意味
彼の言葉を聞いて、僕は今までに感じたことがないような
感情に接することになった。
僕のこの力はなんなんだ。そんなことはこれまで考えたこともなかった。そう思うとますますこの力に関する疑問は僕の中で深まっていった。
「その様子じゃわからないようだな」
彼は残念と言わんばかりの様子で吐き捨てると
さっさと別の質問を僕にぶつけてきた。
「じゃあ、お前はその力を使って何がしたい?」
この力を使って.....だけどその質問の答えには不思議とすぐに解答が頭の中にフワッと現れていた。
「僕の大事な人を守るために僕はこの力を使ってる」
確かにこの力が僕の中にある意味はわからない。
だけど、その使い道は僕の中では嘘偽りなく今彼に語った
言葉の中にあるのが真意だった。
「........」
その返答に対して彼は一切言葉を発しなかった。
いや、言葉で言い表していないだけでその軍帽から少しばかり見える表情からは納得とか共感とかそういうものとは程遠いものを帯びていることは間違いなかったが、
彼はそれ以上僕の返答については追求しては来なかった
「なら、そろそろ最後の質問にするとするか。俺もそんなに時間がないんでな」
彼は先程まで座っていた椅子からスッと立ち上がると
僕の方へゆっくりと近づき、僕を見下ろすようにして
立ち止まった。
そして、腰にあったサーベルを瞬時に抜き、僕にそのサーベルを向けてきた。
「お前は一体何者なんだ?」
その彼の疑問は僕自身に対する謎の核心でありながら
今までそれを封じ込めるかのようになっていたものを
呼び起こすようなものだった。
その時には僕の力について聞かれた時よりも
僕の心は大海に投げ込まれそのまま暗い海の底へと沈み込んでしまうように茫然自失とするような感情に支配されていった。




