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とある悪役令嬢のメランコリックな呟き


この世界が、大好きだった同人ゲーム「巴旦杏(はたんきょう)の葬列」だって気がついたとき、私はまだ10歳にもなっていなかった。


「巴旦杏の葬列」はR15指定の、ちょっと際どくて倒錯的な世界観のノベルアドベンチャーなの。


ヒロインのイリーナは公娼で、学園にいる間に生涯を捧げるお相手を選ぶ。婚約者がいても、結婚しても、公娼の立場は揺らがない。


R15指定だから、濡れ場はないけどね。

匂わせるだけの描写が、逆に淫靡で……薄い本のお世話になりました☆当時は、大人だったからネ。


ヒロインのイリーナは白いロリータドレスと包帯がデフォルトの美少女。無表情で可憐だけど、なぜか色っぽい。天使と淫魔が同居したお人形みたいな女の子。

シルバーブロンドのストレートヘアで、全体的に色素が薄いんだけど、目だけ鮮やかな紅玉色、薔薇色なの。

女の子キャラはみんなロリータファッションだけど、絵師さん得意のホワイトロリータの真骨頂っていうの?

全部のスチルが可愛いって、反則だよね!!


私も黒髪に黒ゴシックの超美人だけどーーーあれ? エリザベート・コルベスって、第一王子ルートの悪役令嬢じゃない!


第一王子のリーンハルトは、王族を象徴する紫水晶色の瞳と、身分の低い側妃ゆずりの亜麻色髪を持つ、見たまんまな出自の王子様だ。


誰にでも公平に優しくて、穏やかに見えるけど、妾腹の長男って立場に鬱屈してるのか、もう、ちょー鬼畜!


イリーナに嫉妬して意地悪したエリザベートを、切り刻んで獅子の餌にしちゃう人! 


超綺麗な笑顔で、「僕の手で、君を断罪したかったんだ」とか言うの。その時、桜みたいに散ってた巴旦杏ーーーアーモンドの花が、エリザベートの葬花ってわけ。


血液はアクセサリーですって美麗スチルなら、ウットリなんだけど……。

猟奇ヤンデレは、イエス2次元! ノー3次元!!! 浮気するうえに、そんな婚約者、いやあ!!!


でも、悲しいかな。物語の強制力には逆らえず。

リーンハルトの婚約者になることは、避けられなかった。


今のところは優しくて良い子に見えるけど、油断大敵だよね。時々、第二王子のユージーンがお茶会に飛び入りしてくれると、心底ホッとするよ。


ユージーンは攻略対象じゃなくて、美形モブだもん。

顔の作りはリーンハルトにまあまあ似てるけど、プラチナブロンドの髪も、リーンハルトより彩度の高い瞳の色も、なにもかもが華やかだ。私たちよりひとつ年下の第二王子だけど、正妃の子だから実質王太子なんだよね。


攻略対象じゃないのが不思議だけど、たぶん見た目も中身も健全過ぎて「巴旦杏の葬列」の世界観に合わないのかも。


ともあれ、隠れ鬼畜じゃない、優しさが信用できるって、大事だよね……。




巴旦杏はたんきょう=アーモンドの別名

春に桜のような白い花を咲かせる。


花言葉は「希望」「真心の愛」「永遠の優しさ」「無分別」「愚かさ」

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