表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/73

第9話 王女の秘密

まだ分からないことだらけだが、それもいずれ分かることだろう

小さくなった魔王を連れて、白騎士団の本部へ行くと、案の定門番に止められた

それもそうか 正体の分からないもの(魔王)を連れているんだ

警戒されるのも当然だろう


「おい、その小さい子供はなんだ。 いくら子供だからと言ってそう簡単に中へは入らせないぞ」


門番から子供呼ばわりされて、魔王はイラっときていた

すると、門の中からドタドタと何かが走ってくるような音がした

そして、門番を吹き飛ばして勢いよく門が開いた


「お帰りーーー!!!」


中から出てきたのは、シスターだった

そんなに慌てて何かあったのだろうか


「あら可愛い その子がもしかして小さくなった魔王かしら?」


シスターが、顔を紅潮させながら言った

なんか調子がおかしいぞ? 大丈夫か?


「また魔王が復活したら大変だわ 私がしばらく様子を見ておくわね」


そう言ってシスターは、小さくなった魔王を自ら出した魔法で光の球体を作り出し中に魔王を閉じ込めた

そのまま魔王を連れて奥へ戻っていった

何をするつもりなのだろうか

敵なのに、魔王のことが心配になってきた


「おお、戻ったか。 魔王のこと、よくやってくれた」


白ベルがやってきて、俺達に労いの言葉をかけてくれた


「いやいや、特に俺は何もしてないですよ。 今日よく頑張ったのはペルルの方ですから褒めるならペルルを褒めてあげてください」


俺は普通にそう言った

確かに俺は少し戦ったかもしれないが、結局最後はペルルがセロを使ってくれたおかげで魔王を無力化できたのだから


「そ、そうか?」


白ベルは少し動揺しつつも、ペルルの頭をなでた

ペルルも白ベルには嫌な顔はしなかった


「そうだ、ウィルキー副団長が呼んでたぞ。 なんでこっちに来てわざわざいうのか分からないが。 顔を見る限りかなり重要な話だそうだ」


ウィルキー副団長が? 

何の話だろう


「だが、今日はもう疲れただろう。 無理はせずにここで一晩休んでから行くといいさ。 ウィルキー副団長はよくここに来るから大丈夫だ。 俺からも言っておくから安心して休むといい」


白ベルはそう言った

俺は特に疲れを感じるようなことはないが、ペルルは俺の隣で大きなあくびをしていた

確かに、夜も更けてきたな

切りよくこの辺で休むのもいいかもしれない


白ベルが用意してくれた部屋は、普通にいい部屋だった

質素な部屋だったが、一日休むには十分だろう

ペルルは、ベットに寝転がったらすぐに眠ってしまった

余程疲れたのか

確かに、色んな所に行ったからな


「メラン、俺って弱いのかな」


俺は、ふとメランに聞いてみた

特に気になったわけではないが、聞いてみた


「そんなことないぞ。 ユウ様は十分強いと思うぞ。 ユウ様と比べる人達がすこし強いだけ」


メランはそう言ってきた

メランは俺のことを本当に信じてくれている

この子たちのためにも、もっと強くならないと


「そうか…… ありがとう」


俺はメランにそう一言言って、ベットに横になった

ベットに横になったとき、なぜか疲れがおしよせてきた

飛躍の精神を使ったからか

俺も分かっていないだけで、疲れていたんだな

そう思い、俺は目を閉じ眠りについた

 

翌朝 目が覚め顔を洗い、ペルルとメランを起こす

ペルルはまだ眠そうな顔をしていたが、さすがメランはドラゴン族最強 もう起きていた


「おはようございます、ユウ様。 昨日はゆっくり眠れましたか?」


メランが起きがけに聞いてきた


「ああ、昨日は思っていたより疲れてたみたいだ。 おかげで今日は体が軽いよ」


「それはよかったです」


メランは、にっこりと笑って言った

そういえば、今日はウィルキー副団長のところへ行かないといけないんだった

ペルルを早く起こして、連れて行かないと


「その必要はない」


扉の方から声がした

そこにはリガン騎士団長がいた


「そのまま姫様は寝かせておいてくれ。 姫様の耳にあまり入れたくない話だからな」


ペルルに聞かれたくない話だって?

一体どんな話なんだ?


「念のために、かけとくか」


リガンはペルルにある魔法をかけていた

リガンが言うには、しばらく起きなくする魔法なのだとか

まあ、念のために使っておくのはいいかもしれない


「これで良しっと さあ、ウィルキーが呼んでるから早く行くぞ」


ウィルキーってリガン騎士団長は呼んでるのか

上司と部下の関係だからそう呼んでも不思議ではないのか


俺とメランはウィルキー副団長がいるところへ連れていかれた

ペルルが寝ている部屋には何かあったらと、鍵をかけておくことにした


部屋の中では、ウィルキー副団長ともう一人の男の人がチェスをしていた

俺達が来たのに気づいたウィルキー副団長は、チェス盤ごとひっくり返した


「あ」


チェス盤をひっくり返された男の人が、小さく言った

もし、俺も同じことをされたら同じことを言うだろう


「ああ、すまないな。 あっしはこれからこの少年と話があるんだ。 悪いがチェスはまた今度いうことで」


「はいはい、分かりましたよ」


一緒にチェスをやっていた男の人は、やれやれとため息をついて去っていった

あーあ 一緒にやってた男の人が可愛そうだ


「やあ、よく来てくれたね わざわざ姫様まで眠らせてくるなんてなかなか粋なことするじゃないか」


いや、したのは俺じゃないんだけど


「さてと、時間もそんなにあるわけじゃないし早速本題に入るとするか」


ウィルキー副団長はそう言って、ここが自分のところだというように椅子に腰かけた

ここって、白騎士団の本部だよな

めちゃくちゃ我が物顔で座ってるけど


「話すことというのは、分かってはいると思うが姫様のことだ」


ペルルのこと? 

何かあったのか?


「濁すのもあれだから単刀直入に言わせてもらう。 姫様の中には悪魔が潜んでいるんだ」


ペルルの中に悪魔が? 

そんな感じはなかったが、まさかそんなことがあるなんて


「まあ、そんなに強力な悪魔じゃないからそこまで危険視するものでもないんだが 今のお主でも十分倒せるくらいの悪魔だ」


そんな悪魔なら早くに倒してもいいのでは?

どうしてそんなに倒さないんだ?


「倒さないんじゃなくて、倒せないんだ」


扉の前で立っているリガン騎士団長が言った

倒せない? どういうことだ?


「姫様の中にいるのは確かに弱い悪魔だ。 だが、その悪魔は姫様と今では一蓮托生 姫様が死ね悪魔も死ぬ、逆に言うと悪魔を倒せば姫様を殺さないといけないんだ」


そ、そんなことが……


「そこそこの力がある悪魔なら、無理やり引っぺがして倒すこともできるがこの悪魔はそういうこともできない」


そういえば、俺にも心当たりがある

メランが見たというペルルから出てきた黒い手

それこそが悪魔がいるという証明じゃないか

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ