提携案
外の雨はさらに激しさを増し、遠くでは雷が音を立て、
鳴り響き、窓には多くの雨がかかりわずかに外の様子が確認できるだけにとどまり、音で天気の具合が把握できる有様だった。私は自室の椅子に座りながらかれこれ考え
すでに数時間は経過しているであろうことは想像できた
「...........」
どうするべきか......私は深く悩んでいた。頭に手をやりながら椅子にもたれかかり、先ほどまで協議していたリョウからの提案について私は考えていた。
彼の提案はまさに我々軍部が推し進めた施策を根底から覆すようなものだった。それは総称して邪の五傑と呼ばれる
無法者たちとの提携案というものだった。
邪の五傑.....それは数年前に突如として現れた五人を総称して付けられた無法者の集団。
集団の長として行動しているものから個人で暗躍している
その五人とは全身は白く覆われ巨大な翼を持つグリフォ
いてつく瞳と氷の能力で相手を凍らすアリア
漆黒の軍服を纏う黒将軍ジーク
幼児のような背丈に悪魔の笛を鳴らす コロッコ
遊牧民風の見た目に強弓を持ち合わせる バヤン
軍部は強大な力を持つ危険分子として討伐する対象とし、多くの予算を彼らの対策につぎ込んできた。
軍部との対立が続き、彼らも自らが定めた拠点などに身を潜め、かつてほどの脅威性は薄れているが、我々は諜報員などを活用し、彼らの居場所の割り当てを急いでいる。
その彼らとの提携案は今までの我々の努力や予算を全否定するに等しいものだ。
無論リョウがそのような意図でその案を出したとは到底思っていない。確実に内地に迫っている新たな脅威はおそらく我々の精鋭部隊すらもいとも簡単に蹴散らしてしまうほどの勢力であることは間違いない。
それに帝都や内地を留守にし、その隙に彼らに攻め込まれ
壊滅するよりは彼らをこちら側に引き寄せて、なおかつ
新たな敵と戦わせることで疲弊させる考えもよく理解できる。ただ、それは軍部のみならず政府全体としても納得を得るには並々ならぬ努力がいる。邪の五傑も我々に協力するかも定かではない。仮に協力後も我々と彼らとの力の均衡はあまり取れず、あちら側にパワーバランスが傾いていることは明白だ。
「どうしたものか.......」
私は深いため息をついた。静寂した空間には外の雨と
私の大きなため息のみが支配的になっていた。
正直、私としてはリョウが持ち出したもの以外に良き対案はない。今の軍部の体制のみでは新たな敵に備えるにはあまりにも無力すぎる。邪の五傑とのパワーバランスも今は
均衡をなんとか保っているが、それも見せかけに過ぎない
「........待てよ.......」
その時、私の頭の中にある情報がふいと浮かんできた。私はすぐさま椅子から立ち上がり、受話器を手に取り、ある人物の元へ電話をかけた。
私は藁にもすがる思いだった.....その情報とはあのグリフォに対し、善戦したとする少年たちのことだった.......