表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/93

おじさんの初仕事

 冒険者としての説明も受け、私の目標が「Eランク(運搬限定C)」に定まり、報酬の分配も終わって、今日はこれ以上冒険者ギルドに用はなくなる。


「報酬の分配も終わったがどうする? 今日明日と休養日だ。明後日の準備日まであたいはもうギルドに用はないが、日もまだ高い。皆はなにかあるかい?」


「そうね……私からは特にはないかしら。ゴンゾウは初めての此方の町でしょ? なにかしたいことや見たいものはある?」


「皆さんがいいなら、ギルドの依頼に、どんなものがあるか、見てみたい。昨日は、混乱して、町もギルドも、よく見ていなかったです。今日もここに、座っていただけ」


「いいですねぇ。私は付き合いますよぉ。ランク不問でアンゴンまでの護衛や輸送依頼があれば、ゴンゾウさんの運搬限定ランクも早く上がりそうですからぁ」


「昨日は呆然としてたッスからね。エナも付き合うッスよ。町の様子はここもアンゴンも規模が違うだけで同じッスから、町歩きしてみるッスか?」


「あらいいわね、私も一緒に行くわ。ゴンゾウも此方に慣れないと色々と不便でしょうからね」


「それなら皆でゴンゾウの町慣れ観光といくかい。タイゴンはいつもギルド経由でしか用がないから、面白い店でも探すかね」



 そんな訳でギルドを出ることになり、受付カウンターで去ることを告げるとすでに冒険者証とパーティー加入証明ができていたので受け取る。


 これが私の冒険者証か。文字やなにかの印が彫られたクレジットカードより一回り大きい金属の板に穴が開けられ、革紐が通されている。皆の冒険者証と同じようだし、ランクで変わることはないのかな?


 冒険者ギルドや公共機関が把握できればいいんだから、いろんな素材で作る必要もないのかも?


 受付カウンターの向かいの壁に、びっしりと木の板や革が掲示されている。壁一面依頼で埋まるとかすごいな。


 しかし字が読めない。勉強も兼ねて読んでもらうと、一緒に描いてある絵や印と内容が関係あるようだ。ランク制限が印でわかるのね。


 町中での依頼が多いらしく、清掃、人やペットや物の捜索、荷運び、店の手伝いなどアルバイトの募集のようだ。


 森の中での採集や魔物の討伐もあり、食肉用の狩猟が多いと思ったがどこもこんなものらしい。


「お? この依頼ランク制限なくて、ゴンゾウならすぐに終わりそうッスよ」


「ギルドから出ているわね。大きな香木を集積所から木材加工場への移動? これってゴンゾウが牽いて来た香木じゃないかしら?」


「荷物は降ろせてもあれ一台? 一本? の移動のために、色々用意するのが面倒で依頼を出したのでしょうかぁ?」


「複数人でやるには安いがソロなら十分な金額だね。依頼が残るなら馬か何かに牽かせるつもりなんだろうさ。やってみるかいゴンゾウ?」


「ぜひ、やってみたいです。達成金で、なにか食べましょう」


「ゴンゾウわかってるッスね!」



 そんな感じで私の初仕事は簡単に決まった。木の板を壁から取って受付に渡し、文字と印の書かれたかまぼこの板のような受注証を渡される。


 完了したら加工場でサインを貰い再度受付に渡せばいいらしい。


 集積所の衛兵さんに受注証を見せて依頼で来たことを伝えると、すぐに案内されて香木の荷台とご対面。


 魔物素材など大量の収集物は全て降ろされ、香木の荷台だけが佇んでいた。うん、邪魔だわなこれ。


 防壁には東西南北に一ヶ所ずつ門があり、私達が入ってきたのは南門、南門の集積所から木材加工場は東門に向い防壁沿いに歩いて一時間はかからなかった。


 四人は周囲を警戒しつつ町の解説をしてくれた。


 大量の収集物が載っていない荷台はとても軽く感じ、足元も謎の硬い路面なので足がめり込むこともない。


 荷台を縦に持ち上げバランスを取って背中側に回す。背負い上げた私と荷台を四人にロープで固定してもらう。これなら移動も速いし香木も削れないだろう。


 防壁沿いはとても広い大通りになっており、荷台を背負った私が通っても全然邪魔にならない。集積所も大通りも天井がなくて良かった。


 香木の荷台を背負って歩く私を見た、集積所の衛兵さんやすれ違う人々、木材加工場の人が「うおっ!」と、驚愕の表情で同じ反応をする。


 アイリーンさん達は「わかるわかる」といった表情で頷いていた。私は苦笑いするしかない。


「兄ちゃん力すげぇな! うちで働かんか?」


と、ありがたいことに加工場の人に誘われたが、丁重にお断りさせていただいた。


 受注証にサインをもらい、ギルドに戻って完了報告をしたところで夕暮れになっていた。


 ここまでアイリーンさんに解説をしてもらいながら、全て私が手続きをしていたのだが問題なく出来ていたと思う。四人からの突っ込みもなかった。


 ギルドの受付が受注と同じ人だったため、短時間での達成報告を少し怪しまれたが、予想していたとばかりにセイランさんが冒険者証を出しながら説明したらすぐに信じてくれた。信用って大切だねぇ。


 こうして得た報酬は大銅貨一枚。日本円で一万から二万円だろうか。報酬高いな? と思ったが、複数人で半日かけて運ぶと考えると妥当どころか安いのだろうか。


 パワーで感覚のズレている私はいまいち貨幣価値がわからない。慣れないとなぁ。


 しかし、重量物を運ぶだけなら今の私には天職だな。パワーがあるなら収入には困らないだろう。


 収入まで解決してくれるとは、やはりパワーは素晴らしい。


お読みいただきありがとうございます。


続きが気になる、面白かった、なんやこれつまらんなど下部の☆☆☆☆☆を押して評価していただけると作者が喜びます。ついでにモチベーションにも繋がりますので評価お願いします。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ