第30話 暗躍する影
俺たちは次に行く場所を考えていた
「そういえば、炎鉱石はシデラスにあるって話をちらりと聞いたけど」
また、このパターンか
だが、あの時は虹色の鉱石くらいしか見なかった気がしたんだが
てか、虹色の鉱石よりも炎鉱石って言うのは価値があるのか
「シデラスには行ったことあるから、話せばわかってくれるだろうし」
それに子供たちとまた遊ぶ約束もしたし
だが、もう外は真っ暗でこの状態で動くのは危ないだろう
ここは日が昇るのを待ってから出発したほうがいいだろう
俺たちは白騎士団の本部に戻り、体を休めた
そして翌朝
俺たちはシデラスを目指して飛んだ
ティファナも何度か乗っているせいか、メランに乗るのも慣れてきたみたいだ
シデラスへ行くとソンチョのことを思い出す
あれから結構時間がたったように思うが、誰が新しく長になったんだろうか
とても気になる
「ティファナ、炎鉱石ってどんなものなんだ? 俺が見たことあるのは虹色に光る鉱石だけなんだが。 炎鉱石って言うのは、それ以上に価値がある物なのか?」
俺はたまらずティファナに尋ねた
「ユウさんの言う虹色の鉱石も確かに他の鉱石に比べるととても高価です。 ですがこの世界で最も高価な鉱石と言えば炎鉱石と言われるほど有名なんですよ」
なるほどな
俺からすると虹鉱石の方がよっぽど高価に見えるんだが
「炎鉱石は普通鍛冶等に使われる火鉱石よりも上のものです。 炎鉱石はその火鉱石がものすごい長い年月をかけて変化したものなんです。 私でも片手で数えられる程くらいしか見たことないです」
ほえー
そんなものだったとは、知らなかった
「極めつけに、炎鉱石はあまり世には出回っていない貴重なもので出たとしてもいつの間にかなくなっているということもあり得ますし」
そ、それはどういうことなんだ!?
「だから、とてつもなく貴重なものなので他から来たお金持ちに購入されてしまうことがほとんどなんです。 一般人が欲しいということはあまりないですが、もし欲しいとなれば予約するぐらいしか方法がありません。 もし運よく予約できたとしても横からお金持ちに横入りされたら取られる可能性もあるので
めったに手に入ることはありませんよ」
くっ……
そういわれて自信がなくなってきた
本当に大丈夫なのか?
そうこうしているうちに、シデラスに到着した
村を探索していると、ナノスに出会った
本当に久しぶりだ
「おう、ナノス! 久しぶりじゃないか!」
「あ、ユウさんじゃないですか! お久しぶりです! あれからどうですか? 勇者の剣の鞘は壊れたりしてませんか?」
「もちろん。 かなり頑丈に作ってもらったおかげか傷一つない」
「そうですか、それはよかったです」
ソンチョがなくなった後、孫のナノスがソンチョの後を継いだそうだ
まだ若いのに、俺と大違いだ
「それで今日はどうしたんですか? 何か急いでいるようですが」
「ああ、そうなんだ。 ちょっと急ぎの用があってだな、炎鉱石って知ってるか? それが今必要なんだがあったりするか?」
「あ、ああ。 それが……」
ナノスはガッカリした顔で話し出した
また、何かあったのか?
嫌な予感がする
「ユウさんも知ってるとは思うんですけど、炎鉱石は特定の火鉱石が成長してできるからそう簡単にはできないんだ。 しかも、炎鉱石で作られた武具は一般人にはとても高すぎて買うことができない。 それなのに、炎鉱石がなくなったんだよ!」
あっ…… 察した
炎鉱石がなくなった
うーん どうしたものか
「村の人々は炎鉱石を盗らないし、この村では炎鉱石を加工することができないんだ。 加工できる人がいないし……」
だったら誰が炎鉱石を盗ったのか
ていうか、炎鉱石ってそんなに雑に扱われているのか
「もちろん雑に扱ってるわけじゃないよ! だってアペイロン五神器の一つなんだから」
確かにナノスがそんなに適当な人じゃないのはわかっている
本当に誰かが盗ったのだろうか
「…………」
ティファナが何か考え込んでいた
何か心当たりがあるのだろか
「ティファナ、どうかしたか? 何かすごい考え事してるみたいだけど」
「い、いや ちょっとだけ心当たりがあるというかなんというか」
何だ はっきりしないな
「実をいうと、とある組織が何か大きなことを企んでるって噂があって。 名前まではさすがにわからないけど、放っておくと何をしだすかわからないし危険」
なんか大事になってきたな
大きな組織が動いてるとなれば、それこそ派手に動くのはまずいかもしれないな
「慎重に動かないとその組織に何をされるか分かったものじゃないわ」
うーん こりゃまた難しいなあ
とりあえず、火鉱石がある場所を教えてもらった
火鉱石がとれるリトス鉱山へ、俺たちは向かった
中は真っ暗で数メートル先も見えなかった
ティファナが光の魔法で辺りを照らした
そのまま進んでいると、目の前に人影があった
俺が走って追いかける
そいつはあの邪心教徒の一人だった
そいつは俺よりかは小さい少年だった
こんな小さい子供も邪神教徒になってしまうのか
そういえば、邪神教徒もよくわかってないな
もしかするとこいつらが……
俺はそいつに話をきいてみることにした
「おい、お前は邪神教徒だろ? こんなところで何をしてるんだ?」
「わわ! 僕は上に頼まれて炎鉱石を探しに、火鉱石がある場所にないか調べにきていただけだよ! べべ別に他に変なことなんてしてません」
どもっているのは怪しいが、本当のことを言っているように見えた
姿を見る限り、確かに鉱石らしきものは持っていないように見えるし
だったら誰が炎鉱石をもっていったのだろうか?
「ついでだから聞くけれども、邪神教徒が信仰している邪神って誰のことなんだ?」
メランもティファナもよく知らないといったような顔をしていた
「えー! 邪神のこと知らないの? おっくれってるー」
イラッ
こいつ……
「いいよ、知らない君たちに邪神のことを教えてあげるよ」
こうして俺たちはなぜか上から目線の邪神教徒の少年に邪神について教えられることになった
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