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レナとの対面

僕らはシキの後についていきながら、官庁の中に入り、

役人のような人がそこかしこを忙しそうに回っているのを横目にしながら、階段を上がっていき、レナがいる部屋へと進んでいった。

2階の部屋をしばらく進むとシキは歩みを止め、目の前にある扉を数度ノックするとその扉を開いた。


「閣下。4人をここに連れて参りました」


「そうか。入りたまえ」

許可が降りるとシキは入れというジェスチャーをし、

僕らは一人一人その部屋の中に入っていった。


「やあ。よくきたね」

そう言ってレナは立ち上がり、目の前にあるソファーに腰をかけるように促していた。

その第一印象は優しさを持ちながらもどこか厳格さや冷静さを持ち合わせているようなそんな印象を受けるようだった。まだ年齢が若いながらもフロッグコートのような軍服や胸につけている勲章などが全く浮いておらず、

軍部のトップの将軍としての威厳も兼ね備えていた。

僕らが全員座り終えるとレナも対面して座り、奥からは

お付きのような人が僕たちにそれぞれお茶などを振る舞ってきていた。


「まあ、皆さんそう固くならないで。リラックスしてもらって構いませんから」

僕以外の皆もやはり緊張していたようで、その言葉はその緊張を少し解すのにかなり役立っていた。


「あの.....一ついいですか?」


「ん?......何かな?」

すると早速マイは一つの疑問をレナにぶつけていた。


「単刀直入に言います。私たちがレナ参謀総長に呼ばれた理由って一体どんな理由なんですか?」

マイはすぐに今に至ることになった根本の理由に迫り

それに対し、レナもいきなりの核心部分に迫る質問には

少したじろいでいたが、すぐにその質問に返答した


「私もそのことを話そうと思って君たちをここへ呼んだ」

そして、レナは僕たちを探し、この帝都に呼んだ意味を 僕たちに向けて話し始めた。


「これはまだ世間には明るみに出てないから、詳しいことは言えない。実は今西部開拓地で何か新たな脅威が生まれている可能性がある。それの対策に協力してくれる存在として君たちを私が選んだってわけだ」

西部での脅威......そんなことは確かに世間では全く話題に上がってすらいない。


「ちょっと待ってくれ」


「なんだい?」

するとそこにサクが割って入り、先ほどのレナに対し

何か納得しないような表情を浮かべていた。


「その脅威とやらにはわざわざ俺たちみたいなちっぽけな

小集団の力を借りずとも政府の軍隊とかを使って解決することはできなかったのか?」

サクの鋭い目線に対して、レナは手に取ったコップを置き

少し、息を吐くと少し笑い、質問に答え始めた


「ああ。確かに私たちにはかなり強力な軍がある。

もちろん、我々も全力を尽くすつもりでいるが、それも今中難しい状況でね。正直に言えば、今西部に駐屯していた

我が軍の1個師団の各旅団や連隊とは連絡がつかない状況にある。その師団は我が軍の中でも言わば精鋭部隊だ

おそらく、連絡がつかないということはもう壊滅してしまっている可能性が高い」

彼女はそう語りながら、どこか自分の軍の一部が壊滅しているかもしれないということに対しての責任や無念さが節々に感じられていた。


「だからこそ。君たちにお願いしたんだ。邪の五傑の一角と対峙した君たちを」

邪の五傑?.......その初めて聞く言葉には僕のみならず

他の三人もよくわかっていない様子だった。


「あの....その邪のなんとかっていうのは?」

マイはその聞き慣れない用語について尋ね、レナは少し驚いた表情を見せた。


「まさか知らないのか?.....てっきり知っているかと思っていたが」

レナは続け様にその邪の五傑についての概要のようなものを語り始めた。


「邪の五傑は近年になって突如として出現した謎の五人のことだ。彼らはそれぞれに特殊な能力を持ち、多くの配下を持つものもおり、我々も討伐を試みてはいるが依然壊滅には至っていない」


「あっ!......もしかして幽霊城のあいつらがその邪の五傑ってやつの一角だったんじゃ」

ケイは突然、思い出したように少し大きな声を出し、

かつての幽霊城での戦いを口に出していた。

そうか......僕が対峙したあの主.....あいつが邪の五傑のおそらく一角のなのだろう......


「ああ....おそらくそうだ。そいつはもしかすると巨大な羽のようなものを持っているやつじゃなかったか?」


「そう!それだ!」

僕はそれを反応し、机に身を乗り出すように相槌を打つと

周りは驚いた様子で僕は恥ずかしくなり、謝りながらスッと身を引いた。


「そいつが私がさっき言った君たちが対峙した五傑の一角

名はグリフォと言う」

グリフォ.....あの時には名前は語られなかったが、いざその名を聞くと対峙した当時の恐怖のようなものが沸々と体全体に駆け巡る感覚が襲う。


「ともかく....その脅威に関しては今のところ新しい報告はない。今回呼んだのは君たちに協力を要請した理由を話したかったからだ。何か他に聞きたいことや望むことがあったらなんでも言ってくれ」

僕は瞬時にケイの方を見た。ケイは少し俯いたままずっと黙っていた。


「この様子だとなさそうかな。ならば先ほど泊まっていたホテルへの帰るの車を手配するから帰って養生してくれ」


「ありがとうございます。では失礼します」

マイに続くように皆の挨拶が重なり、シキが扉を開け

そそくさと僕たちは席を立ったが、ただ一人ケイだけは

その場に座ったまま動かなかった。


「ケイ?どうしたの?行くよ」

マイがそう呼びかける。しかし、ケイは少しため息のようなものをフッとはいた後に少し作ったような笑顔を向けた


「ごめん皆。先に帰っててくれないか」

決心したんだね......僕はただケイのその言葉を聞き、そのような確信を得るに至っていた。






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