おのれの力
僕は仮面の人物が振り翳した刃物を瞬時に避けた。
「ほぉ......中々やるな......」
声からしておそらく、男だろう。
早くマイを探さないと........僕の中の不安は増大していた
「悪いが坊や。大人しく死んでもらおうか!」
まずい......また来る!
しかし、浴室の奥まで追い詰められ、これ以上の逃げ場はなかった。
なんとかしないと......早くマイを.........
「くたばれ!!!!」
そう言いながら、仮面の男は素早く刃物を再び振り翳してきた。
僕がマイを守らなくちゃ......ここでやられるわけには......
僕は身をかがめ、目を閉じた。
「くっ!!なんだ!!!」
仮面の男はそう言いながら、後退りした。
僕は目を開けるとその手には紫色のオーラをまとっていた
これは......あの森の時の.....
「まさか.....なぜお前のような子供が.........」
男はそう言い放った。
これならやつを倒せるかもしれない......
早くマイを探さないと..........
「これは........私も油断しないようにしなければな。」
そして、刃物を構え、男は臨戦体制をとった。
僕も手に出現した紫色のオーラを指先に溜め、男の方へ向け、それを放った。
「!!」
男はそれを瞬時に避け、後ろの壁のガラスに直撃した。
ガラスは粉々に砕け、轟音と共に崩れ去った。
「ほう.....中々の威力だな........」
男は少しずつこちらに歩を進めてきた。
僕はもう一度先ほどのオーラを発現させようとした。
でない.......なんでだ.........
僕は何度やってもオーラを出せなくなっていた.....
まずい.....このままじゃ......
「ふふっ。まだ自らの力の使い方に慣れていないようだな。」
男はそう笑いながら、こちらにさらに近づいてくる。
なんで......頼む........ここでやられるわけには......
「今度こそくたばれ!!!!」
そう言い、仮面の男は刃物を振り翳した。
「ぐっ!!!!」
しかし、その時、男は肩のところを抑えながらその場に
しゃがみ込んだ。
その肩から少しばかり血が流れていた.....
「誰だ......」
男はそう言いながら、後ろを向き、僕もそれに合わせるように向こう側を覗き込んだ。
するとそこには先ほどバラバラになったはずのガラスが
まるで鎧のような人型となり立っていた。
そう.....それはあの時の森での巨人のように......