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第8話 魔王封印?

「め、メラン 大丈夫か?」


俺は少し心配になって聞いた

何か他に原因があって、調子が出ないのかもしれない

そう思って聞いただけなんだが、それにペルルが反応してきて


「あれえ?? こんなに探しても見つからないなんて、ドラゴン族最強の黒龍も大したことないんじゃないの?」


空を飛んでいるメランの顔に青筋が浮かんだ

ヤバイ、これは本当にやばそうだ


「おい、ペルル。 いくら何でもそれは言いすぎだ。 メランに謝れ」


俺は気を聞かせて言ったが、ペルルは反省することもなくさらに追い打ちをかける


「だってえ、ドラゴンと魔王って似た種族でしょ? それなのに見つけられないって、黒龍も落ちたものね」


カッチ―ン


ついにメランが切れた

そりゃそうだ

魔王とドラゴンを一緒くたにされたんだ

怒らないわけがない


「ユウ様、少し耳をふさいでもらってもよろしいですか?」


俺は言われた通り、耳をふさぐ

俺が耳をふさいだのを確認したメランは、大きく息を吸って吠えた


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


耳をふさいでいても振動が響いてくる

黒龍、恐るべし

耳をふさいでいなかったペルルは、ものの見事に混乱していた


「なんだなんだ まだ日が昇っているにも関わらず、大声を出すんじゃない」


そう誰かが言った

その正体に俺たちは愕然とした


「「ま、魔王!?」」


どうやらさっきのメランの大声で頭が痛くなって出てきたようだ

そんなので出てくるのか


「お、ユウじゃないか。 久しぶりだな」


俺に気にすることなく、魔王はそう言い放った


「お、おう」


俺も魔王にそう言われて、反射的に答えてしまった

魔王の姿は前に倒した時と全く変わっていなかった


「ていうか、なんで復活したんだ?」


俺は魔王に聞いてみた

答えてくれるかあいまいだったが、魔王はあっさりと答えてくれた


「いや、儂もよく分からないんじゃ。 貴様に退治されたと思っていたんだがいつの間にか復活してたというわけだ」


はい?

どういうことだ?


「いつの間にか復活してたのはいいとして、魔王という存在自体が人々にとって脅威なんだ。 だからお前を勇者として倒さないといけない」


俺は腰につけている聖剣を抜き、魔王に突き付ける


「おいおい、儂も前の行いは反省している。 儂はお主と仲良くしたいのだ。 話し合いで解決とかできないのか?」


話し合いで解決できるなら、俺はわざわざここまで来てない

それに、俺もできれば戦いたくない

もう一度戦うなんて怖いしケガもしたくないからな

だが、俺は勇者として魔王を倒さないといけない


「はぁ・・・・・」


魔王は小さくため息をついた


「やはりそうなるのか。 人と魔物は分かり合えないのか。 ならば仕方ない、儂も戦うしかあるまい」


そう言って魔王は戦闘の構えをとった

完全にやる気だ

こちらも相応の覚悟で挑まないと、負ける可能性だってある

真剣に取り組まないと


俺は早速先制攻撃を仕掛けた

だが、その攻撃もむなしくかわされた

俺の先制攻撃は読まれていたようだ


さすがにそうか

前に自分もやってたんだからな


ちなみにペルルはメランが守ってくれている

ふくれながらだが、まあそこはこらえてくれ


こうして改めて戦ってみると、前より明らかに強くなっている

前に戦ったときは、まだ本気を出していなかったとでもいうのだろうか

俺は飛躍の精神を使ってみることにした

これで多少は魔王の動きが遅く見えてきた

それでも、魔王の攻撃をすべてよけきることはできない


それどころか俺の方が押されてるまである

さすが魔王と言ったところか

って、感心してる場合じゃない!!

この状況を何とかしないと

だけど、どうやって?


「苦しそうだな、勇者よ。 儂があの程度の力しかないとでも思ったか! 儂を侮ったことがお前の敗因よ! 儂の最大威力の魔法を受けてみよ!!」


魔王が魔法を打ってこようとしている

当たればいくら俺でも即死レベルだろう


避けたいが体が言うことをきかない

これも魔王の仕業なのだろうか

こんなところで終わってしまうのか

俺が目をつぶり、覚悟を決めた時!


俺の後ろからペルルがやってきた


「危ない!!」


俺はとっさにそう言った

ペルルの手には高級そうなネックレスがあった

あ、その手があったか


「よっと」


ペルルが魔王の首にあのネックレスをひっかけた

かけてすぐは何も起こらなかったが、しばらくするといきなり魔王が苦しみだした


「う、うう…… 貴様ら、儂に何をした!?」


あまりの出来事に魔王も混乱しているようだ

とっさの判断をしてくれたペルルに感謝した

ペルルも


「大したことじゃないし」


と言っていたし、案外嫌そうな顔はしてなかった


突然、魔王がまばゆいばかりの光に包まれた

しばらくすると、光が晴れそこには小さな男の子がいた

ん? 魔王はどこへ行ったんだ?

俺は必死になって探したが、見当たらない

また退治し損ねたか


「どこを見ている ここだ、儂はここにおるぞ」


どこからか声が聞こえた

すごい近くから聞こえてはいるが、声の主が見えない


「ここだと言っておるじゃろ!」


どうやら認めるしかないようだ

この小さな男の子が魔王だと


「どういうことなんだ! 儂は何でこんな姿になったのじゃ!?」


俺達に言われても分からない

俺達ですらこの状況を把握できていないんだから


「どうやら私の発明したものは、うまく作動したようだな」


俺の頭に直接声が聞こえた

その声は、シスターか!


「私の開発したセロを役立ててくれてありがとう。 そのセロは魔王の魔力を封印すると同時に、姿まで変えてしまうものだ。 ああ、なんて恐ろしいものを私は発明してしまったのだろう!」


なんか一人で騒いでるぞ

本当に信用してもいいのか、この人は

不安になってきた


「セロの効力で、今の魔王は戦うことすら難しい体になった。 実質封印したといっても過言ではないだろう」


確かにこの状況で戦えば勝敗は火を見るより明らかだろう

今の魔王には一般人くらいの力しかないだろう

可哀そうに だが、これも仕方のないことだ


「さらに言うと、セロは封印した力を開放するにはある条件が必要になる。 その条件も私しか知らないと言ったわけだ」


目の前にいないのに、シスターのどや顔が浮かんでくる


「とにかくだ、封印に成功したのならその魔王っこを白騎士団の本部へ連れて帰ってきなさい。 話はそれからよ」


そう言って頭の中からシスターの声は聞こえなくなった


「ユウさま、何の話だったのですか?」


メランが不思議そうに聞いてきた

この話は言わないわけにはいかないか

俺はさっきシスターから聞いた話をみんなに伝えた


「そのシスターは儂のことを魔王っこ と言ったのか!」


魔王はそれに対して怒り、メランとペルルは笑いを必死にこらえていた

とにかく魔王を退治(?)することはできたので、白騎士団の本部へ戻ることにした



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