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脱出

僕を信じて........

これだけの文字数しかないけれど、

その言葉にはどこか私の心をまるで温かく包んでくれるような包容力と私に課せられた使命感のようなものを突き動かすのに十分なものを持っていた。


「そろそろ終わりだよ!!」

老婆は疲れ果てたような様子で、最後の力を出し切るかのような少しばかり弱々しい声で襲いかかった。


.........私は......ミナトを信じる.............。


私の決意はその心の中にある炎のようなものを焚き付けた

それに共鳴するかのように刀には炎が再び宿った。


その炎は老婆を飲み込み、車内は豪炎に包まれた。


「二人とも!!」

私は急いで、5号車へと歩みを進めた。


「マイ!!!」

そこからケイの声が聞こえ、私はそこへ向かった。


「ミナト!ケイ!」

私がそこに辿り着くと、ミナトは倒れ込んでおり、ケイが抱き抱えるように支えていた。

まるで熱を出しているかのように息遣いが荒くなっている


「さっきの意思伝達のやつでかなり体力を消耗したっぽいな。とにかくここから早く出ねえと!」


もう炎は隣の部屋をすでに覆い尽くし、すぐにでもこちらに迫ってくる勢いだった。


「どうやら、この号車にも細工が仕掛けられてある。

ドアも窓も全く開かなくなってる。」


「じゃあ、6号車からは?そっちに移動すれば!」


「無理だ!6号車へ向かう扉も締まりきってた!

この汽車自体があの婆さんの一部と言ってもいい。」


私は刀の鞘などで窓ガラスを割って外に出ようと試みた

しかし、その窓ガラスは割れるどころかヒビすら入るそぶりを見せなかった。


まずい....このままじゃ.....私のせいで二人が......


「マイ。お前のさっきみたいな炎を使ってここをこじ開けよう。俺の合図で開いた隙に外に出る。」


「でも!そんなことしたら!」


「それしかない!ミナトも今は能力を使えないし、

俺にはそんな能力もない。お前だけが頼りだ。」


私はまだ迷いがあった。ケイはおそらく覚悟を決めている様子だった。だけど私には......。

さっきのようにドアなどの防ぐものはなく、失敗すれば

私たちは炎の渦に包まれてしまうだろう。

そのような悪い結末を描いていた私にケイは問いかけた


「大丈夫だ。ミナトが力を出し切って、マイもそれを信じて、あいつを倒せたんだ。まだ俺は二人と会ったばかりだが、その信じる力を信じたい。だから、マイならきっとできるって俺には思えるから。」


確かにケイとはまだ出会った数時間しか経ってない。

けれども、彼にもミナトと同じで何か魅力.....もしくはそれ以外かもしれないが私を信頼させてくれるような何かを持っていた。


炎は刻一刻とすぐそこに迫っていた.....


「マイ!お前に俺を信じさせてくれ!」


私は刀に一気に炎をかよわせ、構えを取った。


「行くよ。ケイ。」


「おう。わかった。」

私の覚悟を感じ取ったようにケイもミナトを抱えながら

外に出る構えを取った。


少しばかり足が震えていたかもしれない.....

しかし、その時には私はそれを感じることさえもままならなかった。


「外に出て!!!」


私はその合図と共に刀をふるった。

前面の窓は瞬く間に崩壊し、その中は炎の海と化し、

隣の炎とまるで肉親との再会を果たすかのように勢いよく合流していた.........




















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