プロローグ
山田権蔵38才独身はとても平凡な会社員である
趣味や特技は特になし、賞をもらったことも大会で好成績を納めたこともない。
生まれも育ちも進学も就職も地元だが、特に地元が大好きな訳ではない。愛着はあるが給料に反映されるなら、県外に転勤になっても悩まずに行ける。
家族は両親と兄と妹と権蔵の5人だ。
父親はまだまだ元気で現役で働いているし、母親も退職はしたが習い事や家事など元気にこなしている。
兄がちょっとした成功を納め、両親も住める三世代住宅で同居しているから両親の心配はしなくていい。
年の離れた妹も一昨年結婚し首都圏で暮らしている。むしろ結婚しないのか権蔵が心配されるほどである。
交遊関係も狭くて浅い。とても普通の現代日本人のおじさんである。
冬のある日、新入社員がインフルエンザにかかりフォローで急遽早番出社するため早朝に家を出た。
真面目な子だから気を病まなければいいんだが、お昼にでも気にするなとゆっくり休めとメールでもいれておこうか、急な勤務シフトの変更が体に負担がかかるようになってきたかな、などと考えながら購入から8年たった愛車に乗り込み通いなれた道をひた走る。
早朝のまだ暗い時間帯は他の車も少なくとても走りやすいのか、カーラジオを聴きながら鼻歌なんぞを歌っている。
「は!?」
愛車ごと光に包まれた山田権蔵はこの日、日本からいや地球からいなくなった。
ということもなく普通に愛車を走らせ普通に会社へ向かった。
「なんださっきの光? どこかでセンサーライトでも反応したか?」などとぶつぶつ言いながら。
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