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第4話 昇格の試練

ギルドでリガンと別れた俺たちは、話し合いをしていた


「ユウ様がBランクだなんて信じられない! あの破壊神を倒したのはユウ様だというのに!」


メランは俺がBランクなのを気にしているようだ

確かにメランの言うこともあながち間違っちゃいない

だが、ギルドがそう判断したのだからそう割り切るしかないだろう


「ならば、ギルドの人に抗議しに行きましょうよ! ユウ様もこのままでいいんですか?」


メランがさらに俺に詰め寄ってくる

そんなに興奮するなよ

お前はSランクなんだから、気にすることでもないだろうに


「いえ、我はユウ様と結構な時間を過ごしてきました。 そのうえで我は、今のユウ様の力を認めているのですよ? この中で一番長い付き合いなのは我だと思うのですが」


メランに正論を告げられた

それはそんなんだが


「私も自分がこの下民と同じランクだなんて気に入りませんわ!」


突然、ペルルがそう叫んだ

おいおい、言い方をもうちょっと考えてほしいものだ

王女様にはそこから教えないといけないのか?


まあ、そんなこんなで俺達はギルドの受付の人に抗議しに行くことになった

俺はあまり乗り気ではなかったのだが……


「どうして、俺と王女――ペルルだけBランクなんですか?」


俺は男の人に聞いてみた


「よく言われるんですよ。 俺がAランクじゃないのはおかしい、どうしてあいつがAランクで俺がBランクなんだ? って質問をそれこそ毎日受けていますよ。 何度も言いますが、我々は職業だけで人を判断したりしません。 純粋に強さを機械で判断してそれに応じたランクをつけています」


「で、でもあの破壊神ヘレスを倒したのはこのユウ様ですよ? そこの部分はどう思いますか?」


メランがなぜか記者会見風に聞いた


「それは風の噂でかねがね聞いています。 その件は助かりました。 ですが、その実力を鑑みてもユウ様はBランクと我々ギルドは判断した次第です」


男の人は冷静にそう返した

何だろう、この人の言っていることは何一つ間違っていない

だが、どこか違和感を感じる


「そうですか。 そのことは分かりました。 でしたら、次にどうやったらAランクに上がることができるんですか?」


俺はまだ何か言いたそうにしているメランを抑えながら言った

すまないがここは抑えてくれ


「ああ、それなら昇格の試練というものを受けていただくことになります。 昇格の試練はランクを上げるごとにこなさなければいけません。 だから、もしユウ様がランクをAランクに上げたいのであれば昇格の試練を受けてもらいその試練に合格したと判断したらAランクに昇格することができます」


なるほど

要は検定的なものか

確かに、大した強さもないくせにとんでもなく強い魔物を退治するとなるとそれこそ多大なる危険が伴うことだろう


「そう言うことね! ならば、その試験とやらを受けようじゃないの!」


ペルルが一人で言った

お前一人で何ができるってんだよ

まあ、ここまで来たらやるしかないがな


「あ、ちなみに言っておくと冒険者でAランクはランクはそれなりに優秀なので、受けるならそれなりの覚悟で頑張ってください。 あと、昇格の試練のためSランクのメラン様は昇格の試練に参加してはいけません。 参加したかどうかは、冒険者カードで確認できますから悪しからず」


他のランクの者が関わっちゃだめだということか

そりゃあそうだ 実力を知るためにするんだから

よし、そうと決まれば早速昇格の試練に行くとするか


「あ、行かれますか? ならば詳細を説明しますね。 昇格の試練は全て三つの試練で構成されています。 そうですねえ、ここから一番近いAランクの試練は…… 黄金のリンゴの採取ですね。 他の二つはお二方の冒険者カードに記しておきますね」


黄金のリンゴの採取?

黄金かあ つい最近どこかで聞いたことがある気が


「あ、ちなみに聞きたいんですがリガン騎士団長はZランクなんですよね? Zランクにはどうやったらなれるんですか?」


俺は興味本位で聞いてみた


「リガン騎士団長様ですか? あの方はおかしいんですよ。 我々が最低でも五年はかかると予想していた試練をたった三年でクリアしたんですよ? リガン騎士団長様はSランクに収まりきらない強さのためこの国で唯一Zランクに位置しています」


この国でたった一人しかいないZランクの持ち主、リガン=ヒードリッヒ

リガンの実力は俺も目の当たりにしたことがある

だが、リガンはどうしてそこまで強くなりたがるのだろうか


俺はリガンについてまだ聞きたいことがあったが、ペルルに急かされ、またの機会になった

ほんとこいつは自分勝手だな

人が話しているのにも関わらず、こう話しに入ってくるんだから

まあいいか 試練が終わった後にでも聞いてみるとしよう


俺とペルルの冒険者カードに昇格の試練の内容が刻まれる

一つ 黄金のリンゴの採取

二つ 黄金の角鹿の捕獲

三つ 黄金の怪鳥退治


なんだか黄金黄金ばかりで、見ているこっちまでくらくらしてきそうだ

どうして、こう金色ばかりなんだろうか


それで、今は黄金のリンゴがなっている木の真下にきている


「黄金のリンゴとはよく言ったものだ。 だってこんなに高い場所になっているんだから!」


俺は、その木を大きく見上げながら叫んだ

そう、目的の黄金のリンゴは崖の上の一本の木になっていた

メランは昇格の試練中なので、手伝うことはできない


「おい、ユウ あのリンゴを採ってこい」


ペルルがそう言った

おいおい、それはないだろうに

でも、自分で取らないと試練にならないんじゃ……


「別に採ってもいいけども、お前の試練は達成にはならないぞ?」


「ぐぬぬぬ……」


ペルルは悔しそうに顔をゆがめた

ペルルの中で色んな感情が渦巻いているんだろう


俺は地の魔法で階段を作った

俺が作った階段でペルルも黄金のリンゴの元へ向かう

俺は階段を上って黄金のリンゴを採ることができた

だが、ペルルは背が小さくて届かなかった


「もう! ここまで来てこんなのってあんまりじゃないの!!」


ペルルはぷんすか怒っている

まあ、背の高さはどうしようもない

これは俺がどうこうという話ではないだろう


ペルルがうーんと大きく唸った

そこに急な風が吹いてきた


「うわツ!」


俺が風に気を取られていると、ペルルの手の上に黄金のリンゴが乗っていた

いつの間に、と思っているとメランが驚いていた


「い、今ペルルの背中から黒い手が……!」


黒い手?

何のことだ?

俺はすぐにペルルの背中を見たが、そこには何もなかった

また、メランの見間違いだろう


「ええ!? ど、どうなってるんだ!?」


メランはひどく混乱していた




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