主との対面
ミナトはアリーショの激戦を終え、三人に合流するべく
彷徨っていた。
「すごい.....今まで通ってきた通路よりよっぽど広いところにでちゃったな」
人が十人近くは通れるであろう通路に辿り着き、
僕はその通路を早歩きで進んで行った。
なぜだかはわからないが僕はこの通路を進むたびに
何か威圧感のようなものに襲われ、進むたびに四方を確認する仕草を行った。
こんな大きな通路に対して小さな僕は圧倒されていた。
ただ、この広さ以上の何かに押し潰されるような感覚があり、遠くから獲物として何かから狙われているというような感じ。
それに対して僕はただ吸い込まれるように進むしかなかった。明かりは一つもなくただ床に敷かれたカーペットと
暗がりだけが僕の目の前にあった。
しばらく進むと何か遠くに扉らしきものが見えた。
それも今まで見てきた扉とは比べものにならないぐらいの
巨大な扉のように遠目からだと感じられた。
僕はゆっくりとその扉に近づいていき、目の前にそれが
現れると今までに見たことがなく、僕の3倍近くはある大きな扉だった。
「ふぅ〜」
ギィィィ
その扉は案外軽く、簡単にその部屋に入ることができた
すると部屋の周りには家具や飾り物は全くなく、
奥の方に天蓋のようなものがかかっており、その中には
大きな椅子のようなものが見受けられた。
「よく来たな。新たな能力者よ」
「!!!」
突然どこからともなく声が聞こえ、僕に対してそう呼びかけてきた。
一体誰だ.....。そう思っているとその天蓋の中に一つの大きな影が現れ、椅子に腰をかける様子が伺えた。
「ここに来たということはもうすでにアリーショを倒してきたということだな」
その言葉から僕は直感的にこの人物が誰なのかははっきりした。この城の城主であり、アリーショや街で見た少年のような人物の主。
「最近はやつらの追撃を交わすためにこの城に逼塞気味だったが、久々の強者の来客は嬉しい限りだよ」
そう言いながら、その天蓋から彼はその姿を現したが
その時は暗がりの中で表情などは一切見えなかった。
「久しぶりの相手だ。力加減を少し誤るかもしれんが
そこは了承してくれ」
すると、主の背中から大きな紫色のような羽が生え、
自らの体を覆うようにした。
「なんだ!.....」
その羽のヴェールが解かれると共にその主の姿が僕の目にはっきりと確認できた。
僕の何倍もある巨大な体、大きな羽に加え、頭にも羽のようやく紫色の冠、髪も羽と同じ色で一部は腰のところまで伸びており、上半身は腕を含め白く、下は白色の羽毛なようなものに覆われていた。顔は端正な顔立ちをしていながら紫の瞳は異形なものながらもどこか美しさも感じさせるようなものがあった。
「さあ。始めようか」
その言葉には今まで味わったことがない響きが僕に伝わり、僕は瞬時にオーラを出し、その巨大な怪物と対峙することとなった。