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目覚め

「........ト....ナト......」

そうやって徐々に聞こえてくる言葉に段々と意識が戻っていき、目を開けるとそこは小さな個室で天井にある電球の光が目覚めたばかりの僕を出迎えるようにして照らしていた。


「ミナト!大丈夫か?」

そして僕にそう語りかけたのはケイだった。僕は重い体をベッドから起こし、あたりを見渡した。


「ここは.....」


「全く。心配したんだぞ。突然消えたと思ったら、道端で倒れてるところを通りがかった人が見つけてくれて、駅員に個室で休ませてもらったんだ」

そうだったんだ.....あれ....それまで僕何してたんだっけ


「大丈夫そうか?体の具合とかは」


「うん。大丈夫。それよりも次乗る予定だった電車はどうなったの?」


「ああ。予定の時刻は過ぎたが、駅員が事情も考慮して

次の切符の手配もしてくれたから心配すんな」

そう言って、ケイは僕の頭をポンっと手を優しく置き、

髪の毛をわしゃわしゃっと触った後笑顔を向け、机に置いてあった僕の帽子を膝の上に置いてきた。


「とりあえず二人を呼んでくるからそれまで待っててくれな」

ケイは立ち上がって、二人を呼びに部屋から去っていった

僕は静かになった部屋の中で再びベッドに横になり

物思いにふけった。


僕は起きる前まで何してたんだろ。

起きる前までのことがどうしても思い出せない。

ただ、何か僕自身に関することで心の中に蟠りがあって

それが絡みついたように取れない感覚があるのははっきりとわかった。だけどその具体的なことは全く思い出せない

森一面を霧が覆うように僕の心はモヤモヤと晴れず

この部屋の天井を一点に見つめてボーッとして皆んなが来る時間を潰していた。


「ミナト!大丈夫だった!?」

物思いにふけっているといつのまにかマイが部屋に勢いよく入ってきたと思えば急いで僕が寝ているベッドの方へと

向かってきていた。


「全くもう!いきなりどこかに消えちゃって!どれだけ心配したか!.....でも....ほんとに良かったよ〜。無事で」

そう言って少し泣きながら、僕を思いっきりマイは抱きしめた。やっぱりマイと会うと何か心のモヤモヤがパッと晴れてとても安らかな心持ちでいられる。

多分....家族ってのはこういうものを指すんだろうということが僕の脳裏をよぎった。


「ミナト。立てそうか?そろそろ次の列車が来るからな」

その後ろからサクがひょこっと顔を覗かせると僕の分の切符を手渡してくれた。


「うん。ありがとう。それと皆ごめん。迷惑かけちゃって」


「いいの!いいの!ミナトが元気ならそれで!」

マイはそういうと背中をポンポンと叩き、笑顔を見せた


「じゃあ。行こっか!改めて4人で!」


「うん」

マイのその言葉に僕はその相槌で答え、ベッドから立ち上がり、僕たちは個室を貸してくれた駅員さんたちに感謝した後に次の目的地を目指すため、ホームへと向かっていった







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