新たな旅路へ
その森の中にはその夜ある一部を照らす赤い光がともっていた。その光の回りには夜の静かさにつられ、
寝静まったミナトとケイ。そして、その光を囲むようにし
未だに少し濡れているコートなどを乾かしている
マイとサクがいた。
「それにしても、まさかあそこまでミナトの技は応用がきくとはな」
「うん。でも、やっぱりミナト自身の消耗は結構激しい感じだし、あんまり無理はさせられないね。今も死んだように寝ちゃってるし、よっぽど疲れたんだろうね」
私たちはミナトのおかげであの城から抜け出すことができ
湖に落ちた後は近くの岸に辿り着いて、この森で暖をとっているという状況だった。
「なあ、一つ聞きたいことがあるんだが....聞いていいか」
すると、サクは手を焚き火のところを近づけ、暖をとりながら、私にその言葉を投げかけてきた。
「なに?」
「マイはなんでそんなにミナトを信用できるんだ?」
私はその突然の質問に驚いたのか、サクの方を一点に見つめるように固まったのを感じた。
「ああ、違うんだ。俺もミナトのことは信頼してるし
俺たちの中でもかなり頼りになる存在だ。だが、何の迷いもなく、信頼できる理由を知りたくてな。お前はこの中だとミナトと一番関係は長いしな」
確かに.....私は今まで疑問にすら思っていなかったことをここでサクにより気付かされることになった。
私はなぜ、ミナトをこんなにも信用できてしまうのだろう
それは理屈とかではない。ミナトを見ていると不思議と波長があうような気がし、考えていることもなんとなく予想がついた。そんなに出会ってから日は立っていないのに
ずっと昔から接してきたような感覚すら持ち合わせていた
「わからない.....だけど不思議とミナトを見ると信じてみたいって気持ちになるんだよね」
答えになってなんかなかった。それなのにサクは少し納得したような表情を私に向けていた。
「そうか」
そう一言言い、先ほどから乾かしている服を見に行ってしまった。
私はぐっすりと眠っているミナトの方を物思いにふけるようにソッと見つめていた。