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帝都への道程

空を見上げると彼方には微かに山の上から太陽が少しだけ

顔を覗かせ、早くも日の出の時間であることを僕たちに伝えていた。

僕たちは昨晩にシキという人物からの協力要請を受け、

今帝都までの道を進んでいた。シキが先頭を歩き、

その後ろを僕らはついていっていた。

僕の少し前を歩くマイはシキに対して訝しさを抱いた目線を向けながらも黙ったまま進んでいる。

ケイは何か心ここにあらずとした様子でソワソワしており

サクは相変わらずの仏頂面だがかなり警戒していることは

僕にはよくわかった。

シキの協力要請にのったマイの真意は僕にはまだ分からず、それを聞き出そうとしても中々そのタイミングは掴めない。


「まあまあ。そう警戒しないで。そろそろ着くよ」

シキは不意に後ろを振り返り、僕たちに対してニカっとした笑顔を見せ、警戒を解くように促した後、目の前の通りを指差し、そこに辿り着くと彼はその場で止まった。


「おそらく、もう少しで迎えが来るはずだ」

しばらくすると遠くからカッカッと蹄の音がどことなく

響いて聞こえ、目をすましてみると奥に蜃気楼のようにユラユラとする影が見え、それが近づくにつれ徐々にその原型が形作られ、大型な馬車がこちらに向かってくるのがはっきりとわかった。


「きたきた。今からあれに乗って帝都に向かうからな

馬車酔いにはくれぐれも注意しろよ」

その馬車はその蹄の音を未だ薄暗さが残り、静まり返った森林の中で僕たちの前で停車をし、御者はシキに挨拶を交わしにきた。


「シキさん!どうぞ乗ってください!」


「おう。いつもすまねえな。今日も頼むよ」

二人の会話を聞き、その関係性が窺える。口調は穏やかで

相当な信頼関係が互いから見え隠れしていた。


「さあ。遠慮なく乗ってくれ」

そう言いながら、僕たちに大型な馬車へと早く乗るように促すゼスチャーを見せ、一人一人、靴の音を鳴らしながら

馬車の中へと乗り込んだ。馬車にしては案外ゆとりがあり

5人が乗っていても窮屈さは微塵も感じられなかった

馬車が走り出すと道路事情の悪さも相まって車輪から

車体に石などが当たっているであろうことが振動で伝わり

馬車に乗ったことがない僕はどのようなものかという緊張もあり、その振動が僕の体全体にも伝わり、少しだけ酔うような感じを体験していた。

これから向かう帝都......この国の首都と呼ばれるところは一体どんなところなんだろう。まだ見ぬ都市への想いは

馬車に対する緊張とはまた違う感情を僕に持たせ、

揺れる車体の振動とは別の胸の高鳴りから来る振動もまた

今の僕の体を駆け巡っていた.....









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