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第12話 火山の守り主 サラマンダー

「我が愛犬のケルベロスは、この火山の中からは出られないようになっている。 見つけるのはそう難しくないはずだ」


プロクスは部屋を出ようとする俺達に言う

そう思うなら、自分でさっさと行けよ と思う俺だった


プロクスも準備ができ次第追いつくと言っていたがいつになることやら

プロクスの屋敷を出ると、ファイロとナールに出会った

ナールは俺の顔を見て、不満そうな顔をしている

俺のどこが気に入らないんだ


「それで、ケルベロスの毛は手に入ったのか?」


ファイロが聞いてくる


「残念ながら、ケルベロスの毛は取れてないし会えてもいないんだ」


俺がそう言うと、ファイロは不思議そうな顔をした


「んん? ケルベロスならさっき見たんだけど……」


はあ? ケルベロスを見たあ!?

どこで見たんだ?


「えっと、確かあっちの方で――」


俺達はファイロが言い終わる前に、急いでファイロが指さした場所に向かった


「あいつら、何をそんなに急いでいるんだ? 特に俺は期限を設けていなかったはずなんだが」


「ね、ねえ あいつらが行った先って、火山の守り主の聖域のはずじゃ……」


ナールが思い出したかのように言った


「バッ、バカ!! 何でもっと早く言わないんだ!!」


ファイロは、慌ててユウたちの後を追った


そうとは知らないユウたちは、何も知らずに火山の守り主の聖域に入ってしまった

ふと、メランが何かを感じた


「何かいやな予感がする。 プロクスの時とは違う感じだ」


メランが言い終わると同時に地面が揺れだした

とっさの揺れに、メランがドラゴン化して対処した


俺とペルルを乗せて、メランが飛び上がった瞬間地面から何かが飛び出してきた

地面から現れたのは、大きなトカゲだった


「あ、あれは! 火山の守り主、サラマンダーじゃないか! くそッ! ここが聖域だったのか!」


メランがサラマンダーと言った生物は、全身が真っ赤な鱗に覆われており口からチロリと炎を吹き出していた

確かサラマンダーの名前自体は聞いたことがあるが、実際に見るのは初めてだ


「この地帯は火山の守り主 サラマンダーの聖域になっているんだ。 守り主について簡単に説明しておくと、それぞれの地にはその地一帯を外敵から守っている守り主が存在している。 守り主にはそれぞれ聖域が定められており、その地に守り主の許可なく入ることは固く禁止されているのだ!」


そういう大事なこと、もっと早く言ってよーー!!

サラマンダーは勝手に入ってきた俺達に気づいて排除しようとしているに違いない

こうなれば、方法は一つしかないのでは?


「あのサラマンダーを倒すか」

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俺は軽い気持ちで言った

だが、メランやペルルが思った以上の反応をしてきたことに驚いた


「何言ってますの!? あんな大きなもの倒せるわけないじゃないですの! 妄言も休み休み言ってくださいまし!」


「そうだぞ。 今回ばかりはペルルの意見に賛成だ。 しかも、守り主は強すぎて倒せないし、もし仮に倒せたとしても守り主がいなくなったこの地が長く持つとは思えない」


言われてみればそうだな

守り主を倒す案はなかなかいいと思ったんだが、そういう事情があるのなら仕方ない


守り主は倒せないし、うかつに近づくと何をされるか分かったもんじゃない

ここは一時撤退するのが最適解だろう


「メラン、このまま逃げるぞ」


「合点!」


だから、そのネタ古いんだって

メランは広げた翼を、大きく羽ばたかせながらサラマンダーがいる場所から離れた


うおおおおおおおおん!!


サラマンダーが吠えた

あんな鳴き方するんだ

と、感心している場合じゃない


サラマンダーは、翼を生やしてきた

はあ!? あいつ、空も飛べるのか!?

サラマンダーは俺たちの後をひたすらに追っている

捕まえた時にはただじゃおかないと言っているような感じがした


いくらメランが黒龍だと言えども、相手は火山の守り主サラマンダーだ

すこしづつだが、距離が縮まりつつある

このまま飛んでいると、いつかは追いつかれてしまうだろう

サラマンダーの方は疲れなんて知らないかのような飛び方をしている


「メラン、大丈夫か?」


俺は、何も言わずに飛び続けているメランに声をかけた

メランは若干息を切らしながら


「これくらい黒龍にとっちゃどうってことないですよ……」


と言っていたが明らかに無理をしている

どうにかしてこの状況を打破しないと


そんな時、急にサラマンダーの動きが止まった

何があったのだろうか

サラマンダーは、俺達の方をちらりと向いて下へ降りていく


助かった、のか?

何がどうなったのか分からないが、とりあえずホッとした

俺は飛び疲れたであろうメランを休ませてから、本来の目的ケルベロス探しに行くことにした

ペルルも、疲れたのか眠そうに眼をこすっている

もう少しだ 頑張れ と俺は心の中でペルルを励ました


数分休んで回復したメランと少し眠たそうにしているペルルを連れ、俺は近くの森の奥へと進んでいく

この森はどこか薄気味悪い

鈍感な俺にでもすぐわかった

空気が淀んでいるのが、目に見えて分かるくらいに


俺の危機感知センサーが痛いくらいに反応している

この感じは結構やばめな奴が出てきそうだ


そして、俺達はケルベロスを見つけた

だが、どこか様子がおかしい

ケルベロスの体から異様なまでの瘴気が出ている

そう、あのカルディアと同じように


慎重に近づいていたが、カルディアのことを思い出してしまい足元にまで注意が行かなかった

小枝を踏んでしまい、ケルベロスにばれてしまった

ケルベロスは本来の姿を知らないため何も言えないが、おかしいことは分かる

毛は逆立ち、全身から火花が散っている

完全に戦闘態勢だ


こうなってしまったものはしょうがない

やってしまうか!


ワオオオオオオオオオオオン!!!


ケルベロスが大きく吠えた

そして、俺の方へ向かってきた

何とかして、ケルベロスを落ち着かせないと!


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