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おじさんと浮かれるおじさん

「やっぱり兄ちゃんに頼んで良かったなぁ。三日はかかると思っちゃいたが、一日どころか日も沈まないうちに終わるとは思いもしなかったぜ。

 俺とそんなに変わらない体格してんのに、相変わらず兄ちゃんはすげぇ力してるわ。依頼した額の報酬じゃこっちの気がすまねぇから、増額しておくよ。この蜂蜜酒もおまけだ! また頼むぜ!」


「ハンスさん、ありがとうございます。ハンスさんの指示が、適格だから、出来たことです。こちらこそ、仕事をいただいて、報酬も増額、していただき、ありがとうございました」


 ハンスさん指示の元、木箱をあっちにこっちに移動して、お店の方にも荷車を引いて持って行き、倉庫の整頓は夕方と呼ぶにはまだ早い明るい時間に終わった。


 ハンスさんは私を褒めちぎってくれるが、やはり倉庫番をしているだけあって無駄な指示が一切なく、パズルゲームをするかのように倉庫が一気に片付いてしまった。



 その後、ハンスさんにうちで働かないかと勧誘されたが丁重にお断りし、完了報告のため冒険者ギルドに足を運ぶ。


 受付では三日連続で難易度の高い運搬系依頼を高評価で終わらせているため、限定ランクCには早く上がるかもしれないと告げられたが、そのためには簡単な試験があることと、普段の素行が悪いと評価が下がるから気を付けるように注意もされた。


 冒険者ギルドから評価されるのは非常に有り難いのだが、高難易度依頼を三日連続で高評価を取ったことを、不正だったり談合だったりを疑わないのだろうか? 特に今日は知り合いの依頼だったんだけどなぁ。


 完了報告で私からは、口頭で軽く説明しかしていないのだけど、受注証に何か秘密というか暗号のようなものでも記載されているのだろうか?


 後から難癖つけるのは勘弁してほしいなぁ。もしかして「春の風」の評価や信用に私も乗っかっているのだろうか。などとジスさんを探しつつ考えていると、ジスさんが先に私を発見したらしく声がかけられた。


「よう、ゴンゾウ。今日も仕事だったのか? これで三日目じゃないか、たまには休めよ」


「ジスさん、こんにちは。体力には自信が、ありますから、まだ大丈夫ですよ」


「石柱担いで歩き回ったお前さんが言うなら、新人の見栄っ張りじゃないだろうが気を付けるこった」


「ご心配ありがとうございます。それでジスさん、今日は一緒に、飲みに行くって、言ってましたよね?」


「ああ、それで声をかけたんだが都合でも悪くなったか? それなら無理して付き合わんでもいいぞ」


「いえいえ。都合は悪くないですよ。カエラさんから、家で飲まないか、と提案されまして、私がまだ、夜道が危険ですから。カエラさんも、ジスさんとしばらく、会っていないから、会いたいと」


「カエラが会いたい!? マジかよゴンゾウ! え、カエラの家で飲んでいいの? 行く行く! よし! 早く行くぞゴンゾウ! あ、酒とつまみ買っていかないとな! カエラに土産も買わないと!」


 なんかジスさんのテンションめっちゃ上がったんだが? カエラさんがおつまみと夕食を作ってくれることを伝えると、さらにテンションの上がるジスさん。


 私でもこの短時間でわかるほど、ジスさんはカエラさんが大好きじゃん。カエラさんはそれを知ってたから、ジスさんなら必ず来るって言ってたのかな。


「ゴンゾウ! いや、ゴンゾウ様! 今日は奢るから早く行きましょう!」


「ジスさん、気持ち悪いから、普通にして、くださいよ」


 周りの冒険者達もジスさんのあまりの浮かれ様に、何事かと視線が集まっているし、ジスさんに声をかけてきた知り合いらしい冒険者も、テンションの高すぎるジスさんの返答に戸惑ってるから落ち着いてほしい。ほら、私に助けて欲しそうな目で見てきてるから。


 その後、絶好調なジスさんが酒屋で持ちきれないほど購入しようとするのを止めたり、カエラさんにお土産だと高そうな酒瓶を持っているのを見ない振りをしつつ、ジスさんと肩を並べて歩く。


 歩きながら手拭いを魔術で出した水で濡らして、顔や頭を拭いて髪を整えたり、変な髭が生えてないか私に確認したりと、浮かれまくるジスさん。


 奢りの酒瓶が入った荷物をジスさんと分担して持っているが、荷物を持って歩きながら小器用なことするなぁこの人。


「やべぇ。どうしようゴンゾウ。なんかめっちゃ緊張してきた。大丈夫かな? おれ変な臭いしない?」


「今さら何を、言ってるんですか。もう目の前ですよ。変な臭いも、しないから、大丈夫ですよ」


 アイリーンさんたち以外でこんなに気安く会話をするのは久しぶりだなぁ。同性ってこともあるかもしれないが、ジスさんは浮かれながらも気配りをしているのか話しやすい。


 気さくで顔も整っているイケオジだからモテそうな感じだが、そんなにカエラさんが好きですか。などと考えながら、浮かれるイケオジと普通のおじさんがパーティーハウスに着くと、どうやら泊まりで討伐依頼に出ていた四人も帰って来ているようだ。


 

お読みいただきありがとうございます。


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