど、友だちたちはノリノリで鉄仮面に嘘の告白──「嘘コク」する方へと話を進めていった。
そして明日の放課後、三階の物置にされている空き教室で告白することになった──……
★
翌日。放課後。
「ね~……ほんとにするの?鉄仮面に嘘コク~……」
「当たり前じゃーん!これが罰ゲームなんだから」
三階の空き教室で鉄仮面を待つ。朝、鉄仮面に、今日の放課後17時に、三階の空き教室で話があるから来てほしいと言ったら「分かりました」と、いつもの無表情でそう言った。
「やーん、ドキドキするーw」
「まー鉄仮面のことだから、サクッとフッてくれるでしょ。てか、怒られる気しかしないわ……」
「わかんないよー?こんな人気の無いところでコクるとか、しかもチカ可愛いからさ~もしかしたら、ワンチャン押し倒したりして~w」
「ないわーwww」
「……あんたら、他人事だと思って~……」
「あと5分で17時だね。私らそろそろ隠れなきゃ」
「じゃ、鉄仮面のあの仮面が外れるくらいのエッローい告白待ってるよ~♪」
そう言って友だち2人は、壊れた黒板が立て掛けられている机の後ろに隠れた。
5分後。
────ガラッ。
17時のチャイムが鳴ったのと同時に、鉄仮面が教室の扉を開けて入ってきた。
「──それで、話とは?」
「あ、の~……」
嘘コクとはいえ、妙に緊張する。そういえば、告白されたことは何回かあるけど、誰かに告白するのはこれが初めてだ。つっても、別に好きでもない人に、しかも嘘の告白だしなぁ……そう思ってると、妙な緊張が引いていく。さっさとテキトーに告白してフラれて怒られよう。そう思いながら。
「……先生、私、前から先生のことが好きなんです」
と、台詞に胡散臭い演技をのせながら言ってみた。
「……」
埃くさい教室に漂う、沈黙の空気。気まずい。鉄仮面は何故か私のことを見つめながら黙ったままでいた。
……頼むよ、さっさとフッてよ!さすがに気まずすぎて死にそうだわ!……まさか本当に、私に気が!?いや、そんなはず無いと思うけど……
気まずい沈黙の中、そんなことを脳内でぐるぐると思っていると、やっと鉄仮面が口を開いた。
「……ありがとうございます。ですが──……あ……」
と言いながら、ふいに鉄仮面の視線が私の眼から、私の頭上に行くと。
「片岡さん、頭の上に蜘蛛が……」
鉄仮面がそう言ったのと同時に、額に〝モゾッ〞とした感覚が走り、視界にソレのなっがい足のような物が見えた──
私は蜘蛛が、大嫌いなのだ。しかも、でかい蜘蛛なんて……
「キィヤアアアアアア!!!!クモっ!!イヤアアアアア!!!!!」
私はパニックになりながら額の蜘蛛を払い、暴れまわった。すると、私の後ろに山積みにされていた段ボールに思いきりぶつかってしまった。
「危ないッ!!」
鉄仮面は今までに聴いたこと無いほどの声量……大きい声をあげ、私の頭を包むように抱き寄せしゃがんだ。どさどさっと、山積みにされていた段ボールが私たちにというか、鉄仮面に落ちてきた。
段ボールの雪崩が止み、私を抱きしめる鉄仮面の腕が緩む。私の顔を見る鉄仮面。ち、近い……
……抱き寄せられた時、結構力強くてドキッとした。てか、柔軟剤?なんかおしゃれでめちゃいい匂いがしたんだけど。
てか、なんだろ……なんか、変な気分──
「……あ!てっ、先生、大丈夫ですか!?怪我とか……」
「……はい、どうやら重いものは殆ど入ってなかったようで、怪我してないです。それより、片岡さんの方こそ怪我してないですか?」
「私は大丈夫です!……その、先生すみません。さっきの告白は嘘で……」
「知ってます」
「え!?」
「さっき、教室に入る前に聞いたので」
「そう、だったんですか。すみません……」
ぽん、と、鉄仮面は私の頭に手を乗せ、ナデナデする。突然のことで、私はドキッと驚く。
「頭に埃がたくさん乗ってます」
「え、あ……はい」
「これに懲りたら、教師をからかうのは止めてくださいね」
「はい……」
「それと、パーマや装飾品は禁止……というより──」
鉄仮面は私の頭に乗せていた手を髪の上で滑らせ、金色のゆるふわパーマの束を手に持つと──それを、自身の口元に寄せた。
ゾクッとした。なんだかまるで──……キス、された感覚になった。そして。
「化粧や装飾品で飾る貴女も素敵ですが、私はありのままの貴女もいつか見てみたいものです」
クスッとちいさく微笑むと、鉄仮面は──……先生は、スッと立ち上がり「罰代わりにその段ボールを適当でいいので片付けて帰ってくださいね。それでは」と、空き教室から去っていった。初めて見た、無表情以外の……先生の微笑み。
ドキドキするし、頬は熱いし……
「え?うそぉ……えぇえ~……?」
私はしばらく座り込んだまま、放心状態でいた────
★
休み明けの月曜日。
「ふぁ!?チカ……っだよね?ど、どうしたの!!?」
「マ!?」
私は金髪に染めていた髪を黒にし、ゆるふわパーマもストレートに戻した。化粧も眉毛以外は止めて、ピアスやネックレス、マニキュアとかも止めた。
「……私、今日からギャル止める!そして、岸部先生にまた告白するんだ。今度はガチ告白……♡」
「「え……?えええええ!!!?」」
鉄仮面に、岸部先生に好きになってもらえるように、私頑張るんだから!!
待っててね、先生♡




