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第36話 古龍・四炎龍

少し早めですが更新します

移動中、メランに昨日のことを覚えているか聞いてみた


「昨日? 何かあったのか?」


こりゃ、だめだ

昨日のことを全く覚えてない


「ちなみに、ティファナの方は…… っていうまでもないか」


ティファナは顔を真っ赤にしていた

ティファナは記憶が残るタイプか


その後は、しばらく沈黙が続いた

この空気、一体どうすればいいんだ


そうこうしている間にトルミの元へ着いた


コンコンっ

メランが家の扉をたたいた


「…………」


返事はなしか

まあ、そうだろうな


「母様! メランです! ただいま帰りました!」


メランが大声で叫んだ

すると、中からドタドタとした音が聞こえた


「メラン!? 帰ってきたの?」


おそらくトルミの声だろう

勢いよく扉が開いた


「メラン! お帰りなさい!」


そこには、今まで見たドラゴンの中で一番きれいなドラゴン(人型)がいた

この方がメランの母親、トルミなのだろう


「よくここが分かったわね、って千里眼を使ったのね。 昔は千里眼なんてものには頼らないって言ってほとんど使おうとしなかったのに、今ではすっかり自分のものにしててお母さんうれしいわ!」


そう、まくし立てトルミはメランに力いっぱい抱き着いた

これがもしメランじゃなくて、俺だったら確実に背中の骨二、三本折れてたな


「あら? そちらはメランのお友達かしら?」


ヤバイ 気づかれた!

抱き着かれる!


「大丈夫よ。 ちゃんと力の加減はするつもりだから」


そう言ったトルミは、俺に抱き着いてきた

確かにメランにしていたものよりかは、力が抑えられているように感じるがそれでも痛い

もちろんティファナにもだ

ティファナも若干苦しそうに、目で俺に助けを求めていた


「もう、メランったら。 お母さんがどれだけ心配したか知ってるの?」


「う…… ごめん」


メランは母親に対しては、ちゃんと謝るんだな

どれだけ父親は嫌われてるんだよ


「それで、本題に入るんだけども母上は龍の盾を持ってるとかなんとかって言ってたけどホントなの?」


早速メランが話に入る

空気が読めて助かる

龍の盾の話をすると、トルミの表情が少し曇ったように見えた


「確かに、私が龍の盾を持っているのは本当よ。 今持ってくるわね」


トルミは、おぼつかない足取りで奥へ歩いていった

龍の盾に何があるのだろうか


しばらくして、トルミが戻ってきた

片手には龍の盾らしき物を持っていた


「これが龍の盾よ。 黒龍しか所持することが許されていない貴重なものよ」


そう言って、トルミは俺たちに龍の盾を見せてくれた

龍の盾は真ん中におっかないドラゴンの顔がデカデカと刻まれており、その周りには炎のような飾りがいくつもつけられていた

確かに、これは見事としか言いようがない


「光の精霊よ、今一度顕現し我に光の力を与えたまえ!」


どこからか魔法の詠唱が聞こえた

その瞬間、目の前が強烈な光に覆われた


「───っっ!!」


目の前が力がチカチカする


「な、無いぞ!」


メランが騒いでいた

俺もティファナもすぐに気づいた

龍の盾がいつの間にか無くなっていたのだ


「あの詠唱をしたのはヴェルデ兄弟に違いない。 一刻も早く追いかけないと! 母上! 近々また来るよ!」


メランはそう言い残し、トルミの家を後にした

俺達も急いで後に続く


「場所は分かっているんだが、ここは······」


メランが何か知ってるかのような表情をしていた


「どうかしたのか?」


「いや、大したことじゃないんだがな······」


と、言ってはいるもののやはり何か知っているように見える


「何か知っているなら教えてくれよ 俺たちにもできることがあるかもしれないだろ?」


俺は優しく言った

ティファナもウンウンと相槌をうっていた

しばらく考えていたメランだったが、決心がついたのか話し出した


「はるか昔にアペイロン大戦争が起きたのは知ってるか?」


アペイロン大戦争?

聞いたことないな


「そのアペイロン大戦争で大活躍したのが光炎龍(こうえんりゅう)闇炎龍(あんえんりゅう)聖炎龍(せいえんりゅう)邪炎龍(じゃえんりゅう)四炎龍(しえんりゅう)と呼ばれるもの達だった 今は戦争の傷を癒やすため、洞窟の中で自らを封印して静かに眠っているようなのだ」


おいおい、なんか物騒な名前がいっぱい出てきたぞ?

四炎龍? なんのことかさっぱりだ


「そして、ヴェルデ兄弟が向かったのが、その四炎龍が眠っている場所なんだ」


なるほどな 理解した

あの緑龍の子供たちは何を考えているのか分からないからな

急いで向かう他ない


「特に邪炎龍は四炎龍の中で一番強いから、あいつを起こしたらこの世界が半分くらい無くなってもおかしくない」


メランからそう聞いて、俺はますます気を引き締めるようになった

嫌な予感がする

そう思いながら、俺達はヴェルデ兄弟を追うのだった


「ここだ。 ここからヴェルデ兄弟の気配がする。 上手く隠しているつもりだろうがこのドラゴン族最強の黒龍に叶うはずもなし!」


メランが大きく胸を張って言った

確かに、俺にもかすかにあの兄弟の気配がする

だが、どこにいるのかまでは分からない


「この場所が四炎龍が眠っている場所だ。 くれぐれも誰一人として起こさないように気をつけてくれ」


「来たな! メランよ!」


暗闇からヴェルデ兄弟の声がした


「龍の盾を返してほしいのだろうが、そうはいかない!」


だろうな

あいつらがそう簡単に話をするはずがない

何を企んでるんだ?


「分かった。 じゃあ何をすればいいんだ?」


メランが諦めたような口調で言う

メランもこんな奴らに絡まれて大変だな


「謝罪の言葉を述べよ!」


「はあ?」


素っ頓狂な返しにメランが聞いたことのない声を発した


「何を謝るっていうんだ?」


メランは再び聞いた


「今まで偉そうにしていてごめんなさいと謝罪しろ!」


ごめん、笑いをこらえるのに必死だ

ティファナも顔を赤くして笑いを我慢している


「はいはい、謝ればいいんでしょ? どうもすみませんでした」


メランは早く終わらせたいのか、早々に謝った

なんのために謝っているのか自分自身もわかっていないのに


「もっと心を込めて! 謝るといったら土下座でしょ!」


ヴェルデ兄弟が地団駄を踏んだ

そして、バランスを崩したヴェルデ兄弟は大きく尻もちをついた

その時、パラパラと何かが崩れる音がした


「こ、これってやばいんじゃないのか?」


「そ、そうだな ここは一旦引くとするか!」


ヴェルデ兄弟は勝手に奪っておいて、勝手に置いて帰っていった


「ユウ様! あれを!」


メランが指を指した方には、今にも石化が解けそうになっている邪炎龍がそこにいた

良かったら評価の方よろしくお願いします!

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