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家族

辺りには白い風景が一面に広がっていた。

その奥にぽつんと立つ人影があった。

その人影はどんどんと遠のいていく。

追いかけようにも追いかけられなかった.......


「ん........」

僕は目を覚まし、少しばかり起き上がった。

そこは殺風景な部屋で、大きな黒い鞄が置かれているのみだった。


「あれ.....僕は一体......それに.....ここは.....」


僕は確か森にいて、それであの巨人に助けられて....

ダメだ.....その後が思い出せない......


「おっ?目が覚めた?」


その時、部屋の扉が開き、一人の少女が話しかけてきた

髪は赤みがかっており、年齢は17歳ぐらいに見える女の子だった。


「大丈夫そう?私の家の前で倒れ込んでるところを運んできたところなんだけど。」


そうだったのか.....僕は知らず知らずのうちに彼女の家のところまで歩き続けていたらしい。


「うん。大丈夫。ありがとう。助けてくれて。」

僕は彼女にお礼を言うと、彼女は笑顔をこちらに向けながら話してきた。


「全然大丈夫だよ!むしろ元気そうで良かったよ!」


そう言いながら、こちらに再び笑顔を向けてきた。


「昔からお姉ちゃんから人助けの大切さは教わってたからね!」

そう彼女は言い放った。

しかし、その表情にはどこか哀しみを含んでいるように

僕は思えた。


「あの.....君のお姉さんは?」

僕はその違和感から彼女にそう質問してみた。


「............いなくなったの.....1年前に......」

彼女は少し沈黙した後にそう答えた。


「私たちは小さい頃に両親が死んで、お姉ちゃんは一人で

働いて、私を育ててくれたの。二人で笑い合ったり、

辛いことも一緒に乗り越えてきた。私にとっての唯一の

家族なの。」


それを語っている時の彼女はとてもいきいきしていた。

お姉さんへの尊敬と愛情と言うものがひしひしと伝わってくるように....


だけど、僕にはわからなかった。なぜそんなに楽しそうに語るのか......


家族というものも僕にはわからなかった.....


「私はお姉ちゃんを探す。そのためにお金もたくさん集めた。」


部屋にあるあの大きなカバンや僕が今寝ているベッド以外に何もないこの殺風景な部屋などによりそのことは少し

想像がついた。


そして、何より彼女の表情は決意に満ち溢れていた。


「その旅......僕もついて行っていいかな?」


「え?」


「僕には家族ってものはよくわからない。だけど、

何かとても大切なもののような気がする。

僕はそれについて知りたい。何より、君への恩返しも

やらなきゃならない。」


僕は咄嗟だった。彼女が語るような家族......

僕はそれがとても気になっていた。


「..........今回の旅はただの旅行じゃない。かなりの長旅になるし、途中で多分様々なトラブルにも出会う。

君には多分かなりの苦労をかけると思うの。

それでもいいの?」


彼女はこちらに真剣な表情で問いてきた。


「うん。それでも行きたい。」


それに対し、僕も決意を彼女に伝えた。


「わかった!なら、改めてよろしくね!」


先ほどとは打って変わり、屈託のない笑顔をこちらに見せた。やはり彼女の笑顔には何か安心できるものがあった。


「あっ!ちなみに君の名前はなんていうの?」


「え?」


「ほら、ずっと君っていうのもなんだし。」


名前......そういえば僕の名前はなんだ.....


「わからない...自分の名前がなんなのか....」


彼女は少し、悩みながらこう答えた。


「だったら、私が名前をつけるってのはどう?」


「え?」


「ん〜?そうだ!ミナト!ミナトなんてどう?」


ミナト.....僕の名前はミナト.....


「うん。いいと思う。」


「よし!じゃあミナト!よろしくね!あっ!私の名前は

マイ。気軽にマイって呼んでくれていいよ!」


そう言い、マイは握手を求めてきた。


「うん。よろしく。」


僕はマイのその求めに応じ、握手を交わした。



こうして、僕とマイの新たな旅が始まることになる。







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