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第32話 ユウ、覚醒す

昨日は1度も投稿できなくてすみませんでした!


男は真っ先に負傷している俺に手を出そうとしてきた

とっさにメランが防いでくれたおかげで、ケガはしなかった


「ふッ、ドラゴンか。 大したことないな」


その男は杖を取り出し、メランに向けた

すると、メランはその場にぱたりと倒れた


「な、なんだこれは!? 我の力が封じられているだと?」


こいつ、ドラゴン耐性持ちか!

どこまで俺たちのことを知ってるんだ?


「私が行きます!」


ティファナが男に突っ込んでいく


「ほう、今度はハーフエルフときたか。 楽しく遊べそうだ」


男はこんな状況でも余裕そうにしている

それもそうだろう

ドラゴン族最強の黒龍を圧倒する力を持っているとなればなおさらのこと

そしてあくまでこの男の目的は俺の持つ聖剣

ドラゴンを封じたり、ハーフエルフと戦うのは二の次くらいにしか思っていないだろう


「光の精霊よ、今一度顕現し我に光の力を与え給え!」


ティファナが光の魔法で壁を構築した


「ユウさん! 今のうちにここから離れてくださいッ!」


ティファナが俺たちにそう言った

俺は出せる最大の力を振り絞り、立ち上がった


「そう簡単に逃がすとでも?」


男はそう言って、片手を天に掲げた

逃げようとした俺の体が全く動かなくなった

メランも同様に動けないようだ


「はあ、俺もこんなことに時間を費やしているわけにはいかないんだけどな」


男は力いっぱいティファナを地面にたたきつけた


「―――ッ!!」


ティファナは背中から勢いよくたたきつけられた

何てひどいことをするんだ!

動けないのがもどかしい


「さてと、ようやく今日の本題に入れる」


男は静かな足取りで俺に近づいてくる

怖い 苦しい 心臓が早鐘を打っている

俺はこれから何をされるんだ?


「じっとしていれば何もしないし、お前を殺しもしない。 というかお前には殺す価値もない」


なんという言い草!

もうちょっと言い方を考えてくれてもいいだろうに


「これは貰っていくぞ」


男は俺の腰の聖剣を手に取る


「これは! なんという出来栄えだ!」


男は勝手に騒いでいる

俺は男に魔法をかけられているのか指一本も動かない

くっ⋯⋯ このまま終わるのか?

俺が諦めたその時だった


「覚醒の刻、来たれり」


勇ましく、それでいてどこか優しく包み込むような女性の声が直接脳内に響いた

覚醒? なんのことかさっぱりだ


「己の中の聖心を全解放させるのです」


俺が困っていると再び脳内に声が響く

こいつは誰なんだ?


「今は時間がありません。 聖剣があの男に取られてしまえばそれこそもっと大変なことになります」


女性はそう言った

何が何だか分からないが、とりあえず言うとおりに自分の中にある聖心を解放しているイメージをした


「聖心全解放」


俺は小さく呟いた

すると、男の持つ聖剣が突如光を放った


「な、何だこれは!」


男はたじろぎ、聖剣を落とした

カーンっと軽い音がした


俺の体に力が満ち満ちていくのを感じる

これなら動ける、戦える!


俺は男の魔法を振り切り、立ち上がって聖剣を拾う

そして、両手で構え、男に向ける


「はっ これはまた、予想外な展開だ」


男はこんな状況にも関わらず、まだ余裕そうだ

男も負けてられないとばかりに魔法を俺にぶっ放してくる


「こんなもんか!」


ボンッ!


男の魔法は俺に直撃した

が、俺は無傷だった


「───っ⋯⋯⋯⋯!!」


男も無傷で立っている俺を見て驚いたようだ

よく見ると俺の持つ聖剣が、男が放った魔法を全て吸い取っていたのだ

本当に、この聖剣は大丈夫なのかと心配になってくる


「ほぉー なるほどなぁ 全解放の域に早くもたどり着いたか。 これはいい土産話になりそうだ」


男はそう言い放ち立ち去ろうとする


「ま、待てっ! お前の名前だけでも!」


俺は咄嗟に尋ねた


「教えずともいずれ分かるさ じゃあな」


そう言って、男は去っていった

止めに行こうとするが、俺は突然めまいに襲われた

そしてその場に倒れた


「ユウさん! しっかりしてください!」


「ユウ様! 早く手当を!」


ティファナとメランの声を最後に、俺の記憶はそこで途切れた



目を覚ますと、ティファナが隣で俺の手を握ったまま

隣で椅子に座ったまま眠っていた

どうやら、俺が倒れた後メランが街まで送ってくれたのだろう

本当に迷惑かけてばかりだ

そこへ ドタンっと大きな音を立てて扉が開いた


「あ! ユウ様! 起きましたか! 心配したんですよ!」


メランが俺に向かって抱きついてくる

頭に生えているツノもだいぶ元通りになってきたなあ


「ああ、そうだ! ナノスを連れてくる!」


そう言って、メランはまた戻っていった

忙しないやつだ


扉が開いた音で、ティファナが起きた


「ん、んん⋯⋯ あ、おはようございます」


俺に気づいたティファナが恥ずかしそうに言う

そんな君も可愛いよ

ここは、どうやらナノスの家らしい

後でナノスにお礼を言っておかないとな


「ナノスを連れてきたぞ!」


また、大きな扉を開けてメランが戻ってきた

今度はナノスも一緒だ


「いきなり倒れたって言うから心配しましたよ! 一体何があったんですか?」


ナノスが食い気味に、俺に聞いてくる

だが、俺にもあの後何が起こったのか知らない

どうやら俺は、丸一日眠り続けていたようだ


「私の知っていることを今から伝えますね」


ティファナが、そう話を切り出した


「聖の剣と邪の剣には秘められた切り札的なものがあり、それがユウさんが使った全解放というものです」


そういえば、あの時頭の中に直接声が聞こえたが、あれがそうなのだろうか


「全解放をすると、相手の攻撃を全て剣が肩代わりするらしいです。 しかし、その時に膨大な魔力を必要とするため全開放は危険視されています」


そんな力が⋯⋯


「おそらくユウさんは膨大な魔力を使う全解放をしたせいで、突発的な魔力不足に陥ったのでしょう。 魔力不足は最悪の場合死に繋がることもあるので注意して使用してください」


え、なんだよそれ

めちゃくちゃじゃないか


だが、一応筋は通っている

ギルドの人も邪心解放を使ってあんな目にあっていたし、嘘では無いのだろう

いざという時にしか使わないようにしよう


「ところで、さっきから気になってたんだがナノスが手に持ってるのは何なんだ?」


ナノスの手には、一つの石らしきものが握られていた


「ああ、これですか? これは炎鉱石です! 見つかったんですよ!」


え、炎鉱石だってぇ!?

俺とティファナは顔を見合わせ驚いた



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