プロローグ
何もかもがつまらない。もう、なにもする気が起きない。…無駄だから。
「カグヤ。誕生日おめでとう。」
「…良く覚えてたな。」
俺は姫神カグヤ。中学1年生。
ちなみに今話しかけて来たのは同級生のリュウ。こいつの名字はもう覚えていない。
…そして、ここまで読めばわかるだろうが、今日は俺の誕生日だ。まあ、自分でも覚えていなかった。13才になったから何だと言うのだ。
別に俺は花火から神社の御神体をまもったりしてないし、変なじじいに『13才になったら不思議な力が...(うろ覚え)』とか言われていない。
十三才で何か変わることと言えば...自転車で普通は車道を通らなければならなくなるとか、…ある行為を同年齢の女子としても犯罪じゃなくなる(補導されるが)ぐらいだ。それに、後者にいたってはこちらは何の関係もないし、する気もない。俺の誕生日関係ないし。
…まあ、それはどこかに置いておくとして、要するに、誕生日はどうでも言いと言う話だ。どうせ誰も祝ってくれない。
「オレは?」
ええい、勝手に思考を読むな。で、こいつは勘定に入れないとしても、『家族はどうなんだ?』と思う奴もいるだろう。
家族はいない。母と妹は幼い頃に事故で死んだ。その時のことは鮮明に覚えている。
それは七年前の事だった。父の運転する車に乗って出かけていたとき、隣の車線(高速道路だった)から飲酒運転の車がつっこんで来て...それにぶつかられて、左側の壁につっこんだ。車は大破し、左側の座席に座っていた母と妹は即死だった。
俺はひたすら泣き、親父も母の遺体にとりすがって泣き叫び、自分は死んでもいいから二人を返せとわめき、それから酔っ払いにつっかかった。他にも色々と、無駄なようなことまで覚えている。例えば、あのときはなぜか周りにネコが多くいた気がする。
そして、その時から、親父は変わってしまった。前は朗らかないい奴(息子から見て)だったのに、始終ふさぎこんでるようになった。さらに、出張が多くてなかなか家にいない。今も出張中だ。
そんなわけで、俺は孤独だった。
そして、人生がつまらなかった。
何もかもがつまらない。もう、なにもする気が起きない。…無駄だから。
どうせ最後は死ぬ。死は突然やってくる。ならば、何をやっても無駄ではないのか。
また、中学というつまらない時期がいやだった。早く卒業して、働けるようになって、自由になりたかった。バカな世界から出たかった。自分の力で生きていきたかった。
大人はよく、『中学のときは楽しかった。』というが、まったく楽しくない。
同級生も、皆バカに思えた。くだらない、どうでもいいことを言っては耳障りな声で笑い、軽い気持ちで人を傷つけ、ふざける。人生そのものをふざけている。ふざけた人生しか送れないだろう。
なんて考えつつ、『普通の』生活を送っていた。
前作終わらない内に始めちゃいました。
しばらくは不定期更新です。