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第22話 再来! エルフの街アイルファ

俺と新人騎士は若干の不安を抱えながら、エルフの街アイルファの門の近くにいる

もちろん女装姿のままだ

ここへ来るのは何日ぶりだろうか

できれば来たくはなかった


ここへ来るまで普段感じない人の目を感じた

みんな自分のことを見ているのではと怖くなってくる

新人騎士も同じ考えなのだろう

どこか焦点が合わない


メランに乗ってここまで来たわけだがどうも気が進まない

それもそうだ

あんな思いをしたところにまた来ることになるなんて思いもしなかった


これも強くなるためだと割り切るため、俺は両頬をパンっと叩いた


「よし、行くか」


「ユウ様、ユウ様」


メランがこっそりと話しかけてきた


「なんだ? メラン」


「女の子の姿、可愛いですよ」


メランはクスクスと笑った

くっ⋯⋯ なんて屈辱⋯⋯


「さっさと行くぞ!」


俺はメランに釘をさした

当の本人はわかっていないようだが


入口の門の前では、二人の女エルフが片手に剣を持って立っていた

俺は男だとバレないよう、裏声で話した


「す、すいませーん。 中に入りたいんですがよろしいでしょうかぁ?」


後ろでメランがコソコソ笑っている

もちろん新人騎士もだ

なんで俺ばっかりこんな目に⋯⋯


二人の女エルフは顔を見合わせていたが、俺達が女に見えたのか門を開けてくれた

俺たちは二人の女エルフにお辞儀をしながら門をくぐる


いきなり連れ去られたときは外をゆっくり見る機会がなかった

いまさらながらに見ると、俺達がいた街とそう変わりはなかった


「魔法を教えてもらえるって聞いたけど、いったい誰に教えてもらえばいいんだ?」


俺は頭を抱える

ふと顔をあげると、『エルフの魔法研究所』と看板を掲げてある建物を見つけた

看板はひどくさび付いており、あまり手入れがされていないみたいだった


「こ、ここか……」


「ここしかないだろ おどおどしてないで入ろうぜ」


急に新人騎士が出しゃばってきた

どうした急に


俺のことなんて知るかという感じで扉をノックしようとする


コンコンッ


「はいはい、どなたですか?」


中から女の人の声が聞こえた

声色からしてかなりお年を召しているように聞こえる

中から出てきたのは見た感じ五、六十代の女性エルフだった


「あらあら、これはまたかわいいお客さんね」


かわいいだと!?

そんなこと生まれてこのかた聞いたことないぞ?」


「あ、あのー ここって魔法について研究してる研究所なんですよね?」


また新人騎士がおとなしくなったので俺がいう羽目になる

こいつは何がしたいんだ?


「俺た――私たちに扱える簡単な魔法ってありますか?」


危ない危ない、危うく俺達って言いそうになった


「うーん…… 魔法って一言で言っても結構な数があるのよね。 ここで話すのもなんだからささ、どうぞ中へ入って」


老エルフはそう言って、俺達に建物の中へ入るよう促してきた

ここで疑惑を持たれては、これからどうなるかわからない

素直に従っておくほうがいいだろう


建物の中はいたってシンプルで物が少なかった

確かにお年寄りの方は物が少ないと思うのは俺だけだろうか


「まあまあ、お茶でもどうぞ」


老エルフは俺たちの分のお茶をわざわざ持ってきてくれた

俺たち(メランを除く)が男だと知ったらどう反応するのだろう


「で、あなたたちに扱える魔法ってことだったわね。そうねえ、まずは基本的な三属性の魔法ができないとほかの魔法も使えないから、まずはその練習からね」


三属性?

何のことだ?


「あなた、訳が分からないといった風な顔をしているわね。 いいわ、ついてきなさい」


老エルフは少しほほえんでいるように見えた

そういった老エルフは地下へ俺たちを案内した

地下は魔法の練習場になっているらしく、杖や水晶があちこちにごろごろしていた


老エルフは、俺と新人騎士に杖を渡してくれた

初心者でも杖があれば三元素とやらの魔法を扱えるらしい

ちなみにメランは魔法がなくとも強いため、覚える必要がないのだそう

他にもメランはたいていの魔法が使えるといっていた

全く、うらやましい限りだ


「まずは、基本の三属性の火 水 地 の魔法から覚えることにしましょう」


老エルフはそれから、三属性の魔法は日常生活でも使えるから覚えておいて損はないとも言った

確かにメランが炎をはいていたのを見て、若干うらやましかったこともある


「水の精霊よ、今一度顕現し我に水の力を与え給え」


詠唱した老エルフの手に水の玉が浮いていた

三属性の魔法は詠唱の後、どうしたいのかを思えば三属性の魔法は扱えるという

ただ、その人の魔力量に比例するようだ


俺も試しに詠唱をしてみることにした


「火の精霊よ、今一度顕現し我に火の力を与え給え」


心の中で炎弾を打っているところを思い浮かべた

そして、右手のひらを前に突き出した

すると、俺の右手のひらから火の玉が飛び出した

飛び出した火の玉は壁に当たって消えた


初めて使った魔法が成功して俺は思わず老エルフと喜び合った


「初めてにしては、すごいいい出来じゃない! 才能あるわよ」


老エルフに褒めてもらった

喜んだ時に、かつらがずれそうになる

運良く、ばれずに済んだみたいで一安心だ


「これなら少しレベルを上げて光と闇の魔法も教えちゃうわ」


老エルフはさらに俺たちに教えてくれるそうだ

そういえば名前も知らない新人騎士は、魔法になかなか苦戦しているように見えた


「光と闇の魔法は、補助魔法ね。 光の魔法は対象を癒し守護する。 闇の魔法は対象を呪い害を与えるといわれているわ」


使い方によっては光魔法も闇魔法も人を助けるのに使えるかもしれない

詠唱の呪文は三属性と同じで、さらに高難易度の聖魔法と邪魔法があるが並大抵の人には扱うことができないらしい


「光の精霊よ、今一度顕現し我に光の力を与え給え!」


俺がそう叫ぶと、地下室がまばゆい光に包まれた

どうやら俺には光の魔法の適性があるそうで、老エルフにまた褒められた


それに比べて、新人騎士は光と闇どころか三属性の魔法の使いもままならない

この調子でこの先やっていけるのだろうか

俺はとてつもなく不安だ

メランも心配そうな顔をしていた


この世界には七つの魔法がある

火・水・地・光・闇・聖・邪の七種類だ

聖と邪は腕利きの魔術師でも完璧に扱うことが難しいといわれている


「さてと、外も暗くなってきましたし今日はここでお開きにしましょう」


老エルフがそう言った

確かにいつの間にか外は暗くなっていた


「そうだわ! 今日はお三方、私の家に泊まって行きなさんな」


突然、老エルフは言った

男の俺たちに向かって


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