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第45話 絶望の先に見える一筋の光

俺たちは反撃とばかりにヘレスに総攻撃を仕掛ける

気のせいかもしれないが、結構効いている気がする


俺はここが正念場だと思い、一斉に畳みかけることにした


「ふむ、破壊に少し力を使いすぎたか……」


ヘレスはどこか悲しそうに言った


「ここだああああ!!!」


ティファナが闇の魔法をヘレスに向けて撃った

あっけなくヘレスは捕まった

今が好機と俺たちはアペイロン五神器を周りに並べる

そして呪文を唱える


「聖なる檻に邪なる檻、彼の者を捕らえこの世から隔絶せよ! 封印!」


俺は封印の呪文を唱える

これでとどめだと思ったが、ヘレスは最後の力を出し封印を破った


何だと!?

最後の最後でこんなのってありか?


「人間ごときに僕が遅れをとるなんて。 時代の流れというものは恐ろしいものだ。 だが、それもここまでだ」


こうなってしまえば、封印はもうできない

一つだけ方法はあるが、それは……


「倒すしかないのか……」


メランが残念そうに言った

そうだな、決して簡単では無いが、もうそれしか残っていない

封印に失敗した今、やるしかない


ヘレスは俺たちに向けてとんでもない殺意を向けている

怖い、怖すぎる


「人間風情が神にかなうわけない。 あがくだけ無駄というものだ」


ヘレスは若干切れ気味で言っている


「何を言ってるんだ。 お前は神でもない、化け物だ」


俺はヘレスを指さしながら言った

ヘレスからの殺意は痛いくらいに俺に刺さってくる

だが、ここで諦めるわけにはいかない!

この世界の平和のためにこいつをこの手で倒さないといけないんだ


「この聖なる剣で俺はお前を倒す!」


俺はどうにでもなれというつもりで、全開放を使うことにした

俺一人の犠牲で世界が救えるのなら、安いものだ


「ユウさん! 全開放だけは使っちゃいけないですよ!」


ティファナが俺に念押しして来た

ティファナにそう言われたが、素直に従えばこの世界はヘレスによって破壊されてしまうかもしれない

助けられる人が助けられなくなるかもしれない


もうあの時みたいな悲惨な出来事には遭遇したくない

誰も救えないなんて嫌だ!


「俺はこの世界を守るためなら自分の命だって投げ出す男だああああ!!! 全開放!!」


俺は過去最大の声で全開放を使った

頭痛にめまい、吐き気が俺を容赦なく襲う

おそらく、俺の持つ魔力が残り少ないのだろう


思わず膝をつきそうになるのを懸命にこらえる

ここで頑張らないでいつ頑張るっていうんだ!


「ふっ、人間が全開放を何度も使えばどうなるかなんて今時分からない奴がいるのか?」


ヘレスが俺をあざ笑うかのように言った

だが、今の俺はそれどころじゃなかった

この化け物を倒さないと、この世界は破壊されてしまう

そうなると、俺の取るべき行動は一つしかないじゃないか!


俺は真正面にいるヘレスに向けて、自らの持つ聖剣を大きく振った

しかし、その瞬間俺の体から大量の血が噴き出した

痛みや苦しみよりも、なぜという感覚の方が強かった

俺は立っていられなくなり、その場に倒れた

そのまま、俺は意識を失った



「ゆ、ユウさん?」


ティファナがいきなり倒れたユウに声をかける

案の定、ユウは返事をしない

倒れたままピクリとも動かないユウにティファナはゆっくりと歩み寄る


「ねえ、ユウさん。 返事をしてよ! 私まだあなたになにも恩返しできていないのに…… こんなところで終わるなんて絶対に許さないからね!」


ティファナはユウに怒るが、相変わらず反応はなかった


「ハハハハハハハハ!!! これはこれは! 傑作だ! 僕に攻撃しようとして自分に攻撃するなんて、勇者とやらはとんだバカだったのか?」


ヘレスがユウに向けて言う


「だが、先ほどの力からすると勇者の実力は本物のようだ。 こいつは危ない。 僕にとって大きな脅威になりうる存在だ。 こういうやつらから早めに壊していくのが最適解だろう」


と言い、ヘレスはユウに近づいて行く


「触るなっ!」


ティファナがヘレスに一喝した

今までにないほど怒っている


「ユウさんをバカにしないで! ユウさんはいつも一生懸命で何に対しても全力で取り組むすごい人なの! そんないい人がバカなわけないでしょ! バカなのはあなたよ、ヘレス!」


怒り狂ったティファナはさらに続ける

もうとどまることを知らないように話し続ける


「どうせ、あなたは生まれた時から他人が作ったものを壊すのが好きだったんでしょ! だって、あなたにとっては他人の不幸は蜜の味なんだもんね! そんな破壊しか脳みそがない化け物にユウさんが負けるわけないでしょ!!」


息を荒くして、ティファナは言い終えた

ヘレスは肩を静かに震わせていた


「面白い冗談を言うものもいい加減にしろよ。 僕は腐っても神だ。 神に人間がかなうはずがない。 これは自然の摂理だ。 誰が何と言おうと僕はそれを肯定し続ける」


そして、ヘレスはティファナを片手で吹き飛ばし地面にたたきつけた


「ほうら、お前はこんなにも弱い。 こんなので神に挑もうなんて片腹痛いわ」


ティファナに興味をなくしたヘレスは再びユウに近づこうとする


「おい、貴様の方こそいい加減にしろよ。 我はさっきから見てて不愉快だ」


ついにメランまで参加してきた

メランが怒りをあらわにし、ヘレスに突撃しようとするとユウの体から何かがでて来た

よく見ると、それはどうやら人型を取っているように見えた

白く半透明な人型の何かがユウの体から出ている

不気味かつ不思議だったが、ユウに害はないようで安心するメランとティファナ


その人型の何かを見たヘレスは、それが何かを知っているかのような素振りをしていた


「こ、こっちへ来るなああ!」


無様に悲鳴を上げるヘレスは誰が見ても新鮮だ

そして人型の何かはおびえているヘレスに向かって、手らしきものを伸ばしてきた


「い、いやだ! またあそこに戻りたくない!!」


訳の分からないことを口走ったヘレスは、人型のものに頭から丸のみにされた

その間、わずか数秒

ものすごい速さだ


人型はティファナとメランの方を一瞬ちらりと見たが、すぐにユウの中へ戻っていった


「ユウ様の中から現れたあいつは何だったんだ?」


ユウの体から急に現れた人型の何か

それについて知る者はこの場にはいなかった

あまりの光景に二人は呆然とその場に立ち尽くしていた


「ゆ、ユウさんを治療してもらわないと!」


ティファナの声でメランはハッとした

そうだ、ユウ様のおかげでヘレスによる世界崩壊を食い止めることができた

でも、当の本人は重傷を負っている

これから先どうするかを考えるためにも、一旦王都へ戻った方がいいと感じたメランは傷ついたユウとユウを抱きかかえているティファナを背中に乗せ,王都へ戻ることにした


廃墟にはヘレスが落としていった破壊神の杖、ニヒルのみが落ちていた






良かったら評価の方是非ともよろしくお願いします!


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