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おじさん限定Dに昇格

「はい、依頼の完了報告ありがとうございます。とても高い評価を依頼主からいただいたようですね。では、こちらが達成報酬です。お確かめください。……よろしいですか?」


「ありがとうございます。……はい、確認しました。また明日、お願いします。では、お疲れ様でした」


「あ! 待ってくださいゴンゾウさん! ご連絡が二点あります。一つ目は運搬限定ランクがDに上がりました。おめでとうございます。この調子で頑張ってくださいね。冒険者証に記載しますから、お出しください」


「ランクが上がったんですか? ありがとうございます。もう一つは、何でしょう? 心当たりが、ないのですが」


「ゴンゾウさん。あなた真面目ですがせっかちですねぇ。もうちょっとお話しましょうよ。まあいいです。二つ目はゴンゾウさんを指名で倉庫整理と運搬の依頼が来ています。受注期限は三日後となっているのですが、いかがなさいますか? 今Dになったばかりですし、先方が希望しているだけですから、お断りいただいても大丈夫ですよ」


「指名ですか? どなたでしょう。……あ! 以前一緒に、アンゴンまで来た、行商人さん、ですね。うぅん、面識がありますので、お受けします。明日の朝に、伺っても、大丈夫でしょうか?」


「ええ。明日の朝なら、直接行ってもよろしいでしょう。では、こちらの受注証をお渡ししておきますので、無くさずに明日依頼主に渡してくださいね。

 それからゴンゾウさん。明日と仰いましたが三日で三件連続運搬系の依頼を休まずに受けることになりますが、無理をされていませんか? 体調管理も冒険者には必要な能力ですよ」


「ご心配、ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。腕力と、体力には、自信がありますから」


「それなら良いのですが、冒険者ギルドも運搬関連依頼を連日こなして、依頼主からも評価の高いゴンゾウさんの存在は有り難いですから、くれぐれも無理はしないでくださいね。はい、記載が終わりました。冒険者証をお返ししますね」


 冒険者ギルドの受付の女性から冒険者証を返却され、冒険者ギルドを去ろうとしたところで声がかかる。


「お! セイランとこのゴンゾウじゃないか、調子はどうよ。依頼の帰りだったら、これから飲みに行くんだが一緒に行くかい?」


「ジスさん、先日はありがとうございました。それと、ごめんなさい。今日は、カエラさんに、夕食までには、帰ると、伝えていまして。夕食を、用意していただいている、はずなので」


「あぁ、カエラね。……カエラかぁ。それなら帰った方がいいな。うん、帰った方がいい。オレが誘ったことも言わなくていいからな。それにしても家に男一人なんだろ? うらやましいんだが息が詰まらねぇの?」


「皆、良くしてくれますので、息が詰まることは、ないですよ」


「お前さんも真面目だねぇ。まぁいいさ。明日はどうだい? 稀人の話を聞いてみたいからよ」


「はい、誘っていただき、ありがとうございました。明日で良ければ、飲みに行きましょう」


「お! いいね。しっかしそう堅苦しく考えんでいいって、明日のこのくらいの時間にまたここで会ったら行く程度に軽く考えとけ。仕事で遅くなっても気にすんなよ。そんときゃまた後日でいいからよ。じゃ、またな。……あ! カエラには誘ったこと言わなくていいからな! マジで!」


 先日の私のアピールで、石柱を作ってくれた黒いローブを羽織った四十前後の男性冒険者のジスさんは、そう言うと手を振りながら去って行く。カエラさんそんなに怖いの? 


 ジスさんは私があの石柱を折った日から、私に興味を持ってくれたか、知り合いのいない私に気を使ってくれているのか、朝夕と声をかけてくれるのだが、ジスさんはギルドの職員なのだろうか? 


 私が仕事を始める早朝と、仕事の終わる夕方に二日連続で会っている。格好は冒険者のようで冒険者ギルドのフロア担当という感じでもないし、何してる人なんだろう。


 セイランさんとも気安く話していたし、悪い人ではないと思うのだが、明日飲みに行く約束もしたし、その時に聞いてみればいいかな。



 冒険者ギルドの修練場で、石柱を折るアピールをしたのは昨日の朝。昨日のセイランさん発案の私のお披露目? は成功したようで、ジスさんだけではなく他の気さくな冒険者達も声をかけたりしてくれる。


 何人かと押し合うだけの力試しもしたが、単純なパワー勝負なら今のところ全勝している。ちょっとでも小技を使われると、全敗しているけどね。


 冒険者はチンピラや荒くれ者を想像させる外見をしているが、爽やかというか体育会系のようで、話してみると意外と言ったら失礼だけど、盗賊のような話の通じない輩はいなかった。


 まだ私が会話をしたのは片手で収まるくらいだし、一言二言やり取りをしただけで全体像はまだまだ掴めていないけど。



 昨日は物資集積所での荷運び依頼、今日は木材加工場での丸太の移動と二日連続で運搬系依頼を受けたのだが、やはり単純なパワーがものを言う仕事は完全に私の天職だなぁ。


 どちらの依頼も数日かかる仕事を一日で終わらせたようで、依頼主から感謝されて報酬もかなり上乗せされていた。


 この分なら「春の風」で五人揃って行動できるようになるのも、案外近いのかもしれない。



お読みいただきありがとうございます。


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