語られる真実 〜ハルカ視点〜
やっぱりな.....俺の思ったとおりだ。
レナは昔からこうやって他人を信頼してとことんそいつを
信じようとする。全く変わってない......
だからこそ俺はレナを突き放すようなまねをした。
もしこのことを知ってしまったらきっとレナは相当なショックを受けるに違いない。だったら俺の中に留めておいて
レナには明かさないことが最善の手だと思っていた。
だけど、俺の予想が甘かったらしい。
レナは俺に対しての信頼はあの事件を起こしてからも
ちっとも変わっていなかった。普通なら見捨てるなり
断罪するなりするところをこいつは話を聞こうとし、
受け入れようとしてくれた。俺はそれがどこかで嬉しいと思えてしまっていたのかもしれない。
俺は彼女の言葉を聞いて、このことを話そうと決めることができた。話さなければならないという気持ちがどこかで
あったことも事実だった。それを彼女の言葉が後押しするように俺は語ることに決めた。
「.........だよ」
あいつの名前を口をした時は
やはりレナも相当驚いた様子を見せていた。
いや、それだけじゃない。どこか絶望や失望のようなものもその中に内包しているような感だった。
「俺はあいつがガーランドの会社の社長と懇意で
しかも、会社への何かしらのアドバイザーのようなものになってることを掴んだ。だから俺は社長にあいつの居場所を聞こうとした」
もちろん、世間が煽り立てるように俺は初めから脅すつもりで迫ったわけではない。だけど、最後の手段としての
ナイフを持たなければならないほどに俺はあいつを探し出すことに必死だったのかもしれない。
「話してくれてありがとう」
彼女はそれだけを言い、全てに納得したような表情を浮かべながら後ろにいた案内人に連れられ部屋から出ていった
俺の目的だったあいつを探し当てることは達成できなかったが、それでも何か心の中に詰まっていたものを吐き出せたような気がして不思議と肩の荷は降りたように
スッとした気持ちになっていた