密室での戦い
「さて、まずはお前さんから死んでもらおうかね。」
そう言いながら、老婆は手に持っている杖を振り翳しながら、マイの方に飛びかかった。
「何ッ!!!」
その時、マイは咄嗟に刀で老婆の攻撃を防いでいた。
黒い外套のようなものを羽織り、目は赤く燃え上がっていた。
老婆は少しばかり後退り、マイと対峙した。
「まさか.....お前さんもあれの被害者ってわけか。まあ、そんなことはどうでもいい!!」
老婆は再びマイ目掛け、飛びかかった。
「!!!!」
すると、マイの剣には炎が宿され、この密室となった号車を照らしていた。
老婆は再び後退りしたが、その表情には不気味な笑みが浮かんでいた。
「ひぇひぇひぇ。お前さんはそれで私を倒そうという魂胆だろうがそうはいかんよ。」
「どういう意味?」
「お前さんがここでそれを使えばどうなるかね〜。」
老婆はマイに向かって意味深にそう言った。
もし、炎をここで使えば号車は瞬く間に燃え、二人がいる号車にもすぐに辿り着く。老婆はそれを暗に牽制した。
「!!!!」
マイの剣からは炎がみるみるうちに消え、先ほどの明るさは一瞬にして消え去っていった。
私が二人を守らなくちゃ......もう誰も失いたくない......
4号車
僕はマイがトイレに行っている間、ケイからこの世界のことについて様々なことを教えてもらった。
この世界は主に東部と西部という大枠があり、西部は数十年前から西部開拓地として開発が進んでいるらしい。
僕には知らない世界が果てしなく広がっている。
僕はそのことに胸を弾ませていた。
「それにしてもミナトにはほんとに話がいがあるな。」
それを語っていたケイも満足そうな表情を浮かべていた。
「今までこういう話を人に話したことはあんまりなくてな
もしかしたら、俺もそういう相手を望んでたのかもしれない。」
ケイは進んでいる汽車によって移り変わる景色を見つめながらそう言った。
「僕もマイやケイみたいな人と出会えて良かったよ。
これからも一緒に旅を続けたいな。」
「そうだな。」
ケイは僕の方に視線を移し、フッと笑いながら言ってみせた。僕もおそらくケイと一緒だ......いや.....僕の方がもっとひどいかも知れない.....二人を必要としている.......まるで自分を正当化するために......
「そういや、マイトイレ長いな。」
ケイはそう言いながら、向こうのドアの方を見つめていた。
確かに......どうしたんだろ......
「僕行ってくるよ。」
「なら、俺もいくか。」
僕たちは5号車に向かうドアを開け、6号車へ向かうドアの前に着いた。
ガチャガチャ
「あれ?開かねえな。おかしいな。」
ケイはドアを何度も開けようとしたが、開かない様子だった。
「ちょっと僕にもやらせて。」
「ん?ああわかった。」
そういうと身長が足りない僕をケイは抱え、ドアノブの前に持ってきてくれた。
「!!!!!」
「どうした?ミナト。」
「しっ!ちょっと静かにしてて。」
なんだ......ドアノブを掴んだ瞬間。僕は何か異様なものを
全身に感じていた。まるで誰かが戦いあっているような
一体誰なんだ.......