トライアングルレッスン 続・ゆいこが転生したら◯◯だった件〜転生したら男性でした〜
「ユイコール殿下。婚約者の姫君方とお茶のお時間でございます。」
長年わたしに支えてくれている執事がわたしを呼びに来る。
「わかった、今行く。」
わたしはそれまで目を通していた書類をトントン揃え、綺麗に机の上に置いた。
婚約者である姫君方との交流のお茶会は王太子であるわたしにとっては義務でもあり、癒しのひと時でもあった。
ここはタッツーミ王国。
そしてわたしはこの国の第一王子であり、王太子。
この国では複数の妻を娶ることができるため、複数人の婚約者がいることも当たり前だった。
「ユイコール殿下!」
「ユイコールさま、お待ちしておりました。」
庭のテラスで、婚約者のタクミーナ姫とヒロシリア姫がわたしを見つけて満面の笑みを浮かべて椅子から立ち上がった。
「すまない、姫君方をお待たせしてしまっただろうか」
わたしはタクミーナの手を取り、小さくチュッとキスを落とす。
「いえ、大丈夫ですよ、殿下。」
無邪気な笑顔を浮かべるタクミーナ姫はわたしよりも年上のはずなのだが。
淡いピンク色のドレスを身に纏ったタクミーナ姫の頬がドレスと同じ色に染まる。
わたしはにこりと姫に微笑んでみせた。
「ヒロシリア姫、業務の途中ではなかったか?」
「ユイコール様とのお茶会以上に大事な仕事なんてありませんわ。」
タクミーナ姫とは打って変わって、騎士の制服に身を包むヒロシリア姫。
彼女はわたしの親衛隊の隊長を務めるほどの剣の腕の持ち主だ。
わたしはヒロシリア姫の手にもチュッと小さく口付けた。
「さぁ、お席にお着きになってくださいな。お茶請けに今評判のいちごタルトを用意させましたの。」
タクミーナ姫が嬉しそうに言う。
「タクミーナ、あなたは自分が食べたいだけなのではなくて?」
「あ、ヒロシリア、ひどい!わたしは殿下と一緒に食べたかったのですわ!」
幼馴染の二人はいつも和気あいあいと仲良さげにじゃれている。
そんな二人の空気が好きだった。
仲の良い二人の掛け合いに、ふと脳裏に制服に身を包んだ男女3名の映像が浮かんで来る。
小柄な女の子と長身でハンサムな二人の男性。
これは・・・・わたしが持つ前世の記憶。
鮮明な記憶ではないものの、生まれるずっと以前からタクミーナ姫とヒロシリア姫とは心安い関係であったことは熟知している。
昔は・・・3人でいつまでも一緒にいる事はあの国の道徳上、叶わなかった。
が、今は違う。
わたしはこの二人といつまでも一緒に居られる。
わたしはもう一度タクミーナ姫とヒロシリア姫の手を片手に一つづつとり、キュッと優しく握りしめた。
「ユイコール殿下?」
「ユイコールさま?」
頬をピンク色に染め、嬉しそうに、でも若干不思議そうに首を傾げて二人がわたしを見る。
「・・・二人とも・・・ずっと一緒にいて欲しい。前世も今世も、そして来世も・・・ずっとずっと一緒に・・・。」
わたしの告白に、二人が「はい」と微笑んだ。