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106話 寝る前に一人、原作乖離を私は考える

夜、みんなが寝静まってシーンとした王宮内。

私だけになった部屋の中で、蝋燭を一つだけ火を灯し、机に向かってカリカリメモをしていた。


(今日のあったこと、すべて書いておかないとだめだ。生き残るために!)


窓のカーテンはしっかり閉じたし、ドアも閉めた。

私が起きてると知られたら、心配して誰か入ってくるかもわからないしね。

全く、唯一の後継者だからしょうがないけど王女って窮屈だわ~。スラムの時はもっとのびのびできてたってのに。


紙に今日の出来事とジークの語った内容を書き出していく。

この世界の行く末を知っていても、それが本当に正しいのかが自信ないからね。知ってるのにアンナの死は防げなかったし、エラは半年も早く登場したし。


(まず…ソルディアとステラディアの情報は大体あってた)


ソルディアは海に面してて、貿易とか外交に強い。

ステラディアは山に面してて、林業とか農業、酪農が強い。

この辺りは原作者としてね、忘れてないですよ?

本当はそれぞれの国の成り立ちとかすごく詳しく書いてたけど、今後にはそこまで関係ないからね。


兄弟国だったのも、結びつきが強かったのも、ディオメシアを脅威に感じて国の産業とか犠牲にしながら強い国になって、ディオメシアとヴァルカンティアの連合軍に負けて属国になったのもちゃんと合ってた。


(つくづくディルクレウスは恨み買うようなことする…そのせいで数年後に各国から武力向けられてスラムで反乱軍が蜂起して、同盟国だったヴァルカンティアからも攻撃されて国家滅亡するんだっての)


ソルディアとステラディアをはじめとして、ディルクレウスが戦いの後に属国になった国には彼に恨みを持つ者が多い。

しかも、今回ディルクレウスは「どっちか王女に気に入られたほうを結婚相手に」ってことでしょ?


原作通りなら、まだ戦争から立ち直れてないはずの2国。

まだまだ貧困にあえぐ民を見て、レオンとルシアンができる策は「王女と結婚して支援を受ける事」だ。


(てことは…これから『幼女を落とさないと国が復興できないから全力で落としまSHOW』ってこと?どんな乙女ゲームだよ悪趣味すぎるだろ)


年頃の青年たちが10にもならない幼女に色仕掛け(?)するのも、その幼女の中身は成人済み年増の女だからドキドキより申し訳なさが先に立つよ…!

しかもどちらかってことは、選ばれなかった方は自力で復興しろよって?兄弟国って言われるほど仲がいいのにそんな残酷な事させるかね!?



「ディルクレウスの考えることがわっかんない…もっと内面の設定しておくんだった」



『何を考えているかわからない王』っていうのが先行しすぎて、彼の内面までしっかり描写しなかった私のバカ野郎!

でも、彼が今狙ってることの一つは『王女ディアーナの排除』だ。

これは間違いない、普通王位継承権を唯一持つ娘が結婚ってなったら入り婿が普通だよ。

そうじゃなきゃ、国のトップがいなくなって国が崩壊する……


考えをまとめているうちに手が止まる。

ありえない考えに、自分でも首を振った。



「いや、まさか…まさかね」



原作のディルクレウスは国の崩壊を失意のままに迎え、恨みの声を発して死んでいった。

国が亡ぶことを死ぬほど悔やんだ、そういうように私がした。


(だから、滅亡を望んでこんな行動するなんてあるわけないよ…)


そう、そうだ。

それよりも今後のことを考えないと。


原作ではエラが後妻になるのと、二人の王子が彼女に恋をする四角関係だったのに、そこに「王女攻略」が入ったことで予想がつかなくなった。

レオンとルシアンはエラにかまけてられないだろうし、エラとのロマンスがなくなるかも。


(原作的にいいのかな…正直後にこの二人が出てくるかっていったらそんなに重要じゃない。私に注意をしてくれてたほうがエラと結ばれなくて国家崩壊フラグ一個減る)


けどそれで結婚したらこの国に介入できなくなる…

そうなったら後妻になったエラがディルクレウス禁忌の関係性をもって、子供ができたらない滅亡までさらに加速しそう…


もう考えすぎて頭が痛くなってきた!!

いきなり原作と違うことぶっこんでくるなよディルクレウス!!



「あー…もうまだいいや!!」



今後どうなるかなんてもう一気にわからなくなった。

あんまりやりたくないけど、今回ばっかりは「果報は寝て待て」だよ。

ディルクレウスの出方、レオンとルシアンの出方がわからない限り何もできない。


(私の最終目標は『17歳で処刑される未来回避のために国家滅亡を阻止』だし、今すぐ動くのは悪手かも)


ディルクレウス以外は性格とかも把握できる。

それぞれの行動を見て、こちらの手立てが決まったらそれぞれの行動を誘導しよう。



「そうと決まれば…ふわぁぁ~…もう寝よ…幼女の体に夜更かしはきつい」



書いた紙を蝋燭の火で燃やして証拠隠滅したら、ベッドにもぐりこんだ。

転生前は筆が進まなくて徹夜なんてしょっちゅうだったのに、子供の体はすぐに眠くなる。

明日からのことを思って嫌になるけれど、それでも夜は開けちゃうんだから。


裏カジノからこっち、怒涛の事件続きだ。

もうちょっと楽させてほしいもんだよ。


ため息をついて目を閉じた。

どうか、これ以上の想定外よ起こるなと願いながら。

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