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第28話 世界の危機

俺たちはティファナの家で性転換の日を乗り越えることにした

ティファナの家で夜ごはんも食べさせてもらったが父親の視線が痛く、味がよく分からなかった


「もう、あなた ユウさんを嫌うのはやめなさいよ」


母親が料理を作りながら言う

え、まだ作るのか?

机の上にはいっぱいにお皿が並べられている

それぞれのさらにおかずが山のように積まれている

ハーフエルフって大食いなのか

それとも俺があまり食べないだけか?


しっかり夜ご飯を食べさせてもらった俺たちは強烈な睡魔に襲われそのまま眠りについた


そして、翌朝

目覚めると俺たちはもとの姿に戻っていた

昨日の強烈な睡魔は、性転換の副作用的なものらしい

俺たちはティファナの両親に挨拶をしてから出ることにした


「昨日はありがとうございました」


俺は母親に挨拶をした


「あら、あなた本当に男の子だったのね!」


「だから言ってたじゃないですか。 俺はあなたたちとは違うんですから」


俺はそう告げた


「おい、貴様」


突然父親に呼び止められた

何の用だろう

特に怒らせるようなことは、あれ以来してないと思うんだけど


「……ティファナを、よろしく頼む」


そう一言言ってまた戻っていった

かわいいお父さんだ


「辛くなったら、無理せずに戻ってくるのよーー!!」


母親が大きな声で言った

ティファナもその言葉に笑顔で答えた


さあ、エルフの大森林をぬければ、街はすぐそこだ


エルフの大森林をぬけると、昨日よりもにぎわっていた

もちろん悪い意味でだ

多分、昨日の鬱憤を今晴らしているのだろう

迷惑な奴らだ


「貴様! 男だな! こっちへ来い!」


やばっ! 女エルフに見つかった

昨日、女だったところを見られたのか

ここは早く退散するぞ!


俺たちは女物の服を脱ぎ捨て、必死に走った

出口まで必死で走った


「うわっ!!」


エクエスが、何もないところで転んだ

こんなところでなんで転ぶんだよ

もう、俺たちの後ろには女エルフたちが近づいてきている


立ち止まっている暇はなかった

とにかく走らないとまた捕まって奴隷にされるに決まっている

あんな目に合うのはもうこりごりだ


エクエスが追ってきた女エルフに手をつかまれそうになったその時


「ユウ様! エクエスとティファナも我に乗るのだ!」


メランが間一髪のところでドラゴン化し、俺たちを助けてくれた

あと少しのところで、俺たちを逃した女エルフたちは悔しそうにしていた

帰るとき、ティファナの母親や魔法を教えてもらった老エルフが俺たちに手を振っていた

俺たちは大きく手を振り返した


この街には二度と来たくないと思っていたが、また来てみてもいいかもしれない

そう思えるようになった


メランに乗っているとき、ティファナが聞いてきた


「いまさら言うのもなんですけど、本当に私なんかがついてきてよかったんですか?」


何を今さら

いいに決まってるじゃないか

これから会う白ベルもハーフエルフだからって差別するような人じゃないし、心配しなくても大丈夫だ


「そ、そうですか」


ティファナは改めて安心したのか、ホッと息をついた

ティファナは心配性なのか

あまり考えすぎないように言っておこう


メランに乗って数分、元の街に帰ってきた

これだ これが俺の見慣れた街だ


だけどもなんだこの胸騒ぎは

とてつもなく嫌な予感がする


白騎士団の本部の門で俺たちは止められた

どうもハーフエルフのティファナのせいらしい


ちょっとイラっときた


「おい、入れないってどういうことだよ」


俺はつい口調を荒げてしまった

だが、門番はへらへらと笑いながら言う


「だからハーフエルフは入れないんですって」


やっぱりか

どこもかしこも、ハーフエルフは異物だと思っている

この偏見は本当にどうにかしてあげたい


「一体何の騒ぎだ。 門の前で言い争うな」


白ベルがやってきた


「白騎士団長殿! いやあ、この方たちにハーフエルフが混ざっているから入れないって話をしているのですが、一向に話を聞いてくれなくて困っていた次第です」


白ベルが怪訝そうな目をしながら、ティファナを見た

そして、一言 こう言った


「別に構わんだろ。 特に危害を加えるような者でもなさそうだし。 それに人を見た目で判断するなとあれほど言ったのにまだわからんのか」


「そ、そうですか! す、すみません! 以後気を付けます」


そして白ベルは俺たちを温かく出迎えてくれた


「お帰り、よく帰ってきてくれた」


そして、エクエスの頭を優しくなでた

エクエスは嬉しそうな顔をしたが、俺の目の前だと気づいたのかすぐに真顔に戻った

もちろん、俺とメランの頭もなでてくれた

メランはとてもうれしそうにしていた


それから、俺たちは白ベルの部屋に通された

ティファナは周りをきょろきょろしている

無理もない ここへは余程のことがないと入らないし、入ることもない


「話に入る前に一つだけ聞いておきたいんだが、そのティファナとはどうやって知り合ったんだ?」


白ベルは自分の椅子に腰かけながら言った

そりゃあ、気になるか

帰ってきたら新しい仲間が増えてるんだもんな

話さないわけにはいかないか


俺はできるだけ、かいつまんで白ベルに話した

奴隷になったときに出会ったこと

裁判沙汰になったときに別れたこと

再びエルフの街にやってきたときに再会したこと

そこで性紋を解いてあげると元の女の姿に戻ったこと


「い、いろんなことがあったんだな」


はい、それはもう大変でした


「こほんっ では本題に入ろうと思う。 数千年前にあまりの強大さゆえ危険視され封印された破壊神ヘレスが復活したとの情報が入った」


ヘレス あの洞穴の中にいた魔物が言ってた奴か

破壊神 いやな響きしかしない


「おそらく何者かが封印を解いたのだろう。 封印された場所は公には伝わっていないはずなんだが。 一体どこから漏れたのか」


もしかするとこの中にも内通者的な人がいるってことなのか

そう考えると、うかつには動けないな


「狂暴化した魔物たちもおそらくヘレスが復活したからだろう。 このまま放っておくとアペイロン全体が崩壊する可能性がある」


アペイロンが崩壊する……

考えるだけでも嫌になってくる


「アペイロンが崩壊するのを防ぐ方法は大きく分けて二つある。 再び封印するか、倒すか、だ」


破壊神を倒す!?

そんなことできるわけないじゃないか


「一応こちらでは封印する方向で話を進めている。 だがそれにもいくつか準備する必要がある。 それがアペイロン五神器だ」


「はい?」



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