第29話 アペイロン五神器
アペイロン五神器
聖(邪)の剣 龍の盾 エルフの聖杯 獅子の冠 炎鉱石
それぞれの街や村に集めてこないといけない
てか、エルフの聖杯がいるんなら最初に言っておいてくれれば持って帰ってこれたかもしれないのに
聖の剣は俺が持っているとして、あとの四つはそれぞれの街や村に行かないといけない
さらにアペイロン五神器はその街や村の象徴的なものときた
そう簡単には渡してくれないだろう
いくら世界の危機と言われても、その後のことを考えるとそうやすやすと貸せないだろう
「本来ならば俺かイリニが同行したいところだが、あいにく急用があって両方ともついていけないのだ。 すまないが三人で行ってきてもらえないか?」
そう来たか
まあ、白ベルは白騎士団長だしすることが山のようにあるのだろう
あ、でもエクエスならついてこれるんじゃないのか?
「ああ、それなんだがエクエスは長期休暇を取ったんだ。 何か大きな用事ができたらしくてな。 すごい真剣な顔だったから断らざるを得なかった」
長期休暇?
この時期に長期休暇なんて何を考えてるんだ?
「そういえば、カルディアとはぐれたままなんですけど何か知らないですか?」
俺は気になっていたことを聞いた
そうだ 色々あって忘れてかけていたが、カルディアとはぐれてあれから会えていないんだ
「ああ、俺も気になっていたところだ。 カルディアの件についてもこちらで調べてみる。 何かあの子は特別な力をもってそうな気がするからな。 後、この件はあまり公にしないようにお願いしたい」
白ベルは真剣な面持ちで言った
確かに俺もどこか不思議な感じがしていた
そういえばメランも何か言ってたな
確かカルディアに角がどうとかって……
「――――!」
俺の脳裏に嫌な考えが浮かんだ
いや、俺の思い違いだろう
俺は一人そう思うことにした
「ん? カルディア? どこかで聞いたことがあるんだけども」
ティファナが何か気になっているようだった
だが、どこか思い出せないようだった
「俺が行こうか?」
突然白ベルの部屋の扉が勢いよく開き、黒騎士団長のリガンが入ってきた
「お前が言ってもややこしくなるだけだからやめておけ。 あとお前にも用事を頼んだはずだが?」
白ベルが厳しく叱った
「そうだったか? 些細な事過ぎて忘れていたわ!」
リガンはそう笑って、出て行った
その時、メランの方をちらりと見ていたのが見えた
一体何をしに来たのだろうか
「んんっ! 訳の分からない乱入者が入ってきたが、とにかくだ。 よろしく頼む。 世界の命運は君たちにかかっている」
白ベルは咳ばらいをしてから言った
とにかく、この世界がピンチときたら助けないわけにはいかないだろ!
この世界にはお世話になってるからな
こうして俺たち(俺とメランとティファナ)は始めにエルフの街に行くことにした
だがまた女装して入るのは勘弁願いたい
それに今は手伝ってくれたシスターもなぜかいない
さて、どうしたものか
「あ、あのー ユウさんってどこまで魔法が使えるんですか?」
ティファナが俺に尋ねてきた
確かに そういえばまだティファナには話してなかったな
「ある程度の魔法は教えてもらったから使えることは使えるけども、どの魔法がどの属性に当たるのかがよくわかってないんだ」
魔法はあの老エルフに教えてもらって、わかる範囲なら完璧にこなす自信はある
だが、ほかの魔法とくると、そうもうまくいかない
「実をいうと、光の魔法で自分の姿を対象から消すことができるんです」
ほ、本当か!?
もし、それができるのならばエルフの街に入るのも簡単になる
「ただ、一時的なものなので一定時間がたつととけてしまいますが」
それでも十分だ
さあ! どうやってするのか教えてくれ!
俺はいつの間にか、ティファナの目の前にきていた
「わ、わかりましたからまずは離れてください」
拒否られた
こんなに近づいたら、そりゃあ困るか
ティファナが魔法の呪文を唱えると、急にティファナが消えた
どこへ消えたか探していると、後ろから肩をたたかれた
「ここにいますよ」
振り向くと確かにそこにはティファナがいた
本当に対象から見えなくなるんだと、俺は身をもって知った
魔法で姿を消せることを知った俺は、早速メランに乗せてもらいエルフの街へ向かった
こんなに早く再度訪れることになるとは……
ティファナが言うにはエルフの聖杯は長老エルフの家にあるらしい
やはり警戒されている
あの案はまずかったのか?
門番が目をがん開きにして立っていたが、魔法を使って姿を消している俺たちには気づかなかったようだ
「早く長老エルフの家を探して、エルフの聖杯を見つけないと」
とは言ったものの、街はもう真っ暗
まるで泥棒でもしてる気分になってくる
魔法がいつとけるかわからない
なるはやで行動しないと!
「ユウ様! おそらくここかと!」
メランが小声で言った
確かにそこには 長老 と書いてあった
完全にここだろ
ティファナが光の魔法でカギを開ける
もう勇者なのか泥棒なのかわからなくなってきた
「し、失礼しまーす……」
俺は小声で言った
こんなところ見られたら即奴隷行きだろう
早くエルフの聖杯見つけてここから出たい
「見つけました!」
ティファナが見つけてくれた
さすが、もともと探していただけはある
「誰かいるのか?」
ふと声がした
気が付くと、長老エルフが喋っていた
完全に眠っていると思ったんだが、さすが長老といったところか
「え、えーと……」
ティファナが反応に困っている
ここは俺の出番だ
「ウィルキー副団長からの命令で、エルフの聖杯を少しだけ貸してほしいといわれまして」
さあ、どうだ?
「そうか、ウィルキー副団長の命令なら従わざるを得ないな。 あのお方は我らにとって救世主なのだから。 もうあの方に足を向けて寝られんわい」
そう言って長老エルフは昔話を始めた
「ここエルフの街はアペイロン全体から嫌悪されていた。 それは知っての通り、性文化の違いだ。 我々にとっては特段大したことはなかったのだが、それが他の者たちには受け入れられなかったのだろう。 一度はみんなまとめて心中しようと思った時もあった。 そこへやってきたのがウィルキー副団長だったのじゃ。 あの方は他の者たちから嫌われる我々をかばってくれた。 今はみんなエルフということに誇りを持って日々を過ごしていると言うことじゃ。 いやー、本当にあの方は我らの救世主だ」
そう言って長老エルフは再び眠りについた
本当にウィルキー副団長って何者なんだ?
どうしてそこまでエルフ達に固執するんだ?
ウィルキー副団長はエルフ達と何か関係があるのだろうか?
謎は解決するどころか、深まるばかりだった
まあ、何はともあれエルフの聖杯はゲットした
あとの四つを探しに行くとするか
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