腕試し
ミナトが扉の下に設置された落とし穴から落ち、
アリーショと戦っていた頃、サクはミナトを落とした
張本人と向かい合っていた。
「アハハハ!あの子はおそらくアリーショの餌食になるだろう。そしてお前は私の餌食になるってこと」
そう話す人物は風貌はまるで魔女のような服装に身を包みながら、中性的な見た目をしており、声も廊下に響くような甲高い声を発していた。
おそらく、さっきのミナトを落とした穴もこいつが作ったのだろう。それにケイが攫われた能力にも似ている。
「まあ、お前たちとは初対面ではないけどな。お前たちとはついさっき城下であったからな〜」
やはりそうか。だが、あの時いた少年のようなやつとは
明らかに出立が違う。どこにいたんだ。
「アハハ〜!私がどこにいたかわからないような顔をしているな!ならもう少しピンと来るようにしてやるか!」
そう言い残し、その姿は俺の目の前から姿を消した。
薄暗い廊下にある僅かな光に照らされた中一人取り残されるような形となった。
早く倒してあいつらと合流しないとな.....
とにかく今はこいつの能力を見極めることだ。
「!!!!」
俺は地面から聞こえてきた微かな音を聞き、少し後ろに身を引いた。その地面には何の痕跡もない。
やはり、あの街での能力と一緒だ。あの時いたのは
あの少年一人ではなかったと言うわけか。
なら、いい機会だ。俺の腕試しとして戦わせてもらおう
.......そこか!!!
バンッ!!!
「グァ!!!」
俺はあの街の時と同じように音の聞こえた方へ銃を放った
俺の銃弾を受け、そいつは地面からひょいと体を出し
肩のところを抑えていた。
「ハァ....なるほど....これがリーリーが手に受けた銃弾....
これは中々効くな〜.....」
すると、先ほどまではニヤニヤとした笑顔を見せていた表情は一気に消え、声色も低いものとなった。
「私も本気を出さないとまずいね」
そういうと、再びその姿は暗闇へと消えていった。