気配
僕たちはただ一軒だけ佇んでいる一軒屋へと向かい、
玄関の前に到着した。明かりがついている様子は見受けられず、玄関の扉へ向かうための木の階段は少し朽ちた部分も散見され、登るたびに木の軋む音も静かな林の中では一層よく響いていた。
「だいぶ古いけど、誰も住んでないのかな」
我先へとマイは進んでいきながら、そう呟いた。
「まあ、他に泊まる宿もないし、野宿するよりはいいんじゃないか」
それに応えるようにサクは言うと、僕と何故か隣にずっと引っ付いてくるケイはその意見に頷きを見せた。
誰も住んでいないにしても、突然の雨風も防げるし
幽霊城の追手や別の敵からの襲撃にもある程度備えることはできるだろう。
扉の前に立ったマイはドアに手をかけ、ギイイっと大きな音をたてながら、家の中へと入っていった。
中は真っ暗で誰もいる気配はない。マイに続いて僕らも家の中に入ったが、薄ら肌寒く、部屋の中の家具も古びたものでかなり前から人が住んでいなかったであろう様子が散見された。ゆっくりとさらに奥の方へ進んでいくと
2階へと続く階段があり、その階段や2階にも明かりらしきものは見受けられず、やはり無人であるようだ。
「もう、誰も住んでないみたいだな」
サクがそう言いながら、辺りを見回す。
「でも、意外と誰かいたりするかもしれないよ」
「えっ?誰かって?」
「ん〜.....幽霊とか?」
僕の冗談に対して、驚いたのかケイはさらに僕に近寄り
抱きつくようにして怯えていた。
「アハハ!冗談だって!幽霊なんているわけないよ」
「ったく!次やったら承知しねえからな!」
ガタッ....
「??....」
僕とケイが冗談を交えながら話していると、突然上の方から誰かが歩いたような音が聞こえてきていた。
僕らは群れるように集まると、その音のした2階へと視線を向けた。
「まさか、誰かいるのか.....」
「おい。マイ。お前先頭行ってくれ」
「はあ?なんでよ!」
そう言い合いながらも、僕たちは音のした2階へと階段を一段一段登って行った。2階は細い廊下に複数の扉があり
音がしたであろう位置を確認し、その方向にある扉へと
僕たちは進んで行った。