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第7話 魔王

白ベルに会いに白騎士団の本部へ戻ると、やはり白騎士団内もざわついていた

やはり、魔王復活という号外のせいだろう

このままなら白ベルには会えないかもな


俺はまた出直そうと、入ってきた場所から戻ろうとした

そこに、偶然たまたま白ベルが通りかかった


「お、ユウか。 久しぶりだな。 俺もちょうど呼びに行こうと思っていたところだ」


運よく会えてよかった

話したいことは一緒のようだし、話は早くに済みそうだ


「ん? その子は…… はあ、なるほどな」


白ベルは、ペルルを一瞬見て察したようだ

さすが、白騎士団長は違うな

どこかの誰かさんみたいに大きな声で騒ぎ立てたりしない

少しでも見習ってほしいものだ


「そして本題だが、ユウに再度魔王討伐を命じたい。ずいぶん前に俺の部隊の何人かを偵察のためにいかせたが誰一人として帰ってこない。 俺が直々に行ってもいいんだが魔王の今の状況が分かってない今、そう簡単には動けない」


確かに前の魔王は比較的(?)簡単に戦えたが、その戦いから約一年近くたっている

魔王はもちろん、魔王上の守りも固められていることだろう

まあ、やられることは万に一つもないとは思うが白ベルが行って不意打ちにでもあったら白騎士団にとって大きな痛手になる

それだけはなんとしてでも避けたいのだろう


「だから改めて頼みたい。 ユウ、一度魔王と対峙した君になら、君にしかできないんだ」


白ベル、白騎士団長直々の頼みだ

断れるはずがないし、断るつもりもない


「もちろんです! この世界を守るためならなんだってします!」


俺は意気揚々と言い放った

ペルルは信じられないといった風な顔をしていたが、あえて触れなかった


「あら、ユウさんじゃないですか! まさかこんなところで会えるなんて!」


つい最近聞き覚えのある声だ


「シスターさん! 数日ぶりですね」


てかこの人どこにでも出てくるなあ

仕組みは分かったけども、それにしては出てきすぎじゃないか?

「ちょうどよかった。 ユウさんに渡したいものがあったんです」


俺に?

何をくれるんだ?


「魔王が復活したと聞いて、急いで作ったものですが効力は確かなので安心してください」


そう言って、シスターはあるものを取り出した

それも、なぜか胸元から

取り出したのは、いかにも高そうな首飾りだった


「シスターは、聖女でありながら一流の魔法使いとしての才能もあるお方なのだ。 我々がピンチに陥ったときにも、シスターの助けがあったからこそ、そのピンチを乗り越えることができたのだ」


そんなにすごい人だったのか

そんな人だなんて全く知らなかった

教えてくれたってよかったのに


「いやいや、そんなに大したことじゃないですよ。 白騎士団にも優秀な人材がたくさんいるじゃないですか」


シスターは謙遜しているが、誰にでもできることじゃないだろうに

相当な努力をしてきたのだろう


「は、話を戻しますね。 私は再復活した魔王に対抗する術を独自に開発しました。 その名も『セロ』と言います」


セロ なんか響きがかっこいいなあ


「このセロはこの首飾りに込めた魔法の力で魔王の力を封印するものです。 本当はもっと前に開発したかったのですが、なかなか思うようにいかなくてこの時期の完成になりました」


もう少し前なら、再復活する前に封印できていたかもしれないが

まあ、何か事情があったのならしょうがない

ありがたく使わせてもらおう


「では、我々はもしも魔王がこちらに攻めてきたときのために防衛の準備をしておくことにしよう。 くれぐれも無茶だけはしないようにお願いするぞ」


白ベルからそうお願いされた

俺もそれだけ頼りにされてるということか

そう考えると、なんだかうれしくなるな


白ベルとシスターと別れた俺たちは、魔王城へ行ってみることにした

もしかしたら、もういないかもしれないが念のために行ってもいいのではないだろうか


ぶーぶーぶー


俺の冒険者カードが震えた

誰かから電話だ

まあ、察しはついているが


「はい、ユウです」


「おう、ユウ殿か。 元気にしておったか?」


ほら、王様だった

どうせ、魔王が復活したから娘をしっかり守ってやってくれとか、そんなところだろ


「あの憎き魔王が復活したのは、お主の耳にも届いておるだろう。 くれぐれもかわいい我が娘を傷つけないでくれよ。 もし、かえってっ来た時にそのケガが一つでも残っていた暁には…… 覚悟しておれよ。 それじゃ」


王様は一方的に電話を切った

おーこわ 厳重に気を付けないと


それにしても、なぜに王様はこの娘に外の世界のことを教えなかったのだろうか

まあ、知っていることも多少なりともあるが、それにしては少なすぎる

何か外へ連れ出してはいけない理由でもあったのだろうか


俺は無意識にペルルの顔をじっと見ていた

別に変な気が合ったわけでも無く、ただ単に見ていただけだった

見られているペルルの方は


「何じろじろ見てるの、キモイ悪いから見ないで」


と、相変わらず冷たい反応だった

こんな子でも俺がしっかり守ってやらないといけないんだからな


「大丈夫だ。 魔王がどうした、俺がお前を必ず守ってみせるからな」


俺は半ば、からかうかのように言った

ペルルはその言葉を聞いて、俺に背を向けた


一方ペルルは


「何なのよ! あんな言い方して、あいつなんか全くこれっぽっちも頼りにしてないんだから! あいつに守ってもらわなくても自分の身くらい自分で守れるし!」


と若干切れ気味だが、実は少しきゅんとしていたりする

そのことにユウが気づくはずもなく、メランだけが小さくため息をついていた


まずは、魔王と初めて戦った魔王城に行ってみることにした

メランに乗って行ってみたが、そこはもぬけの殻だった

やっぱり移動してるよな


次はメランが禍々しい気配を感じた場所に、手あたり次第向かってみることにした

ヘレスと戦ったあの場所や、細い狭い路地裏にも行ってみた

だが、魔王はおろか魔物の一匹も居なかった

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