対面
「........ここは......」
先ほどの穴から落ちてきた先にはベッドや椅子、机
壁には絵画など生活感の溢れる情景が広がっていた。
「あれ......?」
僕はふと天井を見上げると僕が落ちたきたであろう穴の
箇所はオークのような素材の天井に覆われていた。
「どうしよう。早く出口を見つけないと」
そして、僕は出口を探そうと少しフラつきながらも立ち上がった。
「あら。もういっちゃうの?坊や」
すると後ろから女性のような声が聞こえた。声色は透き通ってはいたがどこか不気味さを感じるような声だった
振り返ると髪は目を隠すほどに長く、黒の長袖にロングスカートが一体となった服を来ていた。
背丈も僕の何倍もあり、170ほどはあるような感覚だった
「あの、あなたは?」
「あら?律儀に聞いてくるのね。そういう素直な子は結構好きよ」
そう言いながら、長い髪の間から笑みが見え、その女性は僕の問いに対して答え始めた。
「私はこの幽霊城の蜻蛉の間の住人。名前はアリーショ。
よろしくね〜」
その雰囲気からのおどろおどろしさからは感じられないような陽気さをともなった口調でそう語った。
「あなたは.....いや...あなたたちの目的は一体.....」
すると、フッとまたしても小さな笑みを浮かべ
「あら、気になる?仕方ないわね.....じゃあ、端的に教えてあげようかな」
そして、アリーショと名乗った女性の指からは小紫のような色をした糸を出し、それを見せつけるようにしながら
僕の方へ目線を移した。
「私の役割は....あなたをこの部屋から出さないこと。ただそれだけよ」
その時の声は先ほどの陽気さを消し去り、恐怖や嫌悪感では表せないようなそんなものを纏っていた。
「戦いはあいつ以来だから、手加減はあまりできないけど、悪く思わないでね」
5本指から垂らされたその糸は途端に僕の四方に展開し
まるでテントが貼られた中に入っているような感じ....
僕はフラつきをまだ抱えながらその光景を少しぼんやりと
眺めるような形でそれを捉えていた....。