坊やとの会話
ミナトたちと離れ、一人マイが戦っていた頃、
ケイは一人、狭い個室の中で意識を失い、地べたに倒れ込んでいた。
「ん......どこだ......ここ.......」
俺は目を覚ますと、あたりは少し暗がりがある小さな個室で冷蔵庫のようなものや机、椅子などがいくつかあり
生活の跡が見え、未だに誰かが住んでいることは容易に想像できた。そして、俺はあることに気がついた。
俺は手と足を縄のようなもので縛られていた。
「チッ。困ったなこりゃ」
「おう。やっと起きたかお前」
すると、後ろの方から突然声が聞こえ、俺は動かせる範囲で目一杯後ろに振り返った。
「お前誰だ!なんで俺を縛りやがる!」
「起きた途端うるさいやつだな〜!これも俺の仕事のうちのひとつなんだよ」
俺に対して向けられた少しめんどくさそうな声色をした
人物はゆったりとした黒いフードを被り、フードの中からは暗がりながらも顔が伺え、ミナトと張り合うぐらいに幼く、背もあまり高くは感じられなかった。
「おい坊や。大人に対してこういういたずらすると後で痛い目見るぞ」
するとフードの坊やは途端に地団駄を踏むように怒りだした。
「俺はガキじゃねえ!!成人してんだよ!俺は!」
「......おいおい。見栄張るのはよくないよ。坊や」
「だから、ガキじゃねえ!.....ったく。とんでもなく失礼なやろうだな。貴様は」
そう怒りながら、部屋にある冷蔵庫のところへ向かい
冷蔵庫を開けると、ガチャガチャと音を立てながら物色し、ビン状のものを取り出した。
「はぁ....貴様と話してたら喉が乾いたな。お前にはやらないからな。俺のサイダーだぞ」
「ここでお兄さんのために縄を解いて飲み物をやる道徳心を持つことも大切だよ。坊や」
「だから!その呼び方やめろ!」
押し問答を繰り返していると、瓶のジュースを開けようとした彼は少し不満げのある表情を浮かべ始めた。
「チッ....そうだ。あいつ今下にいんのか」
微かに聞き取れる程度の声で独り言を話し、その視線は
瓶に向いており、俺はなぜに彼が困っているかを察した
フフッ....ああは言ってもやっぱり子供だな。
そう思いながら、俺はあることを思いついていた.....