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なし崩し的に、仲直り(する前に殴る)

元第一王子って、本当に無力な平民なんだな。


模範囚として予定より1年はやく刑期が明けた僕は、その日のうちに王都に移送された。

引き続き鉱山で働きたいって言ったのに、辺境伯やアナスタシア嬢が口をきいてくれたのに、聞き入れられなかった。


王宮に部屋を与えられ、懐かしいような書類仕事が、しこたま送られてくる。


新たな軟禁生活の始まりだ。


さすがに第一王子リーンハルトではマズイので、王太子付きの文官ハルト・シュタイナーを名乗らされた。シュタイナーは、没落した生母の実家だ。


……バレバレじゃんか。


24時間、ほぼ執務室から出ないので、外が晴れているのか雨なのか、寒いのか暑いのか、さっぱりわからない。

書面に書かれた内容や数字が正しいのか、確かめるすべもない。


正確にわかったのは、ユージーンとエリザベートが仮面夫婦になったことくらい。

ユージーンは国務が最優先で、エリザベートは自分の理想が最優先だそうで。大恋愛だった割に噛み合ってないな。


仕事がはけてふたりきりになった時に、言われた。

「側妃の出産まで手伝ってくれ。その後は、兄さんとイリーナ嬢の自由と安全を保障する」と。

「エリザベートの訴えを盲信したオレが、間違っていた」とも。

びっくりした。

ユージーンが他人に、それも、この僕に頭を下げるなんて。


聞けば、あのオブラートが薄すぎる手紙を、側妃殿下に読まれたんだそうだ。公娼と契る公約が記された冊子をぶんまわされ、泣きながらしこたま殴られたそうだ。あれ、外語辞典並みに分厚いよな……?


「最低ですわ! このトラウマ製造機! 女の敵!」と。


「リーンハルト様に、直接会って殴られなさい!」と。


謝罪のために兄を拉致するって、我が弟ながらダイナミックだな。

お望みどおり、サンドバッグにしてやったけど。

イリーナがどれほど怖くて痛い思いをしてきたか。想像できない子には、実践で教えてあげるしかないよね?


ちなみに、仕事面は全く問題なかった。

手伝ってほしいと言われたものの、何年も現場を離れていた僕に指摘を許すような穴は、なかった。


心を入れ替えて、本気で頑張ったんだなって、褒められたかったのかな。


お腹の大きな側妃に聞いたら「調子にのりますから。餌を与えないでくださいませ」とすごまれた。


すごいな。かつてのオレ様王太子を尻に敷いて、コントロールできるなんて。


お兄ちゃんは、側妃の方がユージーンに相応しいと思う。

欠点も含めたありのままの君を、理解して許してくれる人だと思うよ? 

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