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おじさんと収穫期 四

「衣類を持って帰ってきたのは、そういうことかい。物資集積所でそんなことをしてるのは知らなかったね」


「領主様って孤児院に寄付もしてたんッスね。そういえば、収穫期前後は新しい服もらって飯も多かったッス」


「ふふふ、危うく衛兵さんになるところでしたねぇ。あ、この服は普段着によさそうですぅ」


「大量に衣類持って帰ったから何事かと思ったわ。でもゴンゾウが報酬の一部で貰ったのに私達まで良いの?」


「ええ、皆で使うために、持ってきましたから。あ、皆さんにお願いが、物資集積所から、処分品を貰ったこと、内密にしてください。極秘ではないと、言ってましたが、広まると面倒になるとも、言っていたので」


「その衣類も元は税で購入したものでしょうから、言ってしまえばこれは横流し品ですね。処分品目当ての人が集まりそうですし、騒ぎになれば孤児院への寄付も無くなってしまうかもしれません。アンナさんに口止めも致しますし、皆さんも内密にした方が良いでしょう」


「カエラの言う通りだね。ゴンゾウの気持ちはありがたいが、大量に持ち帰るとどこから広まるかわからないよ。次からはこの半分以下にした方がいいんじゃないかい?」


 物資集積所からは持ち帰った衣類は皆に喜ばれたけど、処分品とは言うがカエラさんが指摘したように横流し品だ。あまり良い目で見ない人も多いだろうし、セイランさんの提案どおり次からは必要最低限にさせてもらおう。


「内密ッスね。わかったッス。それにしても物資集積所からは処分品、木材加工場からは薪になる端材って町中の依頼でも役得があるんッスね」


「ゴンゾウさんだから、という部分もあるかもしれませんよぉ。運搬の以外でもそうですが、依頼達成のための最低限で済ませる人は多いですから、依頼以上のことをしてくれるゴンゾウさんへのオマケ報酬だと思いますぅ」


「以前ゴンゾウの仕事を見学したじゃない? そのときも私たちがお昼で帰る前には普通の冒険者がやるような範囲はかなり早くに終わっていたもの、一人で何人分も仕事をするゴンゾウは重宝されているはずよ」


「仕事する先々でここで働かないか? って勧誘されるあんたが簡単に想像できるね。木材加工場でも物資集積所でも他の場所でもゴンゾウの腕力と体力はほしいだろうからね」


「ゴンゾウさんをパーティーに迎えられた皆さんは、運がとても良かったのかもしれませんね」


 なんかめっちゃ誉め殺ししてくるね。でも一番運が良いのは私だと思う。遭難して一人で狭い木に開けた穴で生きていた私には、こんなに恵まれた状況になるなんて思いもしなかったからなぁ。


 恥ずかしいのもあって話をがらっと変えてしまうが、収穫期っていつまで続くんだろうか? 農業は全然詳しくないし農地に関わったのも先日の警備の時だけで、全然想像が出来ない。集積所の仕事みたいに間接的に関わることはあるだろうけど。


「収穫ならあと十日もかからずに終わるはずですよぉ。収穫祭が楽しみですねぇ」


「あと十日かからず終わるのが不思議って顔だね。衛兵や冒険者も収穫には参加してるからね。ゴンゾウほどじゃないが、あいつらも一般的に見りゃ十分な力と体力があるんだ。それが集まりゃそんなもんさ」


「それに元々農地で働いている人もそれなりの人数がいるのよ? 彼らは専門でやっている分、力や体力で劣っても経験や知識で補うから農地での熟練者は冒険者や衛兵以上に動けるわ」


「エナは豊作だった去年の収穫に参加したッスけど、農地の人達は熟練の技って感じで驚いたッスね。もぎたての野菜もらってその場で食べたのがめっちゃ美味しかったのも覚えてるッス」


「その頃のエナさんは春の風に加入したばかりで、ランクがあと少し足りなくて色々と奔走していた時期ですね。冬季に入る前に討伐限定Cを取ったのでしたね」


 そうなんッスよ! 大変だったッス! とテンションの上がったエナさんは手振りを合わせて当時の苦労話を聞かせてくれる。


 冒険者ギルドから提供された宿泊施設は安かったが狭い部屋に十人での共同生活で大変だったこと、冒険者になってから毎年冬が怖かったこと、ソロで大変だったこと、パーティーに誘われて嬉しかったこと。


 皆でエナさんの独演会に相槌を打ったり突っ込んだりと、楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、明日のためにも就寝のために全員が部屋に戻る。


 明日は準備に同行して明後日は皆に同行……か。収穫祭も近いみたいだし、この世界に来て初めて経験するお祭りだ。


 地元では夏祭りがあったけど、規模も小さくて人出は多かったが混雑と言うほどではなかった気がする。こちらのお祭りは大混雑の朝市を経験しているだけに、もしかして大変なことになるんじゃなかろうか。


 うん、皆から離れないようにしよう。最悪パーティーハウスに籠っていれば良いかな。

 

お読みいただきありがとうございます。


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