予測
俺は目を覚ました。いつもと変わらないこの殺風景な独房の中でまた新しい1日を迎える。
普通の者は刑期が確定してからこの監獄にくるが、俺の場合は重要犯罪人としてこの監獄へ入れられる形となった。
一応は未決囚ってことで拘置所という体裁はとっているが実態は監獄と変わらない。
「おい。今朝の新聞だ」
そう言って吐き捨てるように言う看守から今朝の新聞を渡され、俺は一面、一面を熊なく目を通した。
やっぱり、俺の事件のことはかなり大々的に報じられている。酷い時にはレナと俺の関係から邪推して権力闘争に利用した結果としての帰結という誤報すら書かれたことすらあったほどだ。それにしても政府の奴らは秘匿がうまい
軍部が今進めている討伐戦の対象がどんな存在なのか
ましてやその討伐戦事態を知る国民はほとんどいないだろう。
「これは中々深刻そうだな.....」
ただ、俺は今それよりもさらに気になる事象があった。
新聞の紙面上では端の方に追いやられているが、確実にその危機はこの東部への足音を密かに響かせている。
西部開拓地、鉱山で働いた少年が過労死か
見出しにはこう書いてある。おそらく普通はこれを額面通りに見れば不運な少年に胸を痛めながら次の項目へと目を飛ばすのがよくあることだろう。その証拠に他の事件や政府関係の内容に比べ、これは端の小さなところに申し訳程度に書いてあるだけだった。
ただ、この小さな出来事になっているはずであろうことは
俺には到底そうは見えなかった。
それはこれに類似する出来事が俺がこの拘置所にきてから
毎日読んだ新聞の中にいくつか目に入ったことがあった
西部人というのはかなりな丈夫さで労働力として貴重な存在と政府は見ていた。その前評判通り鉱山開発やプランテーション、鉄道建設や道路などの西部開発のインフラ整備にかなりな活躍を見せたそうだ。
だが、西部開発が本格的に始まってこのかたこのように
西部人の何人かが.....しかも開発に必ず携わっている人間が死んでいることを考えると俺は疑わざるを得なかった
「.......」
俺は新聞を閉じ、それを目の前にあった小さな机に置くと
そのまま地面に体を預け、拘置所の天井を見上げた。
俺は目を閉じ、このことを頭の中で考えをめぐらした。
これは誰かに言うべきだろうか。いや、言ったところで
話を逸らされたり、考えすぎだと言って相手にされないかもしれない。
ただ、その時あいつならこの話を聞いてくれるかもしれない。俺は次のレナの面会の時を刻一刻と待つこととした。