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爆縮と体温の機知(9)

身体の涙

女性の身体で生まれた時に

出来る能力として出産がある

男性の身体で生まれた時に

周りの女性よりも

力が強くなければいけないと

認識してしまう能力と同じだろう

野生動物であれば

使えるのか

使えないのかが

決まってしまう事柄になる

残酷なほどに的確な

自然の中の当たり前の形


ご大層なことを言っても

人間という生き物は

動物から脱することが出来ない

違っているのは脳の中の

お高くとまった自己弁護と

ステータス化して

新しい、古いを持って力としたい

絵空事の靴裏を舐める意識だけだ

身体は置いてけぼりをくらい

出来ていたことを

お座なりにさせられている


涙など流れないが

血液がしとしとと流れる

消費期限のあることを

何処か遠くに投げ捨てて

幸福をかき混ぜて

ヘドロ化した液体を

隅々まで塗り付けた真っ黒な身体で

幸福の文字を彩っている

あなたの幸福を

身体の幸福にしてはいけない

ただ年を経て

縮小した身体は

本当の意味での皺だらけになる


物理的に人間が居ないことは

あなたの隣に誰も居ないことと同じ

全てが小さくなって

ゆっくりと消える歌みたいに

か細くなれば

できていた幸福の形ですら

まともに作れなくなる

それを誰かの所為にすることは

誰でも出来るほど簡単で

真剣に考え始めるには

既に手遅れだったりする

18年間という時間を

収縮できる人間は

この世に存在しない




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