表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/70

風来坊

ここは......どこだろう......

視界は少しばかり波打つようにぼやけており、

その視界の間から覗き込むように確認できるだけだった。


そこはどこか部屋のような一室であり、窓からはわずかながら、陽が差し込み、僕の目覚めを促すかのようだった


周りには誰もいない........。

だけれど、そこに誰かが来ることを待ち侘びているような

そんなよくわからない感情が今僕の中にあった。


それはマイやケイではおそらくない.......。

誰だろう......僕の体は動かない.....。

まるで手入れもされず放置されたように陽の光が容赦なく

僕へ降り注いでいた.....。


夢のようだけれど.....現実でもあるようなそんな感覚.....

まるで自分の実体験がそのままそこに映し出されたような





「お?ようやくお目覚めか。」

僕は再び目を開けると目の前にはケイとマイがその場に座り込んでいた。二人の前には焚き木が灯されており、周りは木々が生い茂る林のようなところだった。

辺りは暗くなり、その焚き木の炎の明かりはより一層

輝きを増していた。


「もう、大丈夫そうか?」

ケイはこちらを覗き込みながら、伺ってきた。

そう言えば、僕は確か汽車の中でマイに意思を伝えて、

そこからの記憶はなかった。


「うん。大丈夫。そう言えば汽車はどうなったの?」


「ん?ああ。燃えちまったよ。マイの火力が強すぎてな」


「仕方ないじゃん!まだあんまり加減わかんないし。」

頬を膨らますように怒るマイをケイは笑いながら、

弁明を試みていた。


「とりあえず。ミナトの体調も戻ったし、明日ぐらいには

ハイルに着けそうだな。」

腕を思いっきり伸ばしながら、ケイはマイの持っていた

地図を確認しながらハイルまでの道程を語った。


「にしても、お前らのあの能力何なんだろうな。

俺には一切あんなのできないぞ。」


僕らの能力.....確かになぜ僕たちにはこの能力があるんだろうか......。


ササッ。


「!!なんだ!!」

その時、周りから草を掻き分けるようなぼくらの耳に入った。あたりにはそよ風すらも吹いていない。


僕たち3人は互いに円陣を組むように集まった。

焚き木の明かりは消え、深く広がっていた闇が僕たちを

包み込むように迫った。


「............」

互いに身構え、この林のどこかにいる何者かに備えた。


サササッ!!!


音は激しくなり、先程よりも近づいてることはわかった。


「!!!!!!」

突如、ケイの目の前に虎のような動物がケイに目掛け、

飛びかかった。この距離ではほんの数秒で覆い被さるで

あろうスピードだ。


僕はすぐさまオーラを発現させようとした。

しかし、まだ体力は万全ではなく、オーラは出ない。

マイもここであの能力を使っては僕たち諸共燃え尽きる。


パンッ!!!!


「ガァァァァァァ!!!!」

その銃声のような音が聞こえると、虎は眉間から血を吹き出し、その場に倒れ込んだ。


「大丈夫か?あんたら。」

声のした方向に僕たちは一斉に視線を集めた。


暗がりでよく見えなかったが、そこにはレザージャケット

のようなものを肩に引っ提げ、中折れ帽を被り、

その出たちはまさに風来坊と呼ぶにふさわしい男が

佇んでいた.......。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ