エピローグ
ヘレスと戦ったユウは王都へ運ばれた後、白ベルの指示により緊急手術を行うことになった
だが、あんな激戦だったにも関わらず俺は命に別状はなかった
ケガもほとんど治っていて、皆が不思議そうにしていた
メランたちがホッと息をついていたらしい
俺はとりあえず一か月は絶対安静と言われた
まあ、それもそうか
俺もあんなことがあってから、すぐに動けるような人間じゃないからな
気を失ってから目覚めた俺にメランたちが会いに来てくれた
メランが言うには、俺の体の中から人型の何かが出てきたと言っていたが、俺にはあのヘレスに決死の一振りをお見舞いしたところからの記憶がない
そんなことがあったなんて全く知らなかった
俺の体の中から人型の何か?
エウカリスが、何かしたんだろうか
ともかく、これで破壊神ヘレスによって世界が破壊されることはなくなった
俺も晴れて一安心といったところだ
俺の隣にはともに戦ってきた勇者の剣が置いてあった
俺はその剣をゆっくりとなでながら
「こんな俺と一緒に戦ってくれて、ありがとう」
と言った
俺が言うとティファナとメランが逆に怒ってきた
「ちょっと! 私たちへのお礼が先でしょ!」
怒った顔をしているティファナとメランも、二人には申し訳ないが可愛かった
「もちろん、二人にも感謝してるよ。 本当にありがとう」
そう俺は笑顔で言った
メランもティファナも俺と同じくらい笑顔で笑っていた
俺の隣にいる勇者の剣も礼をいわれたことに対し、喜んでいるかのように光っていた
そして、時は流れ
俺はようやく元の生活に戻れるようになった
でも、くれぐれも無理をしないようにとティファナに釘を刺された
そこに白ベルがやってくる
久しぶりに見る顔だ
「まずはヘレス撃破本当にありがとう。 おかげで世界は破滅の道をたどらずに済んだ」
白ベルは俺に深く頭を下げた
「それで話は変わるんだが、ここからは他言無用でお願いしたい」
そう言った白ベルは、俺達をある場所へ案内してくれた
白べルが案内してくれた場所には、カルディアがいた
俺達が戦っていた場所を白騎士団が捜索していたら、見つけたらしい
呼吸こそしているが、全く目覚める気配がない
「カルディアは王都の治療師に見てもらうことにした。 だから、安心してくれ」
白ベルがそう言ってくれて、ひとまずは安心したがどうしてカルディアがあんな危険な場所にいたのか不思議でたまらなかった
「カルディア? 何か引っかかるような気が…… はっ! まさか!!」
ティファナはカルディアと聞いて、何か慌てたような顔をしていた
「ごめん! 突然なんだけど、急用ができちゃってここで別れることになるわ。 でもまた会ったときは仲良くしてくれたらうれしいな」
そう言って、ティファナは去っていった
ティファナは冒険者を目指してるんだっけか
それならなぜ普通の女の子のカルディアのことを気にする必要があるのだろうか
白ベルも白ベルで何か言いたげな顔をしていたが、黙っていた
俺も無理に聞き出すような真似はしない
向こうから話してくれるのを待つことにしよう
「そうだ、ヘレス討伐の礼がしたいと王様が呼んでいたぞ」
白ベルが、話の流れを変えるように言った
王様かあ あの人いい人なんだけど、なんか嫌なんだよな
俺は半ば強制に王様のところへ連れてこられた
「ユウ殿、まずは此度の戦い実に見事であった。 褒美として一千万ゴルを渡そう」
い、一千万!?!?
多すぎるだろ!
そんな大金もらってどうしろっていうんだ!
「もちろん、そのまま渡してもよいのだが使いづらいだろうということで ユウ殿、冒険者カードをこちらへ」
俺は言われるがままに、王様に冒険者カードを渡した
王様が俺の冒険者カードに片手をかざす
冒険者カードが一瞬光った
「ほれ、これで持ち運びが便利になったじゃろう」
返してもらった冒険者カードには、新しい機能が追加されていた
「この機能は貴族たちが主に使っておる。 その場でお金がなくとも冒険者カードにお金を入れておけばそれで買い物ができるという優れモノじゃ! ちなみにさっき言った一千万ゴルもその中に入っておるから安心するがよい」
あ、これはクレジットカード的なものか
確かにこれは便利だな
「他にも機能はあるが後々必要に応じて開放していくことになるだろう」
まだこの冒険者カードに機能があるのか!
どんな機能があるのか楽しみだな!
「うおっほん。 さて、ここからが本題なんじゃが」
王様が声色をかえて話し出した
何だろう すごい嫌な予感がする
「おーい、パシリスを呼んでくれ」
王様が側近に命じる
パシリス?
誰のことだろう
側近に連れられやってきたのは、あの王女様だった
「ほら、パシリス 挨拶をせんかい」
王様に促され、王女様は話し出した
「初めまして勇者様、私はエスコルピオ=パシリスと申します。 以後お見知りおきを」
パシリスと名乗った王女様は自分のドレスの端を持ちながら言った
本当のお姫様だ!
「さて、ユウ殿には我が娘の教育係を頼みたいと思う」
「はえ?」
俺は王様が言ったことが理解できなかった 第1章 完
一応ここでユウたちの冒険は一段落します
ですがまだまだ冒険は続きます!
最後までお楽しみに!
この後、おまけがあります




