古びた小屋で
「ん........」
僕は目を開けると家具や飾りなどが一切なく、何十年も使われていないような古びた小屋の中におり、
さらに僕自身は椅子に縛られたような状態だった。
部屋全体は冷たいような空気が漂い、コートを来ていても
肌寒いような感覚が僕に伝わっていた。
「どこだろ.....ここ.....みんなは.....」
僕は気絶する前の記憶が懸命に掘り起こし、トイレでの
出来事を微かに思い出していた。
あの時、僕を気絶させたのは一体誰だったんだろう。
声質はおそらく女性であり、透き通りながらもどこか
冷たさを持つ鋭いものだったのは耳に残っていた。
窓もなく、ここがどこかさえもわからない。
こんなところに閉じ込めて一体何の目的があるのだろう
手や足には鎖のような固いもので椅子にガッチリと縛られており、オーラすらも出せるような状態ではなかった。
なんとか、ここから脱出してみんなに合流しないと。
そう思っていた矢先に僕の目の前にある朽ちかけの木のドアが嫌な音を建てながら開くとそこには全身を真っ黒な
軍服や軍帽に包まれ、腰にはサーベルのようなものがあり
まさに軍人と言ったような出立だった。
しかし、僅かにその軍帽の下から覗く顔立ちは明らかに
男性で僕を拐ったであろう女性ではなかった。
「起きてたのか」
入り口のドアを開け、開口一番にそういうと、近くにあったたった一つの椅子に腰をかけ、しばらくの沈黙が流れた
「......」
僕を拐った人物とこの軍人のような人物の関係は。
なぜ僕を拐う必要があったんだろう。
様々な事が頭の中を駆け巡ったが、まずはここから出ることを最優先にしなければならない。
「お前に聞きたいことがある」
あれこれ考えていると彼は僕に向けてそう投げかけてきていた。
「お前はいつその力を手に入れた?」
なぜだか、その問いかけに僕は胸の中がざわざわするような感覚に襲われているのがその時わかった.....