違う世界の飽きない冒険
「はぁ~。だっるぅ~。。。」
学生の朝は早い。ホントに早い。なんでこんなに早く起きないといけないんだ!とムダにキレるくらい早い。
今日で18才の1学期が終わり明日から夏休みという巷ではウキウキワクワク!青春思いっきり楽しもーぜモード…のハズだが
俺はそんなに乗り気ではない。なんでか?暑いのが嫌いだからだ!
「ヨー!俊春。グッモーニン。」
横から調子のいいどこか遊び人のような声がした。
俺と幼なじみの悪友の益子雅翡だ。
「よっミヤビ。相変わらず遊んでんのか?今朝は朝帰りからの登校かよ?」
「さすがにしねーわ!もししてたら学校バックレるさ!!んなことより、俊春君は自慢のオールバックがキマッてるじゃないの?」
「まぁな…。にしてもあちーな。」
今日の気温は朝から20℃を越えている。ワイシャツなんざもう汗だくで濡れて気持ちが悪い。正直脱ぎたい。
「にしてもお前がこんなに律儀に登校してるのはさやっぱりあの…」
バッチーン!!
ミヤビが言い終わる前に、俺の背中にすんごい勢いで衝撃が来た。そのコンマ0.5秒後には飛びはねたくなるような痛みが…!
あの 女めぇーーー!!!
「ヤッホーおはようアホ面の二人♪」
女子の割には低いが明るいトーンの声が聴こえた。
幼なじみの真岡智彌だ。
「いってぇな!おい!!何すんだよモカトモ!マジでぶっ飛ぶような痛みだったぞ!」
「あら?そんなに強く叩いてないけど。まぁ飛んでくれたらsnsに載せるのにぃ~♪」
にやけ面がムカつく。容姿端麗で且つ成績はトップ。弓道部の部長もやっちゃうくらいの実力者で、人気者。ホントに絵に描いたような完璧人間。
まぁ、羨ましいという気持ちはないんだけどねぇ。いや、嫉妬とかじゃないし。
「お前が馬鹿チカラなだけだ。昔から加減を知らねーんだからよ。そろそろ覚えろ!」
「いや、やってるよ。あんたら二人にはしてないだけ笑。だって頑丈じゃん!」
「だからって痛みがねー訳じゃねーよ!!」
あぁ言えばこう言うみたいな言い合いが止まらない。
端からみればもしかしたら恋人の口喧嘩にも見えるのかも知れないが、なんだかね。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて。そろそろ学校行かないと遅刻しちゃうんじゃね??」
ミヤビがズボンのポケットからスマホを出して、待ち受け画面の時計を見せてくれた。
『08:27』の表示が目には入り、トモミは一気に血相を変えて走っていった。
「アンタラも早く学校に向かえよー。サボるなよ!!」
捨て台詞は忘れねーんだなアイツは。
さてさて、学校に向かいますかぁ。と面倒くさそうに歩きつつミヤビと俺は一学期最後の登校をしていた。
正直、学校行っても面白くはねーし、俺らはこんなのだから変に目をつけられてしまう。まぁ、真面目にしてればこんなことにはならんのよね。
今日くらいは何事もないようにお願いしますよ神様!
とは言っても、隙あればすぐにでもバックレようかと思ってますがね。
そんなことを考えながらも学校に到着したのはHRが始まる5分前。
まぁギリギリと言えばギリギリ。俺らからすれば普通なんだけど。
まぁ取り敢えず今日は昼で終わるからそのあと何しようか考えようっと。そう思っていた矢先、
『…カ…ワ……コ…ガ……ルカ?』
変な声が聞こえた。よく聞き取れない。ケータイで電波の悪いところで話す以上に聞き取りにくい。しかも、これ人の声か?
「ミヤビ、何か聞こえないか?」
「どうしたいきなり?俺には何も聞こえないよ。」
ミヤビには聞こえていない。と言うより周りを見渡してもあの声を聞こえてるのが俺だけな感じがする。
空耳か?と思って校舎に入っていくが、
『ダレ…ワレ……キコ……?』
また聞こえた。どうやら空耳ではない。だけど俺しか聞こえない。なんだこれ?
意味わからん。俺ってそんな特殊能力持ってたっけ?
とにかく、その声の主が何なのかが知りたい。恐らくだが人ではない。だけど、威厳というのか、なんと言ったらいいのか分からんが、神様的な感じに思えた。
「トシハル?ホントにどした?立ち止まってさ。トモミに怒られるぞ。」
「…あぁすぐ行く。凄く気になることがさっき起きたんだ。まぁ、いいや。」
『ダレ…レノコ…キコエルモノ、ワガモト…カエ』
今度は先ほどよりも鮮明に聞こえた。恐らくだが
『誰か我の声が聞こえるモノ、我が元へ向かえ』
だと思う。そう感じた瞬間、空が雲で陰りだした。
暗雲が立ち込める。どこか渦を巻いているかのよう。その中心に目をやると、光輝くものが現れる。
重力に逆らうことなく、ただかなりの速さで地上へ落ちてくる。
落下地点は恐らく街の郊外のちょっとした自然公園。
どうする?今向かうべきか?
「トシハル?今の見たか?」
ミヤビにもさっきの光は見えていた。光とあの声の結び付きは分からんが、十中八九イコールになると感じた。寧ろ、ならないのが不思議だ。
「見たよ。向かいたいが取り敢えず、教室に向かおうぜ。そのあとに光の落ちた場所に行こう。」
取り敢えずトモミに心配をかけさせる訳にはいかないな。
チャイムが鳴るとともに俺たちは教室に到着した。