いざ幽霊城へ!
「ケイー!!!どこ行ったのー??」
僕たちの声は殺風景なこの街に響き渡り、
消えたケイの行方を求めるように反響していた。
「どこいっちゃったんだろう」
「ミナト。ケイは何も言わずに突然消えたのか?」
僕にそう聞いてきたサクに対して、何も言っていないことを告げると、サクはあたりを見回しながら、少しばかり
睨みつけるような表情を浮かべていた。
「二人とも。俺から離れるなよ」
そういうと僕たちの背中に入るようにサクがこちらに
寄り、円陣のようなものを形成していた。
「間違いない。ここのどこかに誰かがいる」
警戒しろと言わんばかりの声色で僕たちに投げかけ、
僕やマイにも重い緊張感が駆け巡った。
「..............」
長い沈黙がこの街全体を覆うようにして流れ、
風の音が耳に囁き声をかけるかのような感覚だった。
「!!!!!!!」
突然、地面から手が見え、僕の足を捕えた。
かなり力が強く、まるで蟻地獄のように引きづられてしまいそうだった。
「そこか!!!!!!」
バァン!!!!!
「グゥ!!!!」
サクが放った銃弾はその手にあたり、手の主であろう
人物は痛みを感じた声を発し、再び地面へと潜り込んだ
「大丈夫か?ミナト」
「うん。ありがとう」
そのような会話を交わしていると少し離れた前方の地面からひょこっと生えてくるように頭が飛び出し、その後
体が勢いよく姿を現した。
体は少しばかり小さく、顔は黒いフードをかぶっていてよく見えなかった。
「はぁ〜。あんたのさっきの銃弾、めちゃ痛いよ〜」
そう言いながら、先ほど当たったであろう手の甲のところに口から息をかけ、痛がっているそぶりを見せた。
「まあ、僕の目的はあんたたちとここで戦うことじゃないけどね」
少しばかり除くことができる表情からは、この暗がりの中でも笑っていることがわかるようにその白い歯がこの陰鬱とした街に残っている光でなんとか確認することができる。
「僕たちの主から君たちに招待状だよ。」
招待状?.....主?.....一体なんなんだ。
「君たちの仲間の一人は僕たちが預かってる。助けたければ、すぐそこの山。ガゼル山の上にある幽霊城に来ること
それじゃあ。また後でね〜!」
そう言い残すと、再び地面に潜り、どこかへと消えていった。
「幽霊城って.....もしかしてあの噂の?....」
ケイが言っていたあの噂の城......あそこには誰かがいる
「ああ。だろうな。おそらく今までの行方不明者もさっきのやつか。それともその仲間にやられたんだろう。」
「とにかく、ケイを早く助けに行かないと!」
マイは今すぐに行かんとする気迫で捲し立てた。
「待て。軽率に動くべきじゃない。」
「でも!」
「焦りにかられて行けば、奴らの思う壺だ。とにかく
幽霊城へは否応なしに行かなきゃならない。だが、
絶対に単独行動はするな。いいな?二人とも。」
その言葉によりマイは少しばかり冷静になり、
納得をした様子だった。
こうして僕たちはケイを助けるために幽霊城からの歓待を
受け入れることになった.......。